• 工芸品というより、日用品として愛されてきたすず竹細工。使う人の要望にこたえるものづくりが信条です。そして、その技術は長きにわたり大切に守られています。岩手・鳥越地区で伝統を守り続けるすず竹細工職人・柴田恵さんたちの、美しい日常のすず竹細工を拝見します。
    (『天然生活』2024年9月号掲載)

    美しい日常のすず竹細工 01
    横長手提げ

    柴田恵作/二本二間飛び網代編み。鳥越の代表的な編み方のひとつで編まれている。最も丈夫な編み方といわれ、恵さんの母・恵美子さんも得意とした。持つとその軽さに驚くが、華奢に見えて強さも併せ持つ逸品。

    画像: 美しい日常のすず竹細工 01 横長手提げ

    美しい日常のすず竹細工 02
    ぽっちゃりかご

    柴田恵作/三本二間飛び網代編み。鳥越の市場かごは戦中、戦後にかけて買い出し用に爆発的に売れた。当時はいかにも実用品らしく角ばった形だったが、恵さんはふっくらとしたデザインを考案し、ぽっちゃりかごと名づけた。

    画像: 美しい日常のすず竹細工 02 ぽっちゃりかご

    美しい日常のすず竹細工 03
    Mスタイルバッグ

    柴田恵作/一本三間飛び網代編み。大正時代、長野県のみすず細工が盛んだったころに、アメリカへの輸出用に考案されたパーティーバッグをモデルに恵さんがデザインした。脇を折り曲げられるのは、スズタケならではの柔軟性による。

    画像: 美しい日常のすず竹細工 03 Mスタイルバッグ

    美しい日常のすず竹細工 04
    二重編み、小引き出し

    鈴木仁太郎作/一本三間飛び網代編み。作者は恵さんの父方の祖母の兄にあたる方。鳥越の編みでは一番高度な編み方で、なおかつ一番難しい技術の二重編みでつくられた小引き出しで、本体はもちろんのこと、引き出しも二重編み。

    画像: 美しい日常のすず竹細工 04 二重編み、小引き出し

    美しい日常のすず竹細工 05
    二重編み、お弁当箱、小文庫、文庫

    穴久保ナミ作/一本三間飛び網代編み。すでに引退されたものの、二重編みのふたものでは右に出る人はいないといわれた。10代から90歳過ぎまでと長く活動し、鳥越のすず竹細工を文字どおり牽引してきた。恵さんも師と仰ぐ。

    画像: 美しい日常のすず竹細工 05 二重編み、お弁当箱、小文庫、文庫

    美しい日常のすず竹細工 06
    豆腐かご

    田村幸一郎作/六つ目編み。このかごをもともと考案したのは、恵さんの母方の伯父の柴田春家氏。すず竹細工は副業でやる人がほとんどのなか、これを生業とした。このかごはTV・CMに起用され、ヒット商品となった。

    画像: 美しい日常のすず竹細工 06 豆腐かご


    〈撮影/在本彌生 取材・文/堀 惠栄子〉

    柴田 恵(しばた・めぐみ)
    1958年岩手県二戸郡一戸町鳥越生まれ。30代で竹細工職人を志す。1995年から2010年まで、鳥越もみじ交遊舎において竹細工指導を行う。その後も私塾を開いて後身の指導にあたり、年に数回、展示会で作品を発表。2024年5月、自身についての本『かごを編む 鳥越のすず竹細工とともに、柴田恵』(リトルモア)が刊行された。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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