スタイルを決めるうえで大切なのは、クローゼットの中を把握しておくこと。どんな雰囲気が好きで、どんなシルエットが似合うのか……。今回は、自分らしいおしゃれを楽しむ鞄作家・谷 賢淑(タニ・ヒュンスク)さんに、クローゼットを見せてもらいました。
(『天然生活』2012年10月号掲載)
パリから鎌倉へ。味わいあるものを大切に
真っ白く塗られたルーバーの扉を開くと、鮮やかなターコイズブルーが目に飛び込んできます。とりどりの洋服のほか、壁には幾つもの帽子がかけられ、色柄の美しい箱が並びます。さすがはパリ仕込み。クローゼットの持ち主は、鞄作家の谷 賢淑さんです。
2009年4月まで、パリで暮らしてきた谷さん。息子さんの進学を機に神奈川・鎌倉に居を構えました。
「自分専用のクローゼットなんですが、容量が小さいので、かける洋服を主に収納しています。壁は夫が塗ってくれて、帽子をかけるフックをたくさん付けたんです」
季節を問わず並ぶ洋服は、パリで長年愛用していたもの、鎌倉に移り住んでから購入したものなど。
新しいものもあれば、アンティークや古着などもあります。味わいのある古いものを大切にする谷さん。それは、お手製の衣類カバーからも、そっと伝わってきました。
鞄作家 谷賢淑さんのクローゼットの中身を拝見
春・夏
トップス
・カットソー(Tシャツなど半袖) 11枚
・ブラウス、シャツ(半袖) 16枚
春夏のブラウスは、リネンやガーゼコットンなど肌に気持ちいい素材を選んで。「イザベルマラン」やヴラスブラムのほか、フランスで購入したビンテージ物など
・タンクトップ、キャミソール 9枚
ボトム
・スカート 6枚
・パンツ 6枚
春夏のパンツはワイドタイプが多い。着心地がいいリネンやコットンなどが多く、さらっとした風合いの涼しくてラクチンなものを。ヴラスブラムのリネンなどがお気に入り
・レギンス 9枚
レギンスは、重ね着しても暑苦しくならないように、薄手のコットンやリネン素材のものをチョイス。色合いも白や生成などで軽やかに。セレクトショップなどで購入
アウター
・ジャケット 5枚
電車やバスに乗るときなど、ちょっと肌寒いときに一枚あると便利。重たい印象にならないように明るめの色を。リネンやコットンなど、さらっとしたものをチョイス
その他
・ワンピース 12枚
ナチュラルなデザインながらも、レースや刺しゅうなど、ちょっとしたアクセントがあるワンピースを。リネンや薄手のコットン製で、パリで購入したビンテージも
・巻き物(リネンやコットン) 13枚
・ベスト 0枚
谷賢淑さんの春・夏 服グラフ
秋・冬
トップス
・カットソー(長袖) 12枚
カットソーはシンプルなデザインのものが多く、サイズ感が合えば色違いでそろえる。カットソーを2枚重ねて着ることも。セレクトショップや無印良品のものなど
・ブラウス、シャツ(長袖) 18枚
・セーター(プルオーバータイプ) 8枚
・セーター(前開きタイプ) 10枚
ウールのほかリネンやコットン製も。編み目が粗く、ざっくりとした風合いのものが好き。最近、よく購入するヴラスブラムのものは手づくり感があってお気に入り
・パーカ 4枚
ボトム
・スカート 5枚
春夏はロング丈のボトムが多いけれど、秋冬はブーツを合わせるので膝丈で。スカートはAラインが多く、ウールやコーデュロイ、コットンなど素材や色合いもさまざま
・パンツ 9枚
・デニムパンツ 6枚
・レギンス 14枚
アウター
・ジャケット 6枚
・コート(薄手) 6枚
・コート(厚手) 4枚
厚手のコートはベーシックなものを愛用。イザベルマランのピーコートは10年近く着ているけれど、まだまだ現役。流行がないし、パンツともスカートとも相性よし
・ジャンパー 3枚
その他
・ワンピース 8枚
・巻き物(ウールやカシミヤ) 16枚
首元が温かければ、少しくらい薄着でも安心なので巻き物はたくさん。肌触りがよくて温かいカシミヤはシンプルなものを、色柄物はコーディネートのアクセントに
谷賢淑さんの秋・冬 服グラフ
春夏秋冬の装い
仲春
ヴラスブラムのパーカにフランスで購入したレースのスカートを合わせて。白のレギンスで軽やかな印象。「ダナー」のブーツに、自身でつくったリュックで、子どもとお出かけスタイルに
春のアイテム
自身のブランド「BOTTE」のリュックは、革と帆布が大人っぽいデザイン
晩春
フランスのアンティークワンピース(パジャマ)に「ジャーナルスタンダード」の厚手レギンスを合わせて。大好きなブランド、イザベルマランのレースが胸元に下がるネックレスがポイント
晩夏
リネンカーディガンにワイドのリネンパンツを合わせて。ブランドは、ともにヴラスブラム。鎌倉に越してからよく着るようになった。足元はリネンの靴下に革のサンダル。同じくリネンのバッグで
夏のアイテム
白にラインが入ったリネンのストール。夜など肌寒いときに、あると安心
初秋
大きな袖が印象的なイザベルマランのブラウスにヴラスブラムのベストとジャーナルスタンダードのパンツを合わせて。リネンの帽子がアクセント。ブラウスは何年も着ているお気に入りの一枚
仲秋
ヴラスブラムのジャケットは、裏返しても着られる面白いデザイン。インナーはシンプルなタートルのカットソーを。シンプルな組み合わせなので、柄の靴下と「レペット」のひも靴でアクセントに
秋のアイテム
BOTTEの定番。厚手の帆布とレザーの組み合わせが上品。柄違いもあり
晩秋
マーガレット・ハウエルのトレンチコートに白のワンピースを合わせたパリジェンヌらしいコーディネート。トレンチはウエストを絞って。ビンテージのストールにワイン色のひも靴をチョイス
初冬
イザベルマランのピーコートは何年も愛用している冬コートの一枚。無印良品のウールパンツにロングブーツを合わせて。モノトーンなので、花模様のニット帽と黄色の手袋をアクセントにして
冬のアイテム
大きな花がかわいいニット帽と軍手のような黄色い手袋は冬のお気に入り
仲冬
10年選手の「マッキントッシュ」のキルティングジャケットに鳥柄のスカートを合わせて。スカートはスウェーデンで13年ほど前に購入。「コントワー・デ・コトニエ」のファーを合わせて温かく
〈撮影/柳原久子(https://water-fish.co.jp/) 取材・文/結城歩〉
谷 賢淑(たに・ひゅんすく)
韓国で生まれ育ったのち、渡仏。現地でファッションを学び、アパレルの世界へ。2009年家族とともに日本に移り住む。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです