(『天然生活』2023年2月号掲載)
幅広い世代に大人気「プリン」の老舗4店
幅広い世代にウケがいいプリンはシンプルな材料ゆえ違いが顕著。ほろ苦いカラメルソースと卵のカスタードがたまらない。
松田さん:「見た目もさまざまで面白い! 『紀ノ国屋』のカスタードプリンは小さめサイズがうれしく、ちょっと甘いものが食べたいなというときにいいんです。そのときによって少し味が違うのも面白くて、自分でつくるプリンの味に一番近い感じがしますね」
三浦さん:「家庭でつくるようなやさしい味わいですね。入っているものがわかるというか……」
松田さん:「そうですね。プリンはとくに、素材の味がよく表れるものだと思うので、素材の持ち味で大きく左右されますよね。『資生堂パーラー』もシンプルで昔ながらのプリンといった印象。これはわりと日持ちがするので、冷蔵庫にあると安心できます」
①資生堂パーラー カスタードプリン
明治35年創業。濃厚な卵とコクのあるジャージー牛のミルクを使用。常温で保存でき、賞味期限も長めなので、手土産にもおすすめ。
「とてもシンプルで素朴な味わい。やわらかすぎるよりも硬めのプリンが好きなので、しっかりとした食感も好みです。ほどよいカラメルソースがよく合います」(松田さん)
②銀座ウエスト プリン
昭和22年に東京・銀座で創業。バニラエッセンスなどの香料を一切、使っていないのがポイント。卵の風味がよく生きている。
「プリン自体は甘さが控えめ。トッピングされた生クリームの甘さといちごの酸味が絶妙な組み合わせです。カップに入った見た目もかわいらしく、手土産にぴったりですね」(三浦さん)
③紀ノ国屋 カスタードプリン
東京・青山に日本で初めて誕生したセルフサービス型のスーパーマーケット。カスタードプリンは2個入りのほか4個入りも。箱入りで手土産にも◎。
「ほどよい弾力があり、硬めプリン好きとしてはうれしいですね(笑)。底に入っているキリっと香ばしいカラメルソースもおいしいんです」(松田さん)
④豊島屋洋菓子舗 置石 トラディショナルプリン
明治27年創業で言わずと知れた「鳩サブレー」が有名な老舗和菓子店が営む洋菓子店。トラディショナルプリンはやや硬めでほろ苦いキャラメルソースがポイント。
「子どものころから慣れ親しんだ懐かしい味です。さすがは、卵のおいしさを知り尽くした豊島屋さんならではという感じですね」(松田さん)
手土産の達人のおふたりに、食べくらべていただきました
老舗菓子店のお菓子の食べくらべをしたのは、手土産を選ぶ目利きのセンスがある料理家の松田美智子さん。その松田さんが食べくらべのパートナーにと指名してくれたのは、松田さんのお茶の先生でもある三浦大徹さんです。
今回は、プリンをくらべていただきました。お菓子は数多くありますが、今回は「老舗」、そして、「手土産」というふたつがキーワードです。手土産にするという観点でいうと、どんなことが大事になるでしょうか。
「仕事柄頂き物をしたり、逆に差し上げたりすることが多いのですが、大事なのは相手を思って“自分で”選ぶこと。作法やしきたりはさておき、これに尽きるのではないでしょうか」(三浦さん)
「そうですね。自分の好きなもの、自分がおいしいと思ったものを味わってもらいたい、そのシンプルな気持ちが大事ですね。そんななかで、老舗のものは、同じ味を守り続けてこられた安心感もありますね」(松田さん)
〈撮影/山田耕司 スタイリング/松田美智子 取材・文/結城 歩〉
松田美智子(まつだ・みちこ)
季節感と素材と味を大切にした美しくおいしい料理に定評がある。お取り寄せにも造詣が深い。食感好きとしておせんべいにとくに目がないのだとか。
インスタグラム@michiko_matsuda
三浦大徹(みうら・だいてつ)
茶道家。武者小路千家 家元水屋 福聚會主宰。東京・広尾、神奈川・伊勢原、愛知・名古屋などに稽古場を持ち、幅広い世代に茶の点前を指導している。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです