• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、8~9月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。発酵料理は腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる食べ物として注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、「トマト麹」です。

    トマトの薬膳的効能ついて

    トマトは、体の渇きを止めて潤いを生み出したり、熱を冷まして暑気あたりをやわらげたりするほか、胃腸の働きを活発にして消化を促す働きがあり、夏バテや乾燥、食欲不振、胃もたれなどにおすすめです。

    また、カロテノイドの一種のリコピンが豊富で、活性酸素を消去する抗酸化力の高い食材ですから、夏の強い紫外線から身を守るのに最適です。

    リコピンは脂溶性なので、油と一緒に調理すると吸収率がアップします。

    【発酵食】トマト麴のつくり方

    画像: 【発酵食】トマト麴のつくり方

    グルタミン酸などのアミノ酸がたっぷり含まれるトマトに、米麹を合わせて発酵させた万能調味料です。

    これがあれば、だしやコンソメなどを使わなくても味に深みが出ますし、うま味が強いので、ほかの調味料も減らせて本当に重宝します。

    パスタをさっとあえるだけでもおいしいですし、トマトソースやケチャップの代わりにも。お酢を加えて赤いドレッシングにしてもきれいです。

    豚のかたまり肉や鶏肉などをつけ込んでおけば、麹の酵素の働きでしっとりやわらかくなり、消化を助けてくれますよ。

    材料(つくりやすい分量)

    ● トマト100g
    ● 米麹(生)100g
    ● 塩30g

    つくり方

     トマトはみじん切りにするか、ミキサーにかける。

    画像: トマトは細かくなるまで撹拌する。無塩のトマトジュースやトマト水煮缶で代用しても

    トマトは細かくなるまで撹拌する。無塩のトマトジュースやトマト水煮缶で代用しても

     すべての材料をよく混ぜ合わせて、熱湯消毒した保存容器に詰めてふたを軽くしめる。ふたをきっちりしめると、発酵で生じたガスがたまり、ふたが飛ぶことがあるので注意。

    画像: 乾燥麹を使う場合は、30〜40mLほどのぬるま湯を加えて、1時間ほどおいてから使う。全体がなじむまでしっかり混ぜる。
    乾燥麹を使う場合は、30〜40mLほどのぬるま湯を加えて、1時間ほどおいてから使う。全体がなじむまでしっかり混ぜる。

     常温におき、一日1回よくかき混ぜ、夏は3~4日ほどおく。

    画像: 麹がやわらかくとろりとしたら、でき上がり

    麹がやわらかくとろりとしたら、でき上がり

    ※冷蔵庫で2週間ほど保存可能。
    ※でき上がってからミキサーなどでペースト状にしても使いやすい。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。



    本誌プレゼントへのご応募はこちら

    お得な定期購読はこちらを
     (富士山マガジンサービス)

    連載,おいしいもの,レシピ,山田奈美,山田奈美の旬を味わう手しごとごよみ

    This article is a sponsored article by
    ''.