父が大事にする、おついたちさんとは?
楽しみは見つけるもの。
気持ち良いは自分でつくるもの。
ってことで、毎月くる、おついたちさんの過ごし方のお話を。
鎌倉に暮らすわたしの父は、おついたちを “はじまりの日” として新しい物の初おろしはこの日と決めていました。
たとえば、歯ブラシの交換だったり、新しい下着の使い始めだったり、徹底的に。
父の誕生日は12月10日なんですが、一人娘のわたしが父にネクタイをプレゼントしても中身を見て「センスいいね! ありがとう」と言ってまた蓋をパタッと閉めてタンスにしまう。
すぐには身につけてくれないの。
約20日間タンスであたためて、おついたちの朝に使い始めるのです。一緒に暮らしていた頃、母と「めんどくさいね、パパって」「せっかくプレゼントしたのにねー」と影でぶつくさ言ってました。
気づいたら自分にもおついたちさんの習慣が
なのに、あれれ?
そう言っていたわたしも気づくとおついたちさんを物の使い始めの日にしているではありませんかぁぁぁ。しっかり引き継いでいました。
まずは、おついたちさんを気持ちよく迎えるための前夜の儀式があります。
普段朝シャワー派なのに前夜は月に一度、粗塩を入れたお風呂にゆっくり浸かるのです。
キャンドルまで焚いちゃったりして(ひと月分の身を清めている、つもり)。
そして寝る前にはその月にあった「楽しかったことだけ」(ここポイント!)を思い出して楽しい気分で眠りにつくのです。
おついたちさん当日の朝の儀式はいろいろ。忙しいよ!
朝、すべての窓を全開にしてセージの葉を焚く。
次にシーツ、枕カバー、パジャマなどの寝具をすべて洗う。
そして家族全員分の歯ブラシを新しくする。
キッチンのゴム手袋も新品に交換(古いものは捨てるのではなくて、お掃除用に格下げ)。
メイク道具のブラシ類やパフを洗って干して、とにかくとにかく気持ちがいいことをするのです。
え、やだわ! わたしったら。
あんなに「めんどくさいなぁ」とドン引きしていた父のおついたちの儀式を上回ってるじゃない。
まっ、これらの儀式は、なんの根拠もないわたしの “自己流おついたちさんを気持ちよく迎えるための方法” です。家族のだれひとり、わたしのこの儀式に気づいてはいないでしょうが。
みなさんは、おついたちさんをどう迎えているのかしら?
みなさんの儀式、聞きたいな。そもそも儀式はあるのかな?
読んでくださってありがとー!
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。いまは、文筆業や、買い付けなどを行う。著書に『カフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)がある。2冊目の著書『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)が発売になったばかり。
インスタグラム:@kaorilotta
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