(『ギフトエコノミー 買わない暮らしのつくり方』より)
意識的に買い物することが大切です
「買う」場合についても一言。買わなければいけない時にどうするか? 買うのをやめ、借りたり、ゆずってもらったり、既にあるものをなおしたりすることで、おそらくお金や時間がある程度節約できていることと思います。
ですから、いざ買わなければいけない時も、できる限り、中古やローカルの買い物を心がけ、ごみ処理場行きとなるものを減らし、コミュニティやローカルビジネスを盛り上げましょう。そして、できる範囲でいちばん品質のよいものを買います。
使い捨てをいくつも買うのではなく、長持ちするつくりのものに目を向けましょう。
たしかに、値段は少し高いかもしれません。でも、耐久性にすぐれたものは、1ヵ月や1年や2年では壊れません。つまり、長い目で見れば、結局はその方が節約になるし、ごみ処理場を救うことにもなるのです。
日用品には「計画的陳腐化」と言う、メーカーがわざと商品の寿命を短縮するマーケティング手法があふれているので、買うからにはベストのものをリサーチすべきです。苦労して稼いだお金は、きちんと保証書のついた製品や、高評価がついている製品、または簡単に修理できる製品につぎ込みたいところ。
質のよい素材でつくられたアイテムを買えば、その分長持ちします。
買い物は投票です
ご存知かもしれませんが、買い物というのは、実は政治的な行為でもあります。あなたはだれに自分のお金を渡したいですか? どんな会社を大切にしたいですか?
すべての買い物に意識的になりましょう。私たちのお金を受け取る会社について注意深くリサーチし、私たちがサポートするに値する会社かどうか判断するのです。
過去に環境汚染を引き起こしていないか? フェアトレードを実施していたり、リサイクルや廃棄など、製品が寿命を迎えたあとまで見据えた計画を備えているか? 世界に善をもたらすよう努力しているか?
たとえば、私たちが見つけた「Who Gives a Crap」という会社は、再生紙使用&プラスチックパッケージフリーという社会的良心あるトイレットペーパーをつくっています。
利益の50%は世界各国のトイレの建設に寄付されているとのことで、私たちは毎月、自分たちのお金をこの特別なトイレットペーパーに費やせることを心からうれしく思っています。
どうか忘れないでください。
企業の世界は、消費者の上に成り立っているのです。ですから、消費者であるあなたは、財布のお金を使って「投票」し、どの製品を買うかという選択を通して、企業により健全で持続可能な手法の導入を促すパワーを備えているのです。
何かを買うとき、あなたは一度きりのつもりで買いますか? つまり、責任ある企業によってしっかりつくられた製品にお金を費やすことによって、手放さない限りはずっと使えるようなものを選びますか? こういう保証を実際にしているメーカーもあります。
また、クラシックな鉄のスキレットのように、ちゃんと手入れしている限り、永遠に壊れない製品もあります。わが家にも、まさにこのような感じでずっと使い続けているアイテムがいくつかあります。
何か欠陥が出てきたとき、会社がきちんと交換してくれて、願わくば交換した商品も、リサイクルしたり修理したりして、素材がごみにならないようにしてくれる製品には、より高い金額を支払う価値があります。
毎日使うようなアイテムを最終的にどうしても買わなければいけないということになった場合は、意識的にオプションをリサーチし、ベストのアイテムにお金を投入するようにしましょう。
家の中にあるものを探そう
そして、覚えておいてください。偉大なる合い言葉は「まずは家の中で買え」。そう、家のたんすやクローゼットの中ほどすばらしい「買い物」の場所はほかにないのです。おかずも、家の冷蔵庫や食料貯蔵棚の中で「買いましょう」。何せ、町でいちばん安い食料品店はここですから。
そして服も、ショッピングモールに出かけていって新しい物を買ったりせず、自分のクローゼットや引き出しの中からつくり出せばよいのです。自分の力にきっと驚かされるはずですよ。
こうしてお金が節約できたら、そこには二重のメリットが生まれます。
まず、より健全な地球と、より力強いコミュニティがつくられる。そしてあなたは、節約できたお金を自分が信じるところに投じて、自分が住みたいと感じる世界にお金を回していくことができるのです。
本記事は『ギフトエコノミー 買わない暮らしのつくり方』(青土社刊)からの抜粋です
リーズル・クラーク(著者)
米ワシントン州在住。映像作家・ディレクターとして、「ナショナルジオグラフィック」や「NOVA」、BBC などの科学番組やドキュメンタリーを数多く制作。エミー賞をはじめ、受賞歴多数。その傍ら、ネパールの山村の子どもたちのために私設図書館をつくるなど、現地の子どもたちの識字力向上にも取り組む。パートナーの登山家ピート・アサンズ、ふたりの子どもたちとともに、ヒマラヤをはじめとする世界各地を旅する。
レベッカ・ロックフェラー(著者)
米ワシントン州在住。ソーシャルメディアコンサルタント。市民運動、非営利団体主宰、文筆業などを経て、リーズル・クラークとともに「買わないプロジェクト」を立ち上げ、ギフトエコノミーの一大ムーブメントを巻き起こす。ふたりの娘とともに、鶏を飼い、野菜を育て、花を植え、島暮らしをたのしんでいる。エバーグリーン州立大学卒業。
服部雄一郎(訳者)
高知県在住。役所でごみの仕事に従事したのち、カリフォルニア、南インドを経て、山のふもとに移住。ブログ「サステイナブルに暮らしたい」(sustainably.jp)ほかSNSや各種媒体でエコロジカルな暮らしについて発信。訳書に『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ)、『プラスチック・フリー生活』(NHK出版)ほか。カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院修了(修士)。
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ヒマラヤの小さな村で「見返りをもとめない贈与」=真のギフトエコノミーに出会った著者は、友人と二人で不用品などのゆずり合いサイト「買わない暮らし」を立ち上げました。
そしてサイトはまたたく間に全米から世界各地に広がり、一大ムーブメントを引き起こしました。この運動は単にエコというだけではなく、隣人とのつながりも深めるという意味で、新しいライフスタイルを提言しています。
コロナ時代だからこそ求められる、読むだけで簡単に始められる、地球とお財布にも優しい「新しい生活様式」がここに!