• シンプルライフを提案する、金子由紀子さんの暮らしのアイデアを紹介します。心と体に負担をかけず、ほどほどに力を抜きながら家仕事を快適にまわす知恵と工夫を、日々の暮らしにお役立てください。今回は、クローゼットの収納術 を紹介します。

    服は全シーズンで50着

    ファッションにあまり興味がなく、お出かけも少ない私の手持ちの服は、春夏秋冬通して全部で50着です。

    画像: ワードローブすべて。これさえあれば、旅行もスポーツもできます

    ワードローブすべて。これさえあれば、旅行もスポーツもできます

    これで、パーティー(滅多にないけど)にも行けば、富士山にも登ります

    フランス人のように「10着」とはいきませんが、四季の気温の変化の激しい日本では、こんなものだと思っています。(パジャマ・室内着、肌着は別カウント)

    クローゼットの構成バランス

    手持ちの服の構成は以下のとおり。

    40代になってから登山やキャンプをするようになったので、アウトドア用の服が増えてきました。

    シャツ 5枚
    (長袖4枚、半袖1枚)

    パンツ 9枚
    (ジーンズ4枚、白1枚 、綿薄手1枚、 ウール1枚、ジャージ1枚、 登山・作業用1枚)

    スカート 5枚
    (ウール2枚、プリーツ1枚、フレアー1枚、麻1枚)

    ジャケット・コート 7枚
    (ウールのロング1枚、綿2枚、革1枚、ダウン1枚、登山用2枚)

    ニット 6枚
    (夏用2枚、冬用4枚)

    フリース 1枚

    ベスト 4枚

    Tシャツ・Tブラウス 6枚
    (長袖3枚、半袖3枚)

    スーツ 1枚
    (上下各1枚)

    ワンピース 2枚

    喪服 2枚
    (夏冬各1枚)

    幅68㎝サイズのクローゼットにひとまとめ

    収納スペースは、幅68㎝×奥行56㎝のクローゼットで、ジャケットやスカートなど吊るす服はハンガーに掛け、それ以外はハンガーの下に重ねた3つの引き出し式の衣装ケースに畳んで入れてあります。(喪服2点は丈が長いので、夫のクローゼットに掛けてあります)

    このクローゼットには天袋もついていますが、服ではなくキャンプ用の寝袋が入れてあるので、使っている部分の高さは170cmです。

    金子流、クローゼット収納のアイデア

    ハンガー収納のコツ

    服を掛けるハンガーは、シルバーのアルミの針金のものと、やや肉厚の木製の2種類と決めています。

    いろいろな色やデザインのハンガーが混在すると、見た目がゴチャゴチャするだけでなく、角度や厚さが異なるハンガーは互いに干渉し、クローゼットを窮屈にするためです。

    ブティックのハンガーに掛けられた服がスッキリゆったりして見えるのは、同一のハンガーに掛けられているためでしょう。

    画像: 使用している2種類のハンガー

    使用している2種類のハンガー

    ハンガーを連結させて何着もの服を掛ける商品もありますが、狭いクローゼットでそれをやると、服どうしが密着してシワをつくるので、次に着るときにアイロンが必要になります。

    スカートやパンツのハンガーは専用のものを持たず、針金ハンガーに紐で洗濯ばさみを取り付けたものを使っています。

    引き出し収納のコツ

    美しい収納によく見られる「立てて収納」はやっていません

    立てて収納すれば、より多くの服がしまえるのはわかっているのですが、一着ぶん引き抜いた時点で必ず崩れていき、私には維持するのが困難だからです。

    その代わり、たたんだ服を少しずつずらす「斜めに重ねる」収納にしています。見た目の美しさや収納点数はさしおいても、ラクに出し入れでき、服の全容もつかめるので、私には合っています。

    画像: 衣装ケースの中にブックスタンドを立てて仕切りに

    衣装ケースの中にブックスタンドを立てて仕切りに

    服を増やさないコツ

    いま以上服が増えると、この収納ではまかないきれません。

    服を増やさないために、気を付けていることがあります。

    1:柄物を避ける

    柄物は、合わせる服を選びます。柄×柄は、ファッションセンスのない私には難しい。

    でも、無地なら、比較的多くの服と合わせることができます。手持ちの服が少なくても、組み合わせのパターンが広がります。

    2:相性の良い色を選ぶ

    「素敵な色!」と飛びつきたくなることもありますが、いったん我に返って、手持ちの服の色と合うかどうかを考えます。

    複数のトップス(ボトムス)と合うならばいいのですが、1つのパターンにしか使えないようならあきらめます。そういう服は、合う色を求めて、服を増やしてしまうからです。

    以前、カラーアナリストさんに「似合う色」を教えていただいてからは、あまり迷わなくなりました。

    3:変わったデザインの服を選ばない

    ユニークなえり開きや袖の形、不思議な装飾のついた服は魅力的ですが、着こなしが難しいと、たんすのこやしにしてしまいそう。

    なるべくプレーンでスタンダードな形の服を選ぶようにしています。

    4:小物を多めに持つ

    のような服の持ち方では、味もそっけもない、つまらない服装になってしまいます。

    さすがの私も、それでは気が引けるので、スカーフやストール、ピアスやネックレスは多めに持っていいことにしてあります。

    色柄ものも思い切ったものが試せますし、アクセサリー類はどんなに持ってもたいして場所をとりませんから。

    画像: 無地の紺や白の服も、首のまわりに華やかな色を加えればどうにかなります

    無地の紺や白の服も、首のまわりに華やかな色を加えればどうにかなります

    5:外で着る服と部屋着をハッキリ分ける

    このクローゼット以外に、家だけで着る室内着が、夏3着、冬2着ずつあります。それらを外で着ることはありません。家に帰ったらそれらに着替えるようにしています。

    家事による汚れを防ぎ、少ない服を守るためです。「汚れたら部屋着にすればいい」という考え方もありますが、外で着る服は部屋着としては着づらいものですから。

    服を処分するポイント

    愛着のある服であるほど、着る機会が減ってきても、なかなか捨てられず、いつまでもたんすのこやしとして残ってしまう……という人もいるようです。

    気に入っているのに着る機会が少なく、汚れも傷みもなければ、もったいなくて捨てられませんよね。

    「捨てられない」のは、「元をとっていない」からです。十分着倒して満足した! という気持ちがあれば、スッキリ捨てられるもの。50着しか持っていないと、どの服も登場回数が多いため、自然に摩耗して、意外に短期間でクタクタになってしまうものです。

    毛玉が目立ったり、すり切れて薄くなったりして、人前で着られないレベルになってきたら、潔く捨てています。

    実は買い物も楽しめる

    手持ちの服の数を制限すると、「全部が1軍」でなければならず、おのずと選ぶ目が厳しくなり、ムダな買い物をしなくなります

    また、着ていない服でクローゼットを圧迫したくないので、手放す見切りもつくようになります。

    衝動買いはしませんが、その分一着一着を吟味して買うことになるため、あちらの店、こちらの店と渡り歩き、意外に買い物を何倍も楽しめているかもしれません。

    数のシバリがあることも、なかなか悪くないものです。



    〈撮影/山田耕司〉

    画像: 実は買い物も楽しめる

    金子 由紀子(かねこ ゆきこ)

    1965年生まれ。出版社での書籍編集者を経てフリーランスに。1973年、第一次石油ショックで大人たちの買いだめにショックを受ける。自らの出産・育児経験から「現実的なシンプルライフ」の構築の傍ら、All About「シンプルライフ」初代ガイドを務める。近著に『クローゼットの引き算』(河出書房新社)amazonで見る 、『50代からやりたいこと、やめたこと』(青春出版社)amazonで見る 、『ためない習慣』(青春文庫)amazonで見る ほか20冊以上。



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