写真について:「肩が固まって動きにくいという先入観があって、以前はシャツが苦手だった」という華順さん。着心地のいいこのシャツを着るようになってからは、イメージが一変したそう
(『天然生活』2017年10月号掲載)
「ものをつくる」気持ちを共有できる心地いいシャツ
革仕事は体力勝負でもあるので、かつては、「汚れても気にならない服」「動きやすさ」といった、ある意味、消極的な理由で仕事服を選んでいた時期もあったという華順さん。
けれども、ものづくりを続けているうちに、
「作品にはつくるときの気持ちが表れてしまうものだから、制作時の気分がとても大事。だから、体にも心にも、自分が心地よくなれるものを着たい」
と思うようになっていきました。
ここ最近、「手放せない」と感じている平岩夏野さんのシャツも、そんな一枚です。
平岩夏野さんのシャツ
「しなやかだけど丈夫で、シャツ特有の堅苦しさもなく、一日中、着ていても楽ちん。それでいて、衿があるからきちんと見えて、ちょっとしたディテールまで配慮されているから、うれしくなります」
個展前などには朝起きた直後から夜寝る直前まで、工房を兼ねる自宅でハードな制作を続けてしまうという華順さん。
そんな制作活動を気持ちの面から支えてくれるのは、やはり同じようにものづくりをしている人々による、誠実な服に触れること。
平岩さんもまた、華順さんと同じ町に住む、ものづくりの仲間です。
「手にするたびに不思議とエネルギーをもらえるし、『自分も一緒に頑張ろう』と、気持ちを新たにすることができるんです」
裾のボタンを留める位置を変え、表情に変化を
前後で丈が違い、後ろは、お尻もほぼ隠れる長さ
ちょっと、革の買い出しへ。外出時は白いキュロットにインして
〈撮影/大森忠明 取材・文/田中のり子〉
華順(かじゅん)
プロダクトデザイン事務所に勤務後、オーダーメイドの革鞄店で修業し、2003年に革作家として独立。年に数回の個展、グループ展などで作品を発表している。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです