• 『天然生活』誌上に、2012年11月号から2014年3月号まで掲載された、人気連載「松田美智子の季節の仕事」。その中から、家庭で簡単にできる「干し豚」のつくり方を紹介します。
    (『天然生活』2014年3月号掲載)

    干し豚 | 1月~

    塩の力は偉大なり  松田美智子

    「大好きな中国料理店『桃の木』で、換気扇のすぐ下にぶら下がっていた塩豚の干し肉を白菜と炒めてもらったのですが、これが忘れられないほどおいしくてシェフの小林武志さんにつくり方を聞いたのが、私の干し豚づくりの始まりです」と、松田美智子さん。

    塩をして干すだけのシンプルなつくり方で、はたしてうまくいくのだろうかと、最初は半信半疑だったそうです。教わったとおり、塩をして冷蔵庫で2週間。そのあと、室内の風通しのよいところに干して2週間。しっかり水分が抜けて甘い香りの漂う豚肉は、断面も見事なピンク色に仕上がりました。薄く切ってさっとあぶれば、イタリアの豚の脂の塩漬け、ラルドのようです。

    「ソーセージやハム、ベーコンなど豚肉の加工品が好きなのですが、完全に無添加でおいしいものはなかなかありません。無理なのかなとあきらめていたのですが、この干し豚で、長年の悩みを解消。おかげでベーコンを購入する回数が減りました」

    ポイントは、冷蔵庫でしっかり塩漬けして水分を抜いてから、換気扇の下など空気の流れがよいところに吊るすこと。塩で凝縮したうま味がさらに増していきます。

    ベーコンのようにスモークの香りがない分、調理法が洋風に限定されないのも利点です。

    干し豚のつくり方

    塩蔵して冷蔵庫で2週間、水分を抜き、うま味を凝縮させ、さらに風干しして表面を乾かすことで、うま味分が熟成。家庭で簡単にできる豚肉加工品です。

    画像: 干し豚のつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● 豚三枚肉1㎏(ブロック)×2枚
    ● A
    ・にんにく(すりおろし)小さじ2
    ・ベイリーフ2枚
    ・塩大さじ2
    ● B
    ・ナンプラー大さじ1×2
    ・酒1/4カップ×2

    つくり方

     豚三枚肉にAをすり込み、1時間、室温に置く。表面に上がってきた水分はペーパータオルでふき取る。

    画像1: つくり方

     1枚ずつ密封できるポリ袋に入れ、Bを注ぎ混ぜ、冷蔵庫に2週間置く。途中、何回か上下を返す。

    画像2: つくり方

     袋から取り出す。ボウルに水を入れてさっと表面を洗い、ペーパータオルでしっかり水けをぬぐう。

    画像3: つくり方

     肉を、竹串などで刺して、空気の流れのよいところ(換気扇の下などがよい)に吊るし、約2週間干す。

    画像4: つくり方

    ※ しっかりと水分が抜けていれば、冷蔵庫で長期保存可能。薄くスライスして、生ハムのように生で食べてもおいしい。

    さっと焼いて

    イタリア名物、豚脂の塩漬け、ラルドのように。

    画像: 薄く切った干し豚を、熱したフライパンであぶる。脂が溶けかけてきたところを食べる

    薄く切った干し豚を、熱したフライパンであぶる。脂が溶けかけてきたところを食べる



    <料理/松田美智子 撮影/川村 隆 取材・文/小松宏子>

    松田美智子(まつだ・みちこ)
    日本料理をベースにした家庭料理の教室を主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった四季の保存食づくりをベースに、現代の生活でも無理なくできる、季節の食の楽しみを提案。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    ※ ※ ※

    天然生活の本『季節の仕事』(松田美智子・著)
    天然生活の本
    『季節の仕事』(松田美智子・著)

    天然生活の本『季節の仕事』(松田美智子・著)

    A5判
    定価:本体 1,400円+税
    ISBN978-4-594-08481-3

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