(『季節を味わう癒しのお菓子』より)
ハーブとスパイスの余韻
一生懸命頑張りすぎることで、バランスが偏り、崩れていくことがあります。ある時期、私はお菓子をつくり続ける生活のなかで、体や心のバランスを崩す経験をしました。
そんなとき、決まりごとから少しはずれて、気持ちをゆるめたいと思いました。それが、ハーブやスパイスを使った冒険のはじまりです。
飾るハーブも精油の香りも大好きですが、たとえば、その「好き」をお菓子で感じられたなら、自分の仕事にもっと愛情をもてるのではないか、と思ったのです。
素材のもつ甘味を生かしながら、ほんの少し、好みのハーブを加えたり、スパイスの香りで気分を刺激したり。お砂糖の甘さだけでないお菓子は、口の中にふくよかな余韻が残ります。
余韻ーそれは人にとって最高に幸せな感覚のひとつですから、私もじっくり深く味わっていきたいと思います。
春野菜のクラッカーのつくり方
材料(直径6.5cmの花型約20枚分)
◎ にんじん | 20g |
◎ 玉ねぎ | 50g |
◎ バター | 50g |
◎ 天然塩 | 3g |
◎ 薄力粉 | 300g |
◎ 好みの柑橘の皮 | 2g |
◎ 米油 | 70g |
◎ パセリ(ドライ)、粗塩 | 各適量 |
下準備
柑橘の皮はごく細かなみじん切りにし、1日ほど天日干しして乾燥させる。バターは室温におき、やわらかくしておく。オーブンを170℃に予熱する。
つくり方
1 にんじん、玉ねぎはみじん切りにし、フライパンに入れて水けをとばすように火を入れる。ぱさぱさになったら、火からおろし、冷ます。
2 ボウルにバターと塩を入れてゴムべらですり合わせ、塩がまんべんなく混ざったら、薄力粉を2回に分けて加え、1と柑橘の皮を加えて軽く混ぜる。米油を加え、ひとまとまりになるまでゴムべらで混ぜる。
3 2の生地をオーブンシートにのせ、さらにオーブンシートをかぶせてめん棒で25×30cmサイズにのばす。冷凍庫で5分ほど休ませ、型抜きしやすい状態にする。
4 3の生地を型で抜く。生地がかたいうちにオーブンシートを敷いた天板に並べ、フォークでクッキー生地のまんなかに穴をあける。
5 4の上にパセリと粗塩をふり、170℃ のオーブンで20分、160℃に下げて10分を目安に焼く。
<撮影/公文美和 スタイリング/千國奈々子 原稿整理/福山雅美>
※本記事は『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)からの抜粋です
長田佳子(おさだ・かこ)
菓子研究家。三重県生まれ。オーガニックレストラン、老舗フランス料理店などで修業ののち、2015年に独立。ハーブやスパイスなどを使いながら、人を癒せるような、滋味あふれるお菓子を、日々、研究している。また、雑誌『天然生活』にて、「はじめての、やさしいお菓子」を連載中。
『季節を味わう癒しのお菓子(天然生活の本)』(長田佳子・著/扶桑社・刊)
foodremedies(フードメディ)の屋号で、心と体にやさしいお菓子を提案する長田佳子さん。「remedies」という言葉には、癒すことや治療する意味があります。季節に寄り添い、ハーブの香りやスパイスの効能をうまく使いながら、体に負担をかけない、やさしいお菓子を提案します。