• 大人世代が抱える「こころとからだ」のお悩みや疑問について、頭痛・漢方専門「らいむらクリニック」の來村昌紀先生が、やさしく回答。今回は、体がだるくて起きるのがつらいという、プーきちさんのお悩みにアドバイスをお送りします。

    : 体のだるさがとれず起きるのがつらいです。どうしたら朝から元気に過ごせますか?

    画像1: 「寝ても体のだるさがとれません」朝から元気に過ごすための養生とおすすめの漢方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    運動はしているほうなのに……

    寝ても体のだるさがとれません。ここ2~3年、朝起きたらすでに疲れていて、起きるのがつらくなってきました。ちゃんと寝たのに疲れがとれていないのがちょっと悲しいです。

    歩くのが好きで、階段の上り下りや早歩きなど(ときどきダンスも)、普段から比較的軽い運動をしている方だと思うのですが……。

    どうしたら朝元気に過ごすことができるのでしょうか?

    (プーきち さん/30代・会社員)

    :漢方では「気虚」=元気が足りない状態と考えます。食・睡眠・漢方で“気”を補いましょう

    画像2: 「寝ても体のだるさがとれません」朝から元気に過ごすための養生とおすすめの漢方|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    食べものや眠りの質を見直してみませんか?

    朝起きるのがつらい場合は、眠りが浅い可能性が

    今回はプーきちさんからの寝ても体のだるさが取れず朝起きるのがつらいというお悩みです。

    体のだるさが取れない原因には、西洋医学的には貧血甲状腺機能低下症肝機能障害などの内科的な病気の可能性もあり、まずは内科などで血液検査や検診などを受けるのも大切です。

    また寝ても体のだるさが取れない、朝起きるのがつらい場合には、寝ている間に呼吸が浅くなったり、呼吸が止まるために十分な睡眠が取れていない睡眠時無呼吸症候群などの可能性もあります。

    いびきがうるさい、歯ぎしりをしているなどと言われたことがある場合には、呼吸器内科や耳鼻科を受診されると無呼吸の検査ができます。

    簡易的ないびきの検査であれば、スマートフォンで寝ている間にいびきを録音してくれるアプリなどもあります。一人暮らしの方でもセルフチェックできますので、試してみてもいいかもしれません。

    元気をつける漢方、夏バテにおすすめの漢方

    一方、漢方的には疲れやすい、だるいなどの症状は「気虚」と言って、元気が足りない状態と考えます。

    元気を補うお薬として補気剤(ほきざい)があります。滋養強壮の代表的な生薬人参や黄耆(おうぎ)を含むお薬で、人参の「参」と黄耆の「耆」をとって「参耆剤(じんぎざい)」ともいわれます。

    補中益気湯(ほちゅうえっきとう)という漢方薬は、読んで字の如く、中を補い、気を益す薬です。「中」とは消化管のことでお腹の調子をよくして元気をつけるお薬で、「医王湯(いおうとう)」の別名もある有名な方剤です。夏の暑い時季には、夏バテに対処する清暑益気湯(せいしょえっきとう)もあります。

    食欲がなく、栄養不足で体力がない人には人参養栄湯、食欲不振で元気がない人には六君子湯(りっくんしとう)もおすすめです。

    疲れをとるための食べもの

    私たちは元気の源であるエネルギーをどこからどのように得ているのでしょうか? それは他の動植物を食べることによってその栄養やエネルギーを補充しています。

    そのため、まずは食べものを消化してエネルギーを吸収する消化管の調子をよくしないと元気が出ないと考えます。

    たとえば、夏バテは、夏の暑さで冷たい飲みものや食べものを多く摂ってしまうために消化管が冷えて消化機能が落ちてしまうと考えます。

    そのため、まずは胃腸の機能を整えることが大切です。生野菜や果物、甘いお砂糖が入ったデザートは胃腸を冷やすため、できるだけ、火の通った温かい飲みもの、食べものを心がけ、ゆっくりよく噛んで消化の良いものを腹八分目でいただくことを心がけましょう。

    疲れをとる食べものとしてはネバネバの食材である山芋オクラ、黒い食材の黒豆黒ごま黒みつ、ビタミンB群を多く含む豚肉などもおすすめです。

    眠りと適度な運動の習慣も大切

    その次は睡眠です。睡眠時間としては十分だと思っていても、寝る時間帯や環境によって、脳が休めていない場合があります。

    基本は早寝、早起きが大事ですが、夜は静かな暗い空間で寝る2時間前くらいから脳を休める準備をしてください。夜にテレビを見たり、スマホを見たりして脳を刺激するのは控えましょう。

    寝る2時間くらい前にゆっくりとお風呂に入り、いったん体温を上げて、涼しい寝室で体温が少し下がる時に眠気がくるようにするのもよいと思います。

    朝は早く起きてカーテンを開け、日の光を浴びるようにすると睡眠のリズムが整います。

    正式な医学用語ではないのですが、最近、漢方の世界では朝起きが悪い人のことをフクロウ症候群と言って、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)などの立ちくらみや起立性調節障害に使う漢方薬を使ったり、睡眠の質をよくするためにストレスの多い人には抑肝散(よくかんさん)、心配症な人には加味帰脾湯(かみきひとう)甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などの漢方薬も用いられます。

    また適度な運動は胃腸の動きをよくするため、ウォーキングもおすすめです。プーきちさんも歩くのが好きで運動されているようですので、この点は大丈夫ですね。

    今回の記事がプーきちさんはじめ、朝が苦手で疲れが取れない方の少しでも参考になれば幸いです。

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    〈イラスト/コグレチエコ〉

    画像: 眠りと適度な運動の習慣も大切

    來村昌紀(らいむら・まさき)

    頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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