• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、5月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。発酵料理は腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる食べ物として注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、ちりめん山椒です。

    山椒の薬膳的効能ついて

    山椒は体を温める性質があるとされています。とくにお腹を温めるため、冷えによる腹痛などに向いています。

    また、胃腸の働きを活発にして消化不良を改善し、食べすぎなどによる胸のつかえを取る働きも。

    うなぎに山椒を添えるのも、魚臭さを消して、こってりとした脂をさっぱりと食べるのにぴったりだから。

    清々しい香り成分や辛味成分は、食欲増進や血行促進、利尿作用を高めるとも。抗菌・殺虫作用もあるため、古くは回虫駆除薬としても利用されていました。

    【保存食】ちりめん山椒のつくり方

    画像: 【保存食】ちりめん山椒のつくり方

    山椒の実が出回る季節になると、早くつくりたくてうずうずしてくるのがちりめん山椒です。

    鮮やかな色や風味を保つためにも、収穫してからできるだけ早く下処理をするのがおすすめ。実が出始める旬の走りの時期に収穫されたものの方がやわらかく、えぐみも少なく食べやすいです。

    この時期に塩ゆでしてまとめて冷凍しておくと、ぬか床の殺菌と香りづけに重宝します。青魚や豚肉などを煮るときに一緒に加えると、脂分が気にならずさっぱりといただけます。

    塩ゆでしたあとに塩漬けやしょうゆ漬けなどにしておくと、おにぎりの具材はもちろん、ドレッシングやたれの薬味、あえもののアクセントなどあれこれ使えて便利ですよ。

    材料(つくりやすい量)

    ● 山椒の実大さじ2
    ● ちりめんじゃこ100g
    ● A
    ・酒150mL
    ・みりん大さじ2と1/2
    ・しょうゆ大さじ2

    つくり方

     山椒の実は小枝からはずして流水でよく洗う。

    画像: 食感が悪くなるため、かたい小枝は取り除く。やわらかい軸はそのままでも。実はできるだけ鮮やかな緑色で、表面にハリのあるもの、小枝についているものは枝から実が離れていないものを選んで

    食感が悪くなるため、かたい小枝は取り除く。やわらかい軸はそのままでも。実はできるだけ鮮やかな緑色で、表面にハリのあるもの、小枝についているものは枝から実が離れていないものを選んで

     鍋に水1L(分量外)を入れて火にかけ、沸騰したら塩小さじ1(分量外)を入れて、を7〜8分ゆでる。1〜2時間ほど水にさらし、ざるにあげて水けをきる。

    画像: かじってみてまだ辛みが強いときは、水にさらす時間を長くする。えぐみが抜けて、好みの辛さになったら、ざるにあげる

    かじってみてまだ辛みが強いときは、水にさらす時間を長くする。えぐみが抜けて、好みの辛さになったら、ざるにあげる

     鍋にAを入れて中火にかけ、沸騰したらちりめんじゃこを加えて、ふたをして弱火で10分ほど炊く。

     を加え、水分がなくなるまで煮つめる。

    画像: じゃこを煮てから水けをきった山椒を加える。山椒を長く煮てしまうと、山椒の緑色があせたり、香りが飛んだりするので注意

    じゃこを煮てから水けをきった山椒を加える。山椒を長く煮てしまうと、山椒の緑色があせたり、香りが飛んだりするので注意

    ※冷蔵庫で約3週間保存可能。

    [塩漬け・しょうゆ漬けのつくり方]
    山椒の実は小枝からはずして流水でよく洗い、5分ほどゆでる。煮沸消毒した保存容器に入れ、山椒の重量の10%の塩、または山椒がしっかりつかるほどのしょうゆを加えてよく混ぜる。2週間後ぐらいから食べられる。冷蔵庫で約半年保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。



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