• 和歌山県南部、自然あふれる古座川町では、農業に従事する若い移住者たちが今日もいい笑顔で汗を流しています。
    (『天然生活』2022年2月号掲載)

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    循環し、未来へつなげるために。自然栽培による野菜づくり

    山奥の三尾川地区で、長年使用されていない棚田を再生して農園を開き、植物性自然栽培に取り組む「あがらと」。植物も動物も人も、すべての命が共生してひらく豊かな未来を目指して、新しい力が地域に根付き始めています。

    京都の生花店で働いていた久山秋星さんは、2017年に古座川町に移住しました。農薬や化学肥料、動物性肥料を使わずに農作物を育てる「あがらと」の考えに共感し、農園の一員となったのです。

    「花屋にいたころ、農薬を使った花を扱うことに疑問がありました。無農薬の農業に携わると決めたとき、せっかくなら栽培が難しい食用バラに挑戦しようと思いました」

    バラは古座川町の土と環境に適した食味のよい3種を選りすぐり、獣害を防ぐ手づくりの竹ハウスで栽培しています。摘んだばかりの花びらを口にすると、みずみずしくほのかな甘さが広がりました。

    画像: 栽培品種の「イブピアッチェ」は生花店でもおなじみの品種だそう。花が開いたら、香りと味がもっとも凝縮する夜明け前にていねいに摘み取り、加工する

    栽培品種の「イブピアッチェ」は生花店でもおなじみの品種だそう。花が開いたら、香りと味がもっとも凝縮する夜明け前にていねいに摘み取り、加工する

    画像: 竹と建築現場の廃材でつくった切妻型の「竹ハウス」。朽ちたら土に還り、安価で建てられて新規就農者の負担を減らす利点も。防腐防虫に柿渋や松煙を使う

    竹と建築現場の廃材でつくった切妻型の「竹ハウス」。朽ちたら土に還り、安価で建てられて新規就農者の負担を減らす利点も。防腐防虫に柿渋や松煙を使う

    「農薬や動物性肥料を使うと、食感はかたく、味は苦くなるんです」と久山さん。バラ栽培の要という害虫対策に豆乳を使うなど、日々トライアンドエラーを繰り返して「植物性自然栽培」を実践中です。

    「農業は思っていたよりずっと大変でしたが、それ以上に、工夫する楽しさがあります。ここは水がきれいで、たくさんの生き物が棲息できる環境です。肥沃な土地を生かしたバラ栽培を追求して、町の特産にするのが目標です」

    画像: 杉やひのきの皮、草木灰、ぼかし肥料などを使って多様な微生物が棲みやすい「いい土」に。「もみ殻や米ぬかを使ってぼかし肥料をつくるのが冬の仕事です」

    杉やひのきの皮、草木灰、ぼかし肥料などを使って多様な微生物が棲みやすい「いい土」に。「もみ殻や米ぬかを使ってぼかし肥料をつくるのが冬の仕事です」

    現在、あがらとの農園では5人のメンバーが共同生活をしながらバラのほかに野菜と米を栽培。町に古くから伝わり、近年は流通が途絶えていたという「香り米」の栽培も復活させました。

    「土地の恵みを享受するだけでなく、文化も受け継いで次世代につなげたいと思っています。地域の人に農法を教わることで交流が深まり、晩ごはんに呼ばれたり、孫のようにかわいがってもらっているんです。人と自然と深く関わる生活は、とても充実しています」

    画像: 農地を有効活用するために、西洋野菜と一般野菜を交ぜた多品目栽培を行い、大阪のレストランなどに卸している。左の白い野菜はウリ科のカスタードホワイト

    農地を有効活用するために、西洋野菜と一般野菜を交ぜた多品目栽培を行い、大阪のレストランなどに卸している。左の白い野菜はウリ科のカスタードホワイト

    画像: 農薬や動物性肥料を使わず食用バラを育てる久山さん。「自然の摂理に沿い、冬場は休眠させます。慣行栽培のように年中咲かせると木の寿命が縮んでしまうんです」

    農薬や動物性肥料を使わず食用バラを育てる久山さん。「自然の摂理に沿い、冬場は休眠させます。慣行栽培のように年中咲かせると木の寿命が縮んでしまうんです」

    あがらと

    和歌山県東牟婁郡古座川町三尾川555
    https://agarato.jp/

    画像: バラの風味を閉じ込めたジャムやバターなどの加工品を「Dew Rose」として展開

    バラの風味を閉じ込めたジャムやバターなどの加工品を「Dew Rose」として展開

    画像: 代表の土井新悟さんと4人の移住者が農園のメンバー

    代表の土井新悟さんと4人の移住者が農園のメンバー

    自然の恵みを体験する

    熊野の山々に抱かれた古座川町。町を象徴する「クリスタル・リバー」古座川の流域を行けば、天然記念物の巨岩や奇峰の数々と心いやされる里山の風景、そして自然が育んだおいしいものが待っています。

    清冽な水と空気、雄大な自然を感じて

    日本有数の清流を擁する古座川町は面積の約96%が森林で「人より鹿が多い」といわれるほど自然が近い場所。

    はるか昔の地殻変動で生まれた巨大な「一枚岩」をはじめ、奇岩や奇峰が連なる雄大な景色を前にすると、たまった心の澱が洗い流されていくようです。

    一枚岩

    画像: 一枚岩

    約1400万年前の火山活動により生じた高さ100メートル、幅500メートルの巨岩で、国指定の天然記念物。天候や季節によって折々の表情を見せ、夏はキャンプを楽しむ人でにぎわいます。岩を食べる魔物から一枚岩を守った「守り犬」の言い伝えも。

    和歌山県東牟婁郡古座川町

    道の駅 一枚岩 monolith

    画像1: 道の駅 一枚岩 monolith

    農産物やお土産が並ぶほか、一枚岩を間近に眺めながらランチやお茶が楽しめます。モノリスバーガー 柚子胡椒マヨネーズ1,200円(写真手前)、ジビエソーセージと鹿肉ステーキランチ1,650円(奥)はどちらも「古座川ジビエ 山の光工房」のジビエを使い、クセがなくとても美味。

    画像2: 道の駅 一枚岩 monolith

    道の駅 一枚岩 Camp & Food monolith

    和歌山県東牟婁郡古座川町相瀬290-2
    TEL.0735-78-0244

    古座川

    画像: 古座川

    自然林豊かな大塔山(おおとうざん)から熊野灘まで、約60キロに及ぶ本州最南端の清流。あまごや手長えびなどさまざまな生き物が生息し、鮎釣りやカヌー体験のメッカとしても知られています。

    滝の拝

    画像: 滝の拝

    古座川支流にある滝。規模は小さいながら、形も大きさもさまざまな穴が無数にあいた岩床と、川の浸食で凹凸になった岩間を流れる水の勢いは圧巻。眺めて深呼吸するだけで心が浄化されます。

    和歌山県東牟婁郡古座川町小川

    古座川町と串本町の名所めぐり

    県外からのサイクリストも多い古座川町とおとなりの串本町の散策は、ぜひ自転車で。和歌山でも指折りの名勝をめぐり、道の駅や人気のベーカリーでお買いものを。

    新鮮な空気を味わい、清らかな水と深い緑が織りなす渓谷美を余さず体感するには、レンタサイクルがうってつけです。

    古座川町は道幅は比較的広く車は少なく、自然のなかを風を切って走る気持ちよさは格別です。

    特産のゆずや日本みつばちのはちみつ、イノシシやシカのジビエ料理など、おいしい恵みを求めてペダルを漕ぎ、疲れたら体をいやす温泉へ。そして本州最南端の町、串本町まで足を延ばせば、森と川に育まれた豊かな海が迎えてくれます。

    橋杭岩

    画像: 橋杭岩

    約850メートルにわたって奇岩が海に林立。大小40あまりの岩柱が規則的に並ぶ姿に地球の神秘を感じます。朝日や夕日が美しい名所でもあり、潮が引く時間帯は岩場を歩いて岩柱に近づくことも可能です。

    和歌山県東牟婁郡串本町くじの川

    道の駅 虫喰岩・サイクリング

    画像1: 道の駅 虫喰岩・サイクリング

    国の天然記念物「虫喰岩」の前にある道の駅には、地元の特産品がたくさん。写真左から、ベリー工房高田の日本みつばちの蜂蜜8,100円、うしろぐち農園のゆずぽんず1,050円、天正堂のブルーベリージャム700円とブルーベリープレミアムジュース1,600円、池田農園の無農薬栽培のにんにく1個150円(5月より販売)。観光案内所も兼ね、周辺を機動的に散策できるレンタサイクル(4時間2,000円~)も受け付けています。

    画像2: 道の駅 虫喰岩・サイクリング

    和歌山県東牟婁郡古座川町池野山705-1
    https://kozagawakanko.jp/rentalcycle/

    南紀月の瀬温泉ぼたん荘

    画像: 南紀月の瀬温泉ぼたん荘

    和歌山県東牟婁郡古座川町月野瀬881-1
    TEL.0735-72-0376
    https://www.botansou.jp/

    鮎や近海で捕れた魚介、ジビエなど地元の新鮮な食材を使った料理、肌をなめらかにするアルカリ単純泉のお湯が自慢です。旅館名の由来にもなった、ぼたんの花に似た「牡丹岩」が敷地のそばにあります。

    nagi

    画像1: nagi

    和歌山の名店「ドーシェル」で修業した山本一喜さんが妻の妙(たゆ)さんと営むベーカリー。国産小麦にこだわり、自家製酵母種を多彩に使い分けて「幅広い人が楽しめるパン」を焼き上げます。併設する「喫茶yuyano」で、買ったパンをドリンクといただくことも(写真は黒糖クリームパン180円、マルゲリータ230円、お芋のパンガレット290円)。地元の人やサイクリスト、会社員まで、絶えず人が訪れるのが納得の味わいです。

    画像2: nagi
    画像3: nagi

    和歌山県東牟婁郡串本町大島1158
    TEL.0735-65-0065
    http://www.zc.ztv.ne.jp/nagi/

    串本海中公園水族館

    画像: 串本海中公園水族館

    温かい黒潮の影響により豊かな生態系をもつ串本の海を再現。約500種、5,000点の生き物を展示しています。サメやエイが回遊する水中トンネル、海底の様子を観察できる海中展望塔など楽しみ満載です。

    和歌山県東牟婁郡串本町有田1157
    TEL.0735-62-1122
    http://kushimoto.co.jp/

    ◇ ◇ ◇

    地球の悠久の営みを感じるような名勝がそこかしこにあり、年間を通して温暖で過ごしやすい「常春(とこはる)」の和歌山。取材で出会った移住者たちは「和歌山は人も温かいよ」と口をそろえました。

    絶景、美味、人。和歌山の魅力は、訪れたらきっと感じられるはずです。

    画像: 水と空気がきれいな山間部の古座川町は昔からゆずの栽培が盛ん。朝晩の気温が下がる10月下旬頃から、一気に色づく

    水と空気がきれいな山間部の古座川町は昔からゆずの栽培が盛ん。朝晩の気温が下がる10月下旬頃から、一気に色づく

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    わかやま しごと・暮らし体験
    わたしが一番わたしらしく生きられる場所

    実施期間:令和3年5月から令和4年3月まで

    1泊2日~ 参加費無料

    FLOW 参加の流れ

    step1 申し込み

    ウェブサイト「わかやま LIFE」に掲載されている体験受け入れ事業者のなかから希望の体験を申込みます。

    step2 事前調整

    体験先とともに、日程調整や体験内容のすり合わせを行います。宿泊先は仕事旅行社で調整します。

    step3 体験スタート

    体験先ではふだんの「しごと」を体験します。地元の方たちとの交流を通じて「くらし」についても確認します。

    * * *

    お問い合わせ、申し込みは電話・WEBより受付中!

    和歌山県しごと暮らし体験事務局 仕事旅行社
    TEL.03-6452-9414
    https://www.wakayamagurashi.jp/category/work/experience

    ◇ ◇ ◇

    〈撮影/山田耕司 取材・文/熊坂麻美〉

    提供/和歌山県観光連盟

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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