• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。今回は、名前を呼ぶと駆け寄ってくる猫たちとのやりとりから、最期まで伝え続けたい言葉のお話です。

    猫との会話を楽しむために。わが家の場合

    名前をたくさん呼びます

    ごはんやおやつのときだけでなく、すれ違ったときにも名前を呼んでみます。少しずつ「これは自分を呼ぶ音」と覚えてくれるように感じます。

    返事は声だけだと思わないようにします

    耳がこちらを向いた、しっぽの先が動いた、まばたきをした。それも猫なりの返事かもしれません。

    うれしい言葉は惜しまず伝えます

    「かわいいね」「大好き」「ずっと一緒だよ」。意味が全部伝わらなくても、やさしい声で話しかけられていることは、きっと伝わると思います。

    叱るときほど言葉を選びます

    名前を呼んで、「危ないよ」「それはやめようね」と伝えます。強い言葉より、してほしくないことを穏やかに伝えるほうが、自分の気持ちも荒れにくくなります。

    猫の“横入り”も会話のひとつとして楽しみます

    ほかの子の名前を呼んだのに飛んでくる猫がいたら、「あなたちゃうよ」といいつつ撫でてしまいます。それも多頭飼いならではの、にぎやかな会話です。

      

    猫と人は、同じ言葉を話せません。

    だからこそ、伝わった気がする瞬間が、こんなにうれしいのだと思います。

    そして、私が何よりも会話をするのは、彼らの最期の瞬間を迎える日々。

    私たち夫婦は、「フィナーレ」の猫たちにいつも語りかけます。「〇〇ちゃん」「好きよ」「大丈夫よ」「ありがとう」......。

    もう食べ物を食べられず寝たきりになっても、私たちの声だけは聞こえていると信じて。ずっと親しんできた名前や語りかけが、彼らのごはんになればと願うのです。

    ◇ ◇◇ ◇◇


    画像: 猫の“横入り”も会話のひとつとして楽しみます

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ、大阪在住。作家、家族療法カウンセラー。夫と10匹の元保護猫と暮らす。心の病や生きづらさを抱えるなか、不治の病をもつ一匹の猫との出会いをきっかけに、「命は、生きているだけで愛おしい」ということを知る。以来、生きづらさのなかにある小さな希望を、ノンフィクションや小説、エッセイに綴りつつ、NHKの福祉番組への出演、全国での講演などでも活動。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日』(KADOKAWA)など。

    ◆note:https://note.com/sakiseri

    ◆ブログ「ちいさなチカラ」

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    「ひとりきりでも、揚げたてコロッケはおいしいけれど、絶滅の前夜、恐竜たちは、誰かと何かを食べたのだろうか」
    大阪の片隅。この世界からこぼれそうな人たちが、ふっと息をつけるうらぶれた居酒屋「飛鳥」。

    ・本日のフランス料理「ちくわぶとねぎのグラタン」
    ・自動販売機の50円のカフェオレチューハイ
    ・猫も喜ぶどて焼きオムレツ
    ・裏メニュー「ぐちゃまぜ豆腐丼」

    雑であたたかなごはんと、傷を負った人々の泥臭いぬくもりを描いた、絶望のなかにあるちいさな灯りの物語(全4編)。



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