面倒くさがりでも、楽にできてすっきり見える収納法を日々研究している、エッセイストの柳沢小実さん。
今月の表紙は、特集内で、“頻度別” に整理整頓をするという画期的な方法を紹介してくださった柳沢さんの、自宅リビングでの一枚です。
実は、この写真、「リビングなどのパブリックスペースに置いてしまった私物は、自分の部屋へ片づける」という実例を紹介するための写真。
食器棚脇のスツールに置いてあるバッグやストールは、整理整頓前の状態をイメージしたものなのです。
撮影時は、「疲れて帰ってきて、バサッと置いてしまった感じを出す」ことを目指して、ストールをわざと崩しながら(柳沢さんに帰ってきた感じを再現してもらいながら……)、試行錯誤していたのでした。
まさか、整頓前の写真が表紙になるなんて、編集担当はじめ、柳沢さんもスタッフも、思ってもいませんでしたから、決定したときは、喜びもひとしおでした。
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一緒に写っている、すっきりと整えられた食器棚は、約10年前、編集担当がはじめて柳沢さんのご自宅にお伺いしたころから活躍しているもの。
実は、こちらは、イギリスのオーク材の「本棚」。
柳沢さんが結婚後にはじめて買った家具で、13年前くらいに目黒のアンティークショップでご縁をいただいたものだそう。
本棚を食器棚として使っていると伺ったとき、その発想の転換がとても鮮烈だったことを覚えています。
奥行きがないから、ものを取りづらいといこともなく、高さもないので、上に何が入っているかわからないということもない。
そして、食事の支度がスムーズに行えるよう、ダイニングテーブルから近いリビングが定位置なのだとか。
その当時のご自宅は、いまよりもコンパクトな賃貸の一室でしたが、
年を重ね、家が変わっても、収納の基本は変わらず、大切に大切に使い続けられている食器棚。
「きっと年を重ねても、飽きずに、違和感なく使えるかなと思って」選んだ、一生ものの家具は、これからも柳沢さんのよき相棒として、暮らしを豊かに彩ってくれるのだろうな、と思います。
今回ご一緒させていただたフォトグラファー・滝沢育絵さん、ライター・長谷川未緒さん、
そして、柳沢小実さんに感謝を込めて。
※ 柳沢小実さんの記事「自分のペースで整理整頓」は、『天然生活』2019年12月号、P.46~51に掲載されています。