(『天然生活』2020年5月号掲載)
子どもたちに伝えたい
玉子焼きのつくり方
江戸前の甘い玉子焼き。息子のお弁当に毎日入れていました。
わが家のエピソード
玉子焼きは多めの油で焼くほうがふわっとするんです。だし代わりに水を加えた卵液を一気に加えて平らにし、形を整えてふっくらと。昔は銅の玉子焼き器を使っていましたが、3個分一度に流し込むので、もう長い間フライパン派です。
材料(2人分)
● 卵 | 3個 |
● 塩 | ひとつまみ |
● 砂糖 | 大さじ1/2 |
● 水 | 大さじ1 |
● 油 | 大さじ1 |
つくり方
1 ボウルに卵を割りほぐし、塩、砂糖、水を加えてよく溶く。
2 フライパンに油を入れて熱し、1を流し入れて弱めの中火で大きく4回かき回して広げる。
3 奥から3等分になるように手前に折り返す。弱火でふたをして1~2分焼き、途中で返して色よく焼く。少し時間をおいて落ち着かせ、2cm幅に切り分けて器に盛る。好みで大根おろしを添えてもよい。
子どもたちに手づくりの味を
どんなに忙しくても手づくりの味を守りつづけてきた荻野さん。
「実は、自分の子に料理を教えたことはそう多くはないのですが、ふたりともお料理好きみたい(笑)。私が1カ月間留守にしたとき、学生だった息子が料理したいといってきたことがありましたね。そのときは、応用しやすい基本の料理を、口頭で伝えましたっけ」
とにかく、包丁が上手に使えなくても、少量でもおいしくできるもの。塩、しょうゆ、砂糖の基本の3つの調味料でできるもの。水をだしとして素材の味を生かす考え方など、つくりやすい料理を選んだそうです。
「しょうが焼き、野菜炒め、肉じゃが、カレー、チャーハン、焼きそば、ハンバーグ、玉子焼きといった、素材を替えればアレンジもしやすいものばかりでした」
レシピはとくになかったそうですが、そのおかげか、いまも息子さんの頭にしっかり入っているそう。
「余ったものをむだにしない習慣も、一家で身に着いていますね。天ぷらの衣なども、余ったら桜えびやねぎなどを加えてお焼きに。捨てるとこなしです」
大切な家庭料理の知恵ですね。
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〈料理/荻野恭子 撮影/公文美和 スタイリング/竹内万貴 取材・文/吉田佳代〉
荻野恭子(おぎの・きょうこ)
料理研究家。東京都生まれ。父が飲食店を経営していたため、幼いころより食に興味をもつ。ロシアをはじめ、ユーラシア大陸周辺60カ国を訪れ、家庭料理を研究。著書に『ビーツ、私のふだん料理』(扶桑社)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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