(『かんたんでおいしい 砂糖なしおやつ』より)
砂糖なしでも、大人も子どもも喜ぶおやつづくりを
砂糖を使わなくなった我が家では、おやつはもっぱら手づくり。
世の中、市販のものには大抵砂糖が入っています。だから、食べたかったらつくるしかないわけです。
砂糖に替えて、はちみつや甘酒、みりん、果物、ドライフルーツなどの甘みを利用して、試行錯誤しながらおやつをつくるようになりました。
大人ももちろん砂糖なし生活ですが、子どもにも砂糖を使わない理由について、1、2歳の頃からきちんと話してきました。
「砂糖をいっぱい食べると、お腹を壊しやすくなっちゃうよ」とか「風邪を引きやすくなって外に遊びにいけなくなっちゃうよ」などと、1、2歳の子でも理解できるように、なるべく分かりやすく伝えてきたつもりです。
安易に市販のお菓子を買ったり、常備することもないので、そもそも食べる機会がないわけですが、時には友達からお菓子をすすめられることもあります。でも、「僕、お砂糖食べないからいらない」と、自分で断っているようです。
好奇心で口にすることもありますが、砂糖の刺すような強い甘さが苦手で、ほんのひと口ふた口で、それ以上はいらないようです。
だから買い物に行ってお菓子をねだられたり、駄々をこねることもないから、本当にラク。
気持ちも穏やかで安定していて、イヤイヤ期もなければ、反抗的になったりすることもなく、11歳になる今まで子育てに悩むことなくきています。
とはいえ、砂糖なしでおやつをつくるのは、最初はなかなか難しいものでした。几帳面に計量するのが苦手な反面、自己流にアレンジしたり、最初から自分で生み出したりするのが好きなので、苦戦するのは目に見えています。
しかも砂糖を使わないとなると…。砂糖には甘さを足すだけでなく、ふくらませたり、艶を出したりとお菓子をつくるうえで重要な役割がいくつもあります。
それが一切利用できないうえ、小麦粉も控えたかったので、甘くない、ふくらまない、べちょべちょする、のだめだめ三拍子。
何度も失敗を重ね、ようやく素材の特性やオーブンやグリルのクセなどもつかんで、今では家族や周りにも喜んでもらえるようなおやつがつくれるようになりました。
おうちのおやつは、おおらかでいい
最近では、「お菓子はきっちり計量しなければならない」という常識をくつがえし(笑)、生地の大体の水分量と粉の量でつくっちゃうことも。でも、おうちのおやつはそのぐらいおおらかでいいと思っています。
粉の量が数グラム違っても、豆乳が間違って多く入っちゃっても、だいたい合っていればちゃんと出来上がります。
そして、「今日は少し水分が多めだったからしっとりしたな」とか「ふくらみが悪かったな」などと変化を楽しみ、次回への学びにつなげればいい。
そうして、手づくりおやつのハードルがぐっと低くなればいいなぁと思います。
本記事は『かんたんでおいしい 砂糖なしおやつ』(小学館)からの抜粋です
〈写真/福井裕子 スタイリング/木村遥〉
山田奈美(やまだ・なみ)
薬膳・発酵料理家。「食べごと研究所」主宰。「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事し、東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。雑誌やWEB、テレビなどで発酵食や薬膳レシピの提案・解説を行うほか、神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて、「和食薬膳教室」「発酵教室」「離乳食教室」などを開催。日本の食文化を継承する活動を行っている。最新著書『かんたんでおいしい 砂糖なしおやつ』(小学館)が2024年4月に発売。
インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」
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料理家・山田奈美さんによる、砂糖不使用でもおいしくて満足できるおやつのレシピ本です。血糖値を急激に上げない甘みの選び方から、米粉を使ったクッキーやケーキ、15分で簡単につくれるものまで、おいしくて満足できるおやつを40レシピ収録。いつもの砂糖を3つの甘味にかえるだけ。混ぜて焼くだけ、かためるだけ。初心者でも簡単におうちでつくれるレシピが満載です。