私たちの「過剰消費」を抑えるには、欲しいものを自分でつくることも有効です。少しづつつくれる物を増やしていき、楽しみながら買い物やごみの量を減らしていきましょう。
(『ギフトエコノミー 買わない暮らしのつくり方』より)
私たちがつくれるもの
私たちがたのしくつくっているものをヒントとして紹介しましょう。材料費はほぼゼロ。でも毎日使うような便利なものばかりです。友人や家族へのプレゼントにもぴったり。
ただ、これはあくまでも「とりあえず」のリスト。つくれるものは何百とありますし、手作りのものは何だって―ケチャップもヨーグルトもマヨネーズも―市販品よりずっとおいしいのです。
あと、このリストを義務のように捉えたりもしないでください。まずは小さな一歩から。最初は2つか3つ選んでやってみて、買い物やごみの量が減りそうか、シェアリングが増えそうか、感触をつかんでみてください。
つくれるもの1 生ごみ堆肥
リーズルの庭のコンポストは毎日ホカホカ発酵しています。コンポストがなかったら、ごみはずっと多く出ているはずだし、畑の堆肥もお金を出して買わなければいけません(こんなに簡単に作れるの
に!)。
大きな木箱があれば、外置きのコンポストには十分。庭がない人向けのタイプもありますので、ギフトエコノミーにも尋ねてみましょう。生ごみと自然素材のごみはすべて中に入れられます。数週間ですばらしい堆肥が完成します。
つくれるもの2 ネコの爪とぎ
思うに、あの一般的なカーペット素材の爪とぎを使っていたら、あなたのかわいい“毛獣さん”はますます本物のカーペットやソファをひっかきたくなってしまいます。本物の木の枝を与えて爪とぎさせてあげれば、家具は放っておいてくれるはず。
ほどよくカーブした太い枝を見つけましょう。Y字の小枝が2本ほどついていると、仔猫があちらからもこちらからも登れて好都合です。底の部分をのこぎりで切り落として、パーティクルボードなどにネジで固定するといいでしょう。
つくれるもの3 ネコのおもちゃ
赤ちゃん用の靴下を使います。もしなければギフトエコノミーでゆずってもらいましょう。必ずだれかが「片足しかないもの」を持っています。
1 靴下の2/3くらいまで、古布など詰め物になるものを入れ、ドライのキャットニップ(西洋マタタビ)を少々、ポテトチップスなどの袋をカットしたしわくちゃのプラスチックを2~3枚、あれば小さな鈴も入れる。
2 編み糸やひもで靴下の口をしばる(少し長めに余らせて「しっぽ」のようにするのがコツ)。
できあがったらネコにプレゼント、またはいくつもつくって地元の動物保護施設などに寄付します。
つくれるもの4 ブックカバー
娘が高校に入学したとき、レベッカはハタと気づきました。もはやだれひとりとして紙袋で教科書のカバーをつくったりしていないのです。
さっそく娘にこの重要なスキルを伝授したレベッカ。ついでに自分が毎日ぬかるみの中、8キロもの上り坂を鉛のように重い本を持って通学した思い出も語ったのでした。
「紙袋からブックカバーをつくったことがない」もしくは「つくり方を覚えていない」という人は、図書館の司書さんに訊いたり、インターネットで方法を検索してみてください。
簡単にさっとつくれてお金もかからず、絵を描いたり、コラージュしたり、自由自在。そして、量販店の文具コーナーに並んでいるストレッチ素材の合成カバーよりも、ずっと地球にやさしいです。
本記事は『ギフトエコノミー 買わない暮らしのつくり方』(青土社刊)からの抜粋です
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リーズル・クラーク(著者)
米ワシントン州在住。映像作家・ディレクターとして、「ナショナルジオグラフィック」や「NOVA」、BBC などの科学番組やドキュメンタリーを数多く制作。エミー賞をはじめ、受賞歴多数。その傍ら、ネパールの山村の子どもたちのために私設図書館をつくるなど、現地の子どもたちの識字力向上にも取り組む。パートナーの登山家ピート・アサンズ、ふたりの子どもたちとともに、ヒマラヤをはじめとする世界各地を旅する。
レベッカ・ロックフェラー(著者)
米ワシントン州在住。ソーシャルメディアコンサルタント。市民運動、非営利団体主宰、文筆業などを経て、リーズル・クラークとともに「買わないプロジェクト」を立ち上げ、ギフトエコノミーの一大ムーブメントを巻き起こす。ふたりの娘とともに、鶏を飼い、野菜を育て、花を植え、島暮らしをたのしんでいる。エバーグリーン州立大学卒業。
服部雄一郎(訳者)
高知県在住。役所でごみの仕事に従事したのち、カリフォルニア、南インドを経て、山のふもとに移住。ブログ「サステイナブルに暮らしたい」(sustainably.jp)ほかSNSや各種媒体でエコロジカルな暮らしについて発信。訳書に『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ)、『プラスチック・フリー生活』(NHK出版)ほか。カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院修了(修士)。
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ヒマラヤの小さな村で「見返りをもとめない贈与」=真のギフトエコノミーに出会った著者は、友人と二人で不用品などのゆずり合いサイト「買わない暮らし」を立ち上げました。
そしてサイトはまたたく間に全米から世界各地に広がり、一大ムーブメントを引き起こしました。この運動は単にエコというだけではなく、隣人とのつながりも深めるという意味で、新しいライフスタイルを提言しています。
コロナ時代だからこそ求められる、読むだけで簡単に始められる、地球とお財布にも優しい「新しい生活様式」がここに!