• 気分がふさぐ、不安になる。その原因は脳にあるかもしれません。無理なく続けられる、手軽なケア方法を医師で脳生理学者の有田秀穂さんに伺いました。今回は、セロトニンを増やす4つのコツを教わります。
    (『天然生活』2021年1月号掲載)

    セロトニンを増やして、心を元気にする方法

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    日中、起きている間に分泌されるセロトニン。ただし、体内にためておけるものではないので、セロトニン神経を活性化させる習慣は、毎日の生活のなかに組み込み、続けることが大切です。

    「とくに重要なのが朝の時間帯。朝起きたら太陽の光を浴びながらウォーキングやジョギングなどのリズム運動をして、朝食をしっかり噛んで食べる。これを行うことで、頭がすっきりするほか、顔や姿勢もしゃきっとして気持ちよく1日のスタートを切ることができます」(有田さん)

    その後も昼や夕方など、空いた時間を使って1日に数回セロトニンの活性化を行うのがコツ。

    「夜になると、セロトニンを材料によく眠るための脳内物質であるメラトニンがつくられます。夕方にウォーキングをしたり、家族や友人と団らんするのはよく眠るうえでも効果的

    気持ちよく、集中して行うことでセロトニンは活性化します。

    「親しい人との別れなど、大きなストレスがかかるとセロトニンの働きは弱まります。けれどもこれらの習慣を続けていればやがて回復するはずです」

    女性は更年期になると、セロトニンの生成に関わる女性ホルモン、エストロゲンの減少にともないセロトニンが不足することもあります

    その意味でも、日頃から活性化の方法を習慣にしたいもの。自分に合った方法を取り入れて、楽しく続けましょう。

    セロトニンを増やす4つのコツ

     5分以上やる

    セロトニンを活性化する方法は、どれも5分以上続けないと効果がありません。また、やりすぎて疲れるのもセロトニン活性化に逆効果。1回につき、5分以上30分以内にしましょう。

     毎日やる

    セロトニンは夜には眠りを誘う脳内物質メラトニンに変換され、睡眠中は分泌を止めます。朝起きるとほとんどゼロに。ためておけるものではないので、毎日行う必要があります。

     1日に2~3回やる

    1日を元気に始めるため、朝はぜひ。その後も昼や夕方に行うことで、弱まってくるセロトニン神経が再び活性化します。そうすることで、起きている間中セロトニンが分泌されるのです。

     集中してやる

    周りに刺激がありすぎて心が乱されると、セロトニンは活性化しません。行為そのものに集中することが大切です。なるべく静かな環境を選び、無心になって行うと効果的です。

    朝起きたら5分以上日光を浴びる

    画像: 朝起きたら5分以上日光を浴びる

    頭も顔つきも姿勢も、すっきり、しゃきっとする

    朝起きたらまずカーテンを開け、太陽の光を浴びる。もしくは起床後に外に出て5分以上朝陽を浴びる。これだけで、その日のセロトニンの分泌が開始されます。目の網膜が光を感じることで、セロトニン神経が活性化されるのです。すると、頭がすっきりするほか、顔つきや姿勢もしゃきっとして、元気に1日のスタートを切ることができます。

    「真冬以外であれば、曇っていても十分な明るさがあるので大丈夫。一方、電灯の光は太陽光に比べて明るさが足りず、効果がありません。あくまでも屋外の太陽光が有効です」

    ラジオ体操をする

    画像: ラジオ体操をする

    音楽のリズムに乗って心地よく体を動かす

    朝、もしくは空いた時間にラジオ体操をするのもおすすめの方法。

    「ウォーキングやジョギングのようなリズム運動の効果があります。音楽のリズムに乗って集中できるし、どこでも行えるという点も魅力です」

    体を動かすリズム運動にはほかにも水泳、登山、ダンス、自転車こぎなどが挙げられます。

    自分が楽しく、心地よく続けられるものを選んで、疲れない程度に行うとリラックスにつながり、心身ともにはつらつと過ごせるはずです。

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    <監修/有田秀穂 取材・文/嶌 陽子 イラスト/松尾ミユキ>

    有田秀穂(ありた・ひでほ)
    医師・脳生理学者。東邦大学医学部名誉教授。東京大学医学部卒業。長年にわたりセロトニンについて研究してきたこの分野の第一人者。メンタルヘルスケアをマネジメントする「セロトニンDojo」の代表も務める。著書に『医者が教える疲れない人の脳』(三笠書房)、『「脳の疲れ」がとれる生活術』(PHP研究所)など多数。https://serotonin-dojo.com/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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