• 気分がふさぐ、不安になる。その原因は脳にあるかもしれません。無理なく続けられる、手軽なケア方法を医師で脳生理学者の有田秀穂さんに伺いました。今回は、バランスよく食べて、よく噛むことでセロトニンが活性化するリズム運動について教わります。
    (『天然生活』2021年1月号掲載)

    咀嚼で、セロトニンを増やすためのリズム運動を

    毎食、よく噛んで食べる

    画像: 毎食、よく噛んで食べる

    玄米や根菜、豆類など、噛みごたえのある食材を選んで

    セロトニンを増やす3つの方法のうちのひとつ、リズム運動。このなかで、咀嚼はもっとも手軽にできるものといえるでしょう。無意識になんとなく噛むのではなく、いつもより時間をかけて、噛んでいることを意識しながら食べるのがポイント。

    「かためのパン、胚芽米や玄米、根菜や豆類など、噛みごたえのある食材を選ぶのも手」

    朝食は必ずとり、よく噛んで食べる。それが気持ちよく1日を始めるためのコツ。昼食、夕食もよく噛めば、自然と1日に3回、セロトニンを活性化させることができます。

    乳製品、大豆製品、ビタミンB6を摂る

    画像: 乳製品、大豆製品、ビタミンB6を摂る

    好き嫌いなく、バランスよく食べることが一番大事

    セロトニンは、食材に含まれるトリプトファンという成分から合成されます。

    「トリプトファンは必須アミノ酸のひとつで、食物として体外から摂取する必要のある栄養素です。これを含む主な食材は豆腐や納豆、味噌などの大豆製品、ナッツ類、そしてバターやチーズ、ヨーグルトなどの乳製品です」

    また、セロトニン合成にはトリプトファンに加え、炭水化物とビタミンB6も必要。ビタミンB6を含む食物は豚肉、青魚など。偏食せず、バランスよく食べていれば、トリプトファンが不足することはなさそうです。

    バナナを食べる

    画像: バナナを食べる

    朝食時、ヨーグルトに入れて食べるのがおすすめ

    トリプトファン、炭水化物、ビタミンB6。セロトニンを合成するのに必要なこれら3つの栄養素をバランスよく、豊富に含む食物にバナナがあります。

    「バナナはセロトニン合成のために手軽に摂れる格好の食べ物といえます。朝食の際にトリプトファンを含むヨーグルトにバナナを入れて食べるのがおすすめ。朝からセロトニン合成のために必要な栄養素をたっぷり摂ることができます」

    大量に食べる必要はありません。1日1本を目安に続けてみましょう。

    ガムを噛む

    画像: ガムを噛む

    少し多めのガムをしっかりと噛むのがコツ

    手軽なリズム運動のひとつ、咀嚼。3度の食事を食べる以外でもこれをできるのが、ガムを噛むことです。

    「よくプロ野球選手が試合中にガムを噛んでいますが、これはセロトニンを活性化させる行為。噛むことによって心を安定させ、集中力を高めているのです」

    できれば2〜3粒、少し多めのガムを口に入れてしっかりと噛むのがポイント。やわらかくなってきたら新しいものに替えるとよいでしょう。移動中や、家事をしながらでもできるとても簡単な方法です。

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    <監修/有田秀穂 取材・文/嶌 陽子 イラスト/松尾ミユキ>

    有田秀穂(ありた・ひでほ)
    医師・脳生理学者。東邦大学医学部名誉教授。東京大学医学部卒業。長年にわたりセロトニンについて研究してきたこの分野の第一人者。メンタルヘルスケアをマネジメントする「セロトニンDojo」の代表も務める。著書に『医者が教える疲れない人の脳』(三笠書房)、『「脳の疲れ」がとれる生活術』(PHP研究所)など多数。https://serotonin-dojo.com/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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