• 自分よりも、相手のことを。青山学院大学陸上競技部町田寮・寮母の原 美穂さんが見つけたのは自分らしさを生かしながら支える幸せでした。今回は、青山学院大学陸上競技部の監督であり夫の原 晋さんや、学生たちを支える喜びについて伺います。
    (『天然生活』2024年2月号掲載)

    選んだ道じゃなくても幸せになれる

    「まさか自分が寮母になるだなんて思ってもみませんでした」と話すのは、箱根駅伝の強豪校、青山学院大学陸上競技部の初代寮母である原 美穂さん。

    いまから20年前、夫の原 晋さんが知人を通じて監督のオファーを受けたとき、美穂さんは大反対したそうです。

    それというのも、当時、晋さんは電力会社に勤めていて安定した暮らしを送っていたから。一方、監督の待遇は3年契約の嘱託職員だったのです。

    画像: 町田寮で生活する学生は、現在約40人。料理は外注だが、ごはんは炊きたてがおいしいので、毎回30〜40合のお米をといでセット

    町田寮で生活する学生は、現在約40人。料理は外注だが、ごはんは炊きたてがおいしいので、毎回30〜40合のお米をといでセット

    そのころの青山学院大学陸上競技部は、箱根駅伝出場から27年遠ざかっていたにもかかわらず、任期中に出場の成果が出せなければ再契約はなし。

    地元広島にローンを組んで家を建てたのに、夫婦で寮に暮らしてほしいとの条件も、美穂さんの人生を大きく変えるものでした。

    それでも、いい出したら聞かないまっすぐな性格の晋さんに巻き込まれ、2004年、美穂さんはともに上京して寮母になりました。

    元は社員寮だったという建物で、大学生およそ20人との生活がスタートしたのです。

    人を支える

    口を出すより聞く、そして待つ

    画像: 口を出すより聞く、そして待つ

    学生が落ち込んだり悩んだりしているときは、話を聞くだけのほうが相手の心の整理につながる。

    相手に聞く準備がないのにいってしまうアドバイスは単なる小言だから、「いまだ!」というタイミングまでグッと待つ。

    相手の小さな変化に目を向ける

    画像: 相手の小さな変化に目を向ける

    ただの世間話ではなく、こちらが気にかけていることが伝わるように「髪切ったの?」「試験どうだった?」など、相手の小さな変化を話題に。

    また、話したいタイプかどうか反応を見極め次回に生かして。

    支える側は「平常心」でいる

    画像: 支える側は「平常心」でいる

    写真は、七夕のときに書いた短冊。何か起こったとき、つらいのは当事者。

    支える側があせったり不安になったりすると、学生に伝わってよりつらくさせるだけだから、支える側は平常心を心がける。

    いまの毎日

    画像: 美穂さんの主な仕事は、見守り、調整、フォローやサポート。人に合わせる毎日ならではの忙しさ

    美穂さんの主な仕事は、見守り、調整、フォローやサポート。人に合わせる毎日ならではの忙しさ

    06:00起床・配膳 さみだれで選手が朝食
    09:00夫婦で朝食 午前中に家事をすませる。夕食の米をとぐ。麦茶づくりなど日によって来客・病人対応など
    16:30夕食が届く 1年生と配膳2部制で選手が夕食をとる
    20:00夫婦で夕食 自由時間
    24:00就寝


    <撮影/山田耕司 構成・文/石川理恵>

    原 美穂(はら・みほ)
    1967年、広島県生まれ。夫である原晋さんの青山学院大学陸上競技部の監督就任にともない、同校町田寮の寮母に。裏方として、箱根駅伝でのチームの活躍を支えている。著書に、激動の日々を綴った『フツーの主婦が、弱かった青山学院大学陸上競技部の寮母になって箱根駅伝で常連校になるまでを支えた39の言葉』(アスコム)がある。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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