箱入り娘ならぬ、箱入り指輪、ありませんか?
みなさんにも年に数回(または0回)しか身につけてあげない仕舞い込みジュエリーはないですか? わたしは、ひとつ……いやいや二つ、三つあります。
そのひとつに50歳の誕生日に夫におねだりした、真珠が横一列に5個並んだ指輪があります。(50歳だから5個の真珠をおねだり)
とても存在感があって、この指輪をして友人に会うと必ずと言っていいほど「その指輪……」と話題になります。
とてもデザインが美しくてお気に入りなんだけどコロナ禍でおしゃれして出かける機会がめっきり減ったことと、もっと大きな問題は手の消毒液が真珠の大敵で……。大切に箱に収められたままかわいそうなことに仕舞い込み、約3年となりました。
他にもダイヤの婚約指輪、わたし的に清水の舞台から飛び降りるほど高価だった指輪もなかなかやってこない『ここぞ』というとき待ちで、大切に引き出しの奥の奥に仕舞い込んでいます。
最近気づきました。その『ここぞ』という時ってそうそうないんじゃないかな?ってね。
以前、服やバッグもお気に入りはもったいなくて使えずクローゼットに仕舞い込んでいるものがたくさんあって「もったいないが、もったいない」と書いたことがありますが、ジュエリーもでしたー。
ちょっと話はズレますが。
パリに旅すると高齢の女性が赤いネイルをした薬指にダイヤモンドの立て爪の指輪(おそらく結婚指輪?)をしていることに目を奪われます。ただのカフェなのに。
『ここぞ』ではなくてきっと普段から指にはめて、目からも元気をもらって女性であることを楽しんでいるのでしょう。やっぱりパリのマダムは素敵だなぁ〜。
おしゃれや外食、うーんと楽しみたい!
そういえば、80歳を過ぎても大きな色石の指輪をいつも指にはめている母がこんなことを言ってたっけな。「あの世には持って行けないんだから!」って。たしかにね。
物にはひとつひとつに出会った時のストーリーがあって、使ってあげてこそストーリーが蘇りキラキラと輝く。わかっているんだけどなぁ〜、ついね。
おしゃれだったり、外食だったり、旅だったり、夢だったり約3年間ガマンしていたこと、これからうーんと楽しんでいきたいものですね。状況に感謝しながら。
まずは、クローゼットと引き出しの見直しから。ダイヤの婚約指輪……入るかな?
読んでくださってありがとー!
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。いまは、文筆業や、買い付けなどを行う。著書に『カフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)、『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)がある。
インスタグラム:@kaorilotta
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