パンの種類が選べるのも楽しい、絶品サンド
お店のパンを使ったサンドイッチセットやトーストセットを、開店の8時から一日中楽しめることでも人気を集める「パーラー江古田」。ソフトドリンクからお酒まで用意され、おいしいコーヒーと一緒にモーニングを楽しんだり、遅めのランチやパン呑みを満喫したりと、お客さんは思い思いに過ごしています。

テーブル席のほかに、カウンター席もあります。近くに住む常連さんのほか、遠方から足を運ぶ人も多い

テイクアウト用のパンは、開店の8時から9時頃までが最も多く揃います。夕方には品薄になるので、早めの時間に訪れて

バゲットをはじめ、チャバタやリュスティックなど食事パンが充実

おやつパンは少なめですが少数精鋭。「キャラメルバナナのブリオッシュ」は定番人気です
トーストセットは、厚切りの食パンに、3種類のパンのスライスがそれぞれ2枚つくという、ボリュームたっぷりのメニュー。サンドイッチセットは、全部で7種類ほどあり、なかでも人気は「チキンとまいたけのオーブン焼き」「季節の野菜のオーブン焼き」「ハムサンド」なのだそう。
「季節の野菜のオーブン焼き」は、オーブンで焼いた旬野菜をバルサミコソースで味付けしてサンドしたもの。野菜のみずみずしさと味わいの濃さに驚く逸品です。

この日の野菜は、新玉ねぎとスナップエンドウ。パンは「湘南小麦のカンパーニュ」でつくっていただきました

サンドイッチのパンは、お店のパン11種類ものなかから選べます。どれにしようか毎回選ぶ楽しさが

自家製のレーズン酵母とルヴァン種で焼き上げた「ごまパン」も、サンドイッチに選べます。内側に黒ゴマがたっぷり、外側には白ゴマをこれまたたっぷりまぶした、ゴマの風味豊かなパン
サンドイッチのメニューを眺めていると、気になったのが「マグロカツサンド」というひと品。「パン屋さんでマグロを具材にするのは珍しいですよね」と、店主の原田浩次さんにお聞きすると、こんな答えが返ってきました。
「いまシェフズ・フォー・ザ・ブルーという、海産資源を守るための取り組みをしていく飲食関係者のグループの活動に参加していて、その活動の一環なんです。サスティナブル・シーフードとして認証を得たびんちょう鮪が手に入るようになったので、『マグロカツサンド』をやろうと。
ほんとに海に魚がいなくなってきているので、みんなが消費活動を変えるための活動をしていかないとやばいなという。僕的に初めて社会的に活動しなきゃいけないなと思っていて」

「マグロカツサンド」はお酒との相性抜群。パン呑みのお供にどうぞ
ナチュラルワインとの出合いが、パンにもたらしたもの
「パーラー江古田」といえば、パンのおいしさもさることながら、店主、原田さんの魅力的な人柄がお店の魅力にもなっていて、原田さんとのお喋りを楽しむお客さんも多くいらっしゃいます。でも最近、原田さんは朝にパンを焼いた後は、近くにオープンさせた自然派ワインの角打ち兼販売所「パーラーさか江」で仕事をすることが多くなったのだとか。
原田さんが自然派ワインに興味を持ったのは、「パーラー江古田」を始めて少ししてから。その後、一気にのめり込んでいったのだそう。
「ナチュラルワインのつくり手たちは、僕らがパンとか料理とかつくっているのにすごく近い感覚でワインづくりを行っているというか。それでワインのつくり手たちのことが気になって仕方なくなって、ヨーロッパの産地に出向いたりしました。彼らのワインづくりやぶどう栽培の話を聞いていると、ものすごく勉強になるんですよ。ワインと出合ってなかったら、いまみたいなお料理やパンの進化はなかっただろうなって思います」

店主の原田浩次さん。パンを買ったら「パーラーさか江」に立ち寄って、おすすめのワインを教えてもらうのもいいですね

知り合った生産者たちが訪日した際に、「パーラー江古田」に立ち寄ることも多い。原田さんに宛てたメッセージが壁一面に書き込まれています

「パーラーさか江」では、年間150種類以上もの野菜を生産する千葉県四街道市の農家「キレド」から届く、珍しい野菜も扱っています
「つくり手たちの生き方やポリシーを聞いて、それが自分たちのつくるパンや料理に生きるという感じですね」とも話す原田さん。単にパンの製造方法だけに目を向けず、広い視点でパンや料理を捉えているからこそ、得るものがたくさんあるのではないでしょうか。進化し続ける「パーラー江古田」のパンを、ぜひナチュラルワインと一緒に楽しんでみてくださいね。

<撮影/山川修一 取材・文/諸根文奈>
パーラー江古田
03-6324-7127
8:30~18:00
火休み
東京都練馬区栄町41-7
最寄り駅:西武池袋線「江古田駅」