(『天然生活』2021年1月号掲載)
Kさん(43歳)
4人家族の主婦。結婚当初に購入したステンレス包丁と包丁研ぎ器を使用。研ぎが鈍くなっているので、新たに探している。
Wさん(39歳)
夫とふたり暮らしの会社員。趣味は料理。さまざまな素材の包丁を持ち、和食の料理教室にも通い、片刃の包丁も使い始めた。
Yさん(31歳)
独身OL。毎日、料理をし、ステンレスと鋼の包丁を持っているが、メンテナンスには無頓着。切れ味の悪さに困っている。
◇ ◇ ◇
Kさん(以下K):包丁研ぎ器は、包丁のあごから切っ先まで(*1)一定の角度で砥石に当てられる、溝状のガイドがポイントです。
Wさん(以下W):板状の砥石より、切れ味の持ちは一時的ですが、日常の手入れには手軽ですよね。
Yさん(以下Y):ええ。研ぎ器の砥石は2種。交差式 は、V字型に交差した研ぎ石に刃先を挟んで引き、刃先が 横方向に研げます。
K:それに比べて、回転式 は、砥石自体が回転し、砥石で直接研ぐのと同じ、縦方向に研げます。
W:砥石の材質は、セラミックが主流ですが、硬くて削る力が強いダイヤモンドもあります。
Y:砥石がひとつの研ぎ器もあれば、磨耗した刃先を削る「荒研ぎ」、荒研ぎした刃先を整える「仕上げ研ぎ」など、砥石の種類や材質を組み合わせて、複数の工程で細かく仕上げる研ぎ器もありますね。
K:なるほど。選ぶうえでの注意点は、研ぎ器によって使える包丁の刃の種類と素材が限定されている こと。まずは、ステンレス製両刃包丁専用から見てみましょう。
W:今回のふたつは、セラミック製の砥石で、荒研ぎと仕上げ研ぎができる共通点がありますね。
Y:ええ。ビクトリノックスは、砥石の回転をボタンで切り替え。
1 ビクトリノックス/2ステップ ナイフシャープナー
ボタンひとつで2工程の研ぎ方を切り替えられる
ステンレス製の両刃包丁専用。回転式のセラミック製砥石の動きをボタンで切り替えられ、荒研ぎと仕上げ研ぎが可能。荒研ぎ時は砥石の回転が止まり、本体の溝に包丁のあごを立てて軽く押し当て、3~4回、切っ先まで手前に引く。仕上げ研ぎ時は砥石が緩やかに回転し、包丁を軽く引くようにして研ぐ。
〈Yさん〉
包丁研ぎに見えない曲線形は、人間工学に基づくデザイン。しっかり安定して握れて、初心者でも研ぎやすいです。左利きでも使用可
価格:4,500円 寸法(*4):幅20×奥行き5.3×高さ6.5cm 質量:180g 材質:本体・スイッチ=ABS樹脂、砥石=アルミナ系セラミック 色:2色展開
(問)ビクトリノックス ジャパン
TEL.03-3796-0951
https://www.victorinox.com/
K:ツヴィリングは、2種の砥石を付け替えて使用します。
2 ツヴィリング/ツヴィリング V-エッジ
研ぎ直しと仕上げが片手でできるV字型の砥石
ステンレス製の両刃包丁専用。アダプターに装着した、荒研ぎ用か仕上げ研ぎ用のセラミック製砥石を本体中央にV字型に設置。その間に包丁のあごをのせ、切っ先まで上から下へと斜めに深く滑らせながら手前に引いて研ぐ。アダプターは日本製包丁用と日本製以外用の2種あり、刃先を最適な角度で研げる。
〈Kさん〉
V字型の砥石に上から下に斜めに通すので、まっすぐ引くよりも刃を傷つけないよさが。片手で使え、料理前にさっと研げるのもいい
価格:8,000円 寸法:幅20×奥行き8×高さ21cm 質量:1046g 材質:本体=プラスチック、砥石=セラミック
(問)ツヴィリングお客様相談係
➿0120-75-7155
http://www.zwilling.jp/
W:次に、ステンレス以外の両刃も研げるタイプ。京セラは、ダイヤモンド砥石ひとつで鋼やチタン、セラミック(*2)にも対応。
3 京セラ/ダイヤモンドロールシャープナー DS20S
金属製もセラミック製も研げるダイヤモンド砥石
両刃包丁であれば、ステンレスに加え、鋼やチタン、セラミック(*2)まで、幅広い素材のものを1台で研ぐことができる。回転式の砥石は、高い研磨力を持つ工業用ダイヤモンド製。本体の溝の中心に包丁のあごを合わせて立て、ゆっくりと数回、軽く手前に引いて研ぐ。使用後の水洗いが可能。
〈Wさん〉
幅広い材質の包丁が1台で研げる、汎用性の高さが魅力。小さくて軽いのに、握りやすく、研いでいるときの安定感は抜群です
価格:2,000円 寸法:幅13.6×奥行き5.5×高さ5cm 質量:60g 材質:本体=ABS樹脂・ポリアセタール、砥石=工業用ダイヤモンド、その他=ステンレス鋼・熱可塑性エラストマー
(問)京セラ お客様相談室
フリーコール0120-984-009
https://www.kyocera.co.jp/prdct/kitchen/
Y:貝印は、鋼製にも対応。ダイヤモンド製と2種のセラミック製の砥石で3工程を研ぎ分けます。
4 貝印/関孫六 ダイヤモンド&セラミックシャープナー
ステンレスと鋼を3工程で研げて収納もコンパクト
両刃のステンレス製と鋼製包丁向き。ダイヤモンド製のV字型砥石で刃先を荒研ぎし、回転式のセラミック製砥石で刃先に角度をつけて薄く調整、きめ細かいセラミック製のV字型砥石で表面をなめらかに整える、という3つの工程が1台で行える。本体の各溝に包丁のあごを立てて、手前に引いて研ぐ。
〈Yさん〉
溝には工程順に1~3の表示があり、迷わず研げます。スライド式のカバーは研ぐ際、持ち手になり便利。小さく収納できるのもいい
価格:2,000円 寸法:幅21(収納時=14.1)×奥行き5.1×高さ5.5cm(編集部調べ) 質量:96g 材質:本体=ABS樹脂、砥石=ダイアモンド・アランダム系セラミック、カバー=AS樹脂・ABS樹脂・熱可塑性エラストマー
(問)貝印 お客様相談室
➿0120-016-410
https://www.kai-group.com/
K:下村工業はチタン製にも対応していますね。板状の砥石と同様、2種のセラミック砥石を水で濡らして行う、水研ぎができます。
5 下村工業/プログレード ダブルシャープナー
両刃のステンレス・チタン製向けの水研ぎタイプ
両刃のステンレス製とチタン製の包丁向き。回転式のダイヤモンド製砥石で荒研ぎを、同じく回転式のセラミック製砥石で仕上げ研ぎが行える。水研ぎができ、研ぎかすが溝にたまらず、洗い流せて手入れも楽。本体カバーの上から各溝に包丁を立て、奥と手前に刃先全体を各10回ほど往復させて研ぐ。
〈Kさん〉
ダイヤモンド砥石は、包丁に吸い付くようにしっかり研げます。持ち手が握りやすく、底面に滑り止めも付き、安定感があります
価格:2,300円 寸法:幅19.5×奥行き5×高さ6cm 質量:110g 材質:本体=ABS樹脂、砥石=ダイアモンド・アルミナ系セラミック、滑り止め=ゴム
(問)下村工業
TEL.0256-38-3311
https://www.shimomura-kogyo.co.jp/
W:水研ぎといえば、スエヒロも。3種のセラミック砥石を使い分けて、ステンレス製と鋼製の両刃包丁に加えて、片刃の和包丁にも対応して研げる、優れもの。
6 スエヒロ/トリプルシャープナー「プロ」KC-303
両刃のステンレス・鋼と片刃の和包丁を水研ぎ可能
砥石と包丁研ぎ器の専門メーカーが手掛けた、水研ぎタイプ。研ぎ味の違う、回転式の3種のセラミック砥石が付き、両刃のステンレス製用、両刃の鋼製用、出刃包丁や柳刃包丁などの片刃用に使い分ける。砥石のローラーが上下に稼働して刃先を逃さず安定して研げる、独自のサスペンション機能付き。
〈Wさん〉
片刃用のセラミック砥石は、刀の仕上げに使われるほど繊細に研げる種類を採用。砥石の回転がなめらかで刃先の動かしやすさに感激
価格:5,000円 寸法:幅20×奥行き6×高さ7cm 質量:170g 材質:本体=ABS樹脂、砥石=ホワイトアルミナWA・セラミックス、滑り止め=エラストマー樹脂
(問)末広
TEL.025-273-4374
https://www.suehiro-toishi.com/
Y:いろいろあるわ。砥石は摩耗するので、長く使うなら交換できるもの(*3)を選ぶのも手です。
◇ ◇ ◇
※「編集部調べ」の寸法は、編集部が計測した参考値です。
*1:包丁の「あご」は刃元の直角部分、「切っ先」は刃の先端部分のことです。
*2:セラミック包丁は、京セラ製に限り使用できます。
*3:のツヴィリング、の下村工業、のスエヒロは、別売りの交換用砥石があります。
*4:寸法は、研ぐときの置き方を基に、横の長さを「幅」、縦の長さを「奥行き」として記載しています。
〈撮影/鈴木江実子 イラスト/ヤマグチカヨ 構成・文/秋山香織〉
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです