(『天然生活』2022年10月号掲載)
Kさん(60歳)
夫とふたり暮らしの専業主婦。基本的に主食は白米。桐製の米びつを使用していたことがあるが、開閉が大変だった記憶がある。
Mさん(45歳)
4人家族の主婦でパートタイマー。食べ盛りの子どもがいるので米の消費量が多い。米びつは容量の大きさや詰め替えやすさを重視。
Sさん(36歳)
夫とふたり暮らしの会社員。毎日必ず米を炊くわけではないので、密閉性が高く、新鮮さを長く保てるものが理想。デザインも大切。
Aさん(31歳)
独身OL。現在使用中の米びつが重いのが悩み。雑穀米なども食べるため、コンパクトで収納に便利な米びつがあればと思っている。
◇ ◇ ◇
Aさん(以下A):秋はお米がとくにおいしくなる季節ですね。
Mさん(以下M):そうね。でも、実はお米って湿度や温度が高いところが苦手で鮮度が落ちやすいから、保存方法に気をつけた方がいいんですって。
Sさん(以下S):知らなかった。どうすればいいんでしょう。
Kさん(以下K):それなら桐製の米びつがいいわよ。桐は昔からお米の保存に使われてきた素材で、密閉性、調湿作用、防虫効果に優れているんです。
S:そうなんですね。それじゃあ、今回は桐製の米びつを調べてみましょうよ。
A:賛成。ボックスタイプはふたに工夫のあるものが多いですね。キリフトは、どの向きでふたを閉めても密閉できます。
M:続いてキリハコ。中身が見えるのが便利でスタッキングもできるわ。
S:山一は、ふたを半分だけ開けられるのでふたの置き場に困らずに使えます。
K:そうね。梅沢木材工芸社は、開け閉めがスムーズなスライド式。持ち手があるので、収納場所からの取り出しや、持ち運びが楽だわ。
A:計量できるタイプもあるみたいですよ。お米に直接手を触れずに必要な量を量れるのが、衛生的で便利です。
S:留河は、桐箪笥づくりの技術が生かされていて、密閉性が高いのが特徴。
M:職人技ね。松田桐箱は、正面に小窓がついているから、お米の減り具合が確認しやすいですよ。
K:素敵。自分に合った使い勝手のよい米びつを見つけて、お米を長くおいしく楽しみたいですね。
1 キリフト Rice Stocker 5kg用 焼桐タイプ
軽さとゆとりある大きさを兼ね備えた米びつ
蜜蝋タイプと焼桐タイプの2種類を展開し、仕上げに天然素材の蜜蝋を塗り込んでいるため汚れに強い。写真の焼桐タイプは、塗装ではなく桐を焼き上げて色をつけているため、吸放湿性などを妨げない。素材はすべて国産の桐材を使用。今回のなかでは一番軽量。最大容量が6kgのため、5kgの米を入れても余裕がある。1合枡付き。
[いいトコ]
ふたをスムーズに開けられるよう、本体とふたの境目に細長い楕円形の切り込みが入っている。中央のくぼみに指を引っ掛けやすい
[あうトコ]
密閉性の高いふたは、向きを変えると閉めにくいものもありますが、こちらはどの向きでも開け閉めしやすく、ストレスがありません
寸法: 幅22× 奥行き22× 高さ23cm 質量:650g 材質:国産桐 容量:6kg サイズ展開:2kg、10kgもあり 付属品:1合枡
(問)美術木箱うらた
https://kirift.shop-pro.jp/
2 キリハコ 米びつ【 kome-bitsu 】 5kg
中身が見えて複数保管にも便利な優れもの
ふたは、透明度の高いアクリルを使用しており中身が見える。気密性が高く、倒してもふたが外れにくい四方桟というつくりで、桟部分には溝が2カ所あるため、米の入れ替え時などにふたを本体に引っ掛けられる。スタッキングが可能で、複数の米びつを重ねても安定感がある。付属品の1合枡はマグネット入り。
[いいトコ]
ふたの取っ手の内側と1合枡の裏にはマグネットが入っており、くっつく。枡が米に埋もれてしまう心配がなく、保管にも便利
[あうトコ]
中身が見えるので、お米の種類別に分けても使いやすそう。異なるサイズともスタッキングできるので、複数あっても幅をとりません
寸法:幅21.5×奥行き21.5×高さ24.2cm 質量:1.1cm 材質:本体=桐、ふた=桐、アクリル樹脂、マグネット、1合枡=桐、マグネット 容量:5kg サイズ展開:1kg、3kg、10kgもあり 付属品:1合枡
(問)増田桐箱店
https://www.kiribako.jp/
3 山一 桐の米びつ 5kg用
ふたの置き場に困らない半開きタイプ
厚みのある桐材で、釘を使用せずに組んだ米びつ。本体の内側に段差をつけて本体にはめ込む形状で、外側の接合部分は平らになる印籠蓋(いんろうぶた)というつくり。取っ手が付いているふたは、手前半分だけ開けることも可能。T字のような独特の段付き構造なので、虫などが入り込みにくいのが特徴。桐製の1合枡がセットになっている。
[いいトコ]
ふだんの開け閉めや、収納に便利な半開きタイプのふた。新しい米を移し入れやすいように、丸ごと外すことも可能
[あうトコ]
お米を取り出す際のふたの置き場に困りません。本体がT字型になっているので、指を引っ掛けることができ、持ち運びがしやすい
寸法:幅20.5×奥行き33×高さ22cm 質量:1.35kg 材質:本体=桐、ふた=桐、スチール、ウォールナット 容量:5kg 付属品:1合枡
(問)山一
https://yamaichi-kiso.jp/
4 梅沢木材工芸社 国産桐の米びつ 5kg用
指物職人が手掛ける木組みの米びつ
桐材はすべて国産のものを使用。5kg用で本体質量0.8kgと今回のなかで2番目に軽く、取っ手も付いているため持ち運びしやすい。スライド式の扉には釘や金具を一切使っておらず、指物師(さしものし)(*1)による木組みの技術を用いることで扉のスムーズな開閉と気密性の高さを両立している。外側は汚れがつきにくい蜜蝋ワックス仕上げ。
[いいトコ]
開閉口は12×21.5cmあり、ゆとりをもって手が入れられるため米がすくいやすい。ふたは取り外し可能で、米の継ぎ足しの際に便利
[あうトコ]
持ち手があるのでシンク下から取り出すときも楽です。スライド扉の商品は気密性の低さが心配でしたが、こちらは安心して使えます
寸法:幅26.8×奥行き32.5×高さ17.8cm 質量:800g 材質:本体=桐、取っ手=桜 容量:5kg サイズ展開:10kgもあり
(問)ウメザワ
https://umezawa-u.co.jp/
5 留河 桐製米びつ一合計量 5kgサイズ
桐箪笥職人の技が生んだ優れた計量機能
桐箪笥の老舗工房が約3年かけて開発した計量タイプの米びつ。厚さ2cmの分厚い板が外部からの湿気を遮断し、ゴムやバネを使わない総桐造りが故障のリスクを軽減。丸いバーを引くと1合分の米が計量でき、四角いバーを引くと取り出せる。ふたと本体の密着度が高く、中身が軽いときは本体を軽く押さえると開けやすくなる。
[いいトコ]
傾斜のついた内部設計により、米がなだらかに落ちる。上から継ぎ足し下から取り出すという構造のため古い米から自然と使い切れる
[あうトコ]
幅が狭く奥行きのある形状なので、隙間を活用して保管できます。バーのデザインが異なるため引き間違いの心配もありません
寸法:幅20×奥行き39×高さ32cm 質量:3kg 材質:桐 容量:5kg サイズ展開:10kg、20kg、30kgもあり
(問)留河
https://www.tomekawa.com/
6 松田桐箱 桐の米びつ 天然素材使用最高級品 5KG用
残量確認窓の付いた便利な計量タイプ
1合分の米が量れる計量機能つき。上段の引き出しを止まるまで開け、戻すと1合分の米が下に落ちる仕組み。下段の容量は3合まで。米由来の接着剤や植物性塗料を使うなど安全性に配慮しており、桐材は木目のきれいなものを選ぶなどデザインにも凝っている。ふたには向きがあり、本体の木目に合わせるとピッタリと閉まる。
[いいトコ]
上段の引き出しを引くと内部の底に計量用の穴が出現する。故障や詰まり防止のため、引き出しはゆっくり最後まで開けるのがコツ
[あうトコ]
お米の中に直接手を入れなくていいので衛生的。ひと目で残量がチェックできるため継ぎ足しのタイミングを逃すこともありません
寸法:幅22.5×奥行き22.5×高さ36cm 質量:1.8kg 材質:本体=桐、窓=アクリル樹脂 容量:5kg サイズ展開:10kgもあり
(問)松田桐箱
http://matsudakiribako.jp/
◇ ◇ ◇
※「寸法」は、手作業による製造のため若干サイズが異なる場合があります。その場合でも、容量に問題はありません。
*1:釘などの接合道具を使わずに、木と木を組み合わせて家具や調度品などをつくる職人のこと。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
<撮影/代 和佳子 構成・文/Five Star Corporation イラスト/松尾ミユキ>