山椒の薬膳的効能ついて
山椒は体を温める性質があるとされています。とくにお腹を温めるため、冷えによる腹痛などに向いています。
また、胃腸の働きを活発にして消化不良を改善し、食べすぎなどによる胸のつかえを取る働きも。
うなぎに山椒を添えるのも、魚臭さを消して、こってりとした脂をさっぱりと食べるのにぴったりだから。
清々しい香り成分や辛味成分は、食欲増進や血行促進、利尿作用を高めるとも。抗菌・殺虫作用もあるため、古くは回虫駆除薬としても利用されていました。
【保存食】ちりめん山椒のつくり方
山椒の実が出回る季節になると、早くつくりたくてうずうずしてくるのがちりめん山椒です。
鮮やかな色や風味を保つためにも、収穫してからできるだけ早く下処理をするのがおすすめ。実が出始める旬の走りの時期に収穫されたものの方がやわらかく、えぐみも少なく食べやすいです。
この時期に塩ゆでしてまとめて冷凍しておくと、ぬか床の殺菌と香りづけに重宝します。青魚や豚肉などを煮るときに一緒に加えると、脂分が気にならずさっぱりといただけます。
塩ゆでしたあとに塩漬けやしょうゆ漬けなどにしておくと、おにぎりの具材はもちろん、ドレッシングやたれの薬味、あえもののアクセントなどあれこれ使えて便利ですよ。
材料(つくりやすい量)
● 山椒の実 | 大さじ2 |
● ちりめんじゃこ | 100g |
● A | |
・酒 | 150mL |
・みりん | 大さじ2と1/2 |
・しょうゆ | 大さじ2 |
つくり方
1 山椒の実は小枝からはずして流水でよく洗う。
2 鍋に水1L(分量外)を入れて火にかけ、沸騰したら塩小さじ1(分量外)を入れて、1を7〜8分ゆでる。1〜2時間ほど水にさらし、ざるにあげて水けをきる。
3 鍋にAを入れて中火にかけ、沸騰したらちりめんじゃこを加えて、ふたをして弱火で10分ほど炊く。
4 2を加え、水分がなくなるまで煮つめる。
※冷蔵庫で約3週間保存可能。
[塩漬け・しょうゆ漬けのつくり方]
山椒の実は小枝からはずして流水でよく洗い、5分ほどゆでる。煮沸消毒した保存容器に入れ、山椒の重量の10%の塩、または山椒がしっかりつかるほどのしょうゆを加えてよく混ぜる。2週間後ぐらいから食べられる。冷蔵庫で約半年保存可能。
〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉
山田奈美(やまだ・なみ)
「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。
インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」