• 長年にわたり野草料理を指導してきた“若杉ばあちゃん”こと若杉友子さんがすすめるのは、農薬も化学肥料も有機肥料も使うことなく、野菜よりパワフルな食物になりえる野草です。『若杉ばあちゃんの野草料理&まこもたけレシピ全90品』(PARCO出版)から、早春の野草「ふきのとう」の下処理と、「ふきのとう入り根菜の味噌汁」のつくり方を教えていただきました。

    早春の野草
    ふきのとう

    香り高く、春の訪れを告げる「春の使者」独特の苦味が心臓、肝臓を癒し、便秘解消にも一役!

    画像: 早春の野草 ふきのとう

    「良薬は口に苦し」と言って、春の野草にはすべて苦味があります。苦味は、味のなかで最も陽性で、心臓や血管などの循環器系、肝臓にもよい働きをします。

    そのトップバッターが、雪を割って出てくるふきのとうで、その独特の香り苦味が、食卓に春の訪れを感じさせてくれます。

    この苦味は便秘の解消にも役立つといわれており、冬眠をしていた熊が目覚めて最初に食べるのは、宿便の排出を促すふきのとうなのです。

    冬の間に腸にためていた宿便をふきのとうの苦味で出して体を目覚めさせ、活動しやすい体にするというわけです。それだけ、陽性な苦味は体の中の不要なものを出す力がすごいということです。便秘の人やデトックスしたい人は、毎日少しずつ食べてほしいものです。

    ふきのとうの苦味の元となる成分には咳を鎮め、痰を切る働きもあり、香りの成分が胃腸の働きをサポートすることもわかっています。

    さらにふきのとうは、魚の毒消しになる食材でもあります。ふきやふきの葉も同様ですが、これまで食べてきた魚由来の老廃物の分解にも役立つので、魚をたくさん食べてきた人は、旬を逃さずに入手して、ふき味噌やしぐれ味噌をつくって、常備菜や保存食にするのもよいでしょう。

    ただし、体によいからといっても食べすぎはいけません。ふきのとうは一日にせいぜい1~2個くらいにしてください。昔の人は「量は質を殺す」と言って戒めていますので、食べすぎには十分注意しましょう。

    ふきのとうの下処理

    ふきのとうはきれいに掃除し、天ぷらや味噌汁に散らす場合は、とれたてもので生で使います。和えものや煮びたし、甘酢漬け、味噌漬けなどをつくる際には、大さじ1の塩を加えてゆでてから、水にさらしてアク抜きします。

    しぐれ味噌やふきのとう味噌のように炒める料理には、とれたての新鮮なふきのとうであればアクが少ないので生のまま調理し、とってから時間がたったもの、購入したものなどの場合は、必ずアク抜きしたものでつくります。

     ふきのとうは紫色のところや緑色の濃い部分、軸の黒い部分を除いてきれいにし、洗って水きりする。大きめのふきのとうは縦半分に切る。

    画像1: 87歳・若杉ばあちゃんが伝える“パワフル”な「早春の野草料理」ふきのとう入り根菜の味噌汁のつくり方
    画像2: 87歳・若杉ばあちゃんが伝える“パワフル”な「早春の野草料理」ふきのとう入り根菜の味噌汁のつくり方

     鍋に湯を沸かして塩大さじ1以上を入れ、を入れる。塩が少ないと、アクが抜けないので注意。

    画像1: ふきのとうの下処理

     菜箸でふきのとうを軽く押さえながら、1分ほどゆでる。

    画像2: ふきのとうの下処理

     網じゃくしなどで、ふきのとうをすくいあげる(ザルにあげてもよい)。

    画像3: ふきのとうの下処理

     ボウルにたっぷりの水を用意し、のふきのとうを入れて粗熱を取る。

    画像4: ふきのとうの下処理

     ボウルの水を替え、 のふきのとうを入れ、とれたてのふきのとうなら2~3分、とってから時間がたったものは10〜20分水にさらす。

    画像5: ふきのとうの下処理

    「ふきのとう入り根菜の味噌汁」のつくり方

    画像: 「ふきのとう入り根菜の味噌汁」のつくり方

    根菜と味噌が体を温め、ふきのとうでデトックス!

    材料(4人分)

    ● ふきのとう2個
    ● 里芋小3個(250g)
    ● ごぼう60g
    ● にんじん60g
    ● 胡麻油大さじ1/2
    ● 味噌(できれば三年米味噌)135g
    ● 昆布だし
    ・昆布5×10cm
    ・水5カップ

    つくり方

     土鍋に水と昆布を入れて、6時間以上浸けておく。土鍋を中火にかけ、沸いてくる寸前に昆布を取り出し、冷ましておく。

     里芋とごぼう、にんじんは、目の粗い布かスポンジで泥を洗い落とす。たわしを使う場合は、薄皮をむかないよう優しく洗う。

     里芋の皮を包丁でこそぎ、一口大に切る。

     ごぼうとにんじんは皮つきのまま縦半分に切ってから、厚さ3mmの斜め薄切りにする。

     鍋(あれば炒められる土鍋)を熱して胡麻油を回し入れ、ごぼうを入れて弱火でじっくり炒める。

     ごぼうのアクが抜けて甘い香りがしてきたら、の冷ました昆布だしを注ぎ、里芋とにんじんを加える。ふたをして中火で煮、沸騰したら弱火にする。

     ふきのとうは上記の「ふきのとうの下処理」を参照して掃除し、洗って水きりしてから細かいみじん切りにする。

     味噌をすり鉢に入れての煮汁を少し加え、すりこぎですり混ぜて溶く。

     根菜に火が通ったらを加え、沸騰直前にのふきのとうを散らし、すぐに火を止める。

    *ふきのとうは、食べる直前に散らすこと。

    *時間がたつとふきのとうの苦味が増すので、味噌汁は食べきる量をつくること。

    *こそいだ里芋の皮は、地粉と水、塩を加えて混ぜ、コイン形にして菜種油で揚げ、塩をふるとおいしい。

    画像1: つくり方

    本記事は『若杉ばあちゃんの野草料理&まこもたけレシピ全90品』(PARCO出版)からの抜粋です

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    『若杉ばあちゃんの野草料理&まこもたけレシピ全90品』(PARCO出版)

    『若杉ばあちゃんの野草料理&まこもたけレシピ全90品』(PARCO出版)|若杉友子 (著)

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    今こそ伝えたい、昔からの野草の知恵
    老廃物がたまった体に、野草やまこもたけのデトックス力が注目されています。長いあいだ野草料理を指導してきた若杉ばあちゃんこと若杉友子さんは、安心して使える野菜が少なくなっているという観点から野草をすすめています。農薬も化学肥料も有機肥料も使うことなく、野菜よりずっとパワフルな食物になりえるのだとか。また災害時や食糧難の際に、食べられる野草を知っておくのも大切なことといえます。
    若杉さんが野草と同じぐらい熱心に広めてきたのが「まこもたけ」。まこもたけは水辺で育つイネ科の植物「まこも」の茎が肥大化したもの。収穫期の9~10月に食べておくとデトックスができ、翌年の体調が全然違う、と若杉さんは語ります。この本では、野草の摘み方、掃除法と洗い方、アク抜き法、料理、お茶までを網羅した決定版。まこもたけのとっておきレシピ10品も紹介します。



    〈撮影/畑中美亜子〉

    画像2: つくり方

    若杉友子(わかすぎ・ともこ)
    1937 年大分県生まれ。静岡市で川の汚れを減らす石けん運動などを行うなかで、自然の野草の力に着目。食養を世に広めた桜沢如一の教えを学び、1989 年、「命と暮らしを考える店・若杉」をオープン。1995 年、自給自足の生活を実践すべく、京都府綾部市に移住。陰陽の考え方にもとづいた野草料理と、日本の気候風土に根ざした知恵を伝え続けてきた。著書に『今日も明日も身軽な暮らし』(すばる舎)、『若杉ばあちゃんの食養相談室』『若杉ばあちゃんの伝えたい食養料理』『若杉ばあちゃんのよもぎの力』(すべてPARCO 出版)などがある。



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