Q: 毎年の花粉症がつらい。症状をおさえるだけでなく、体質改善もしたいです!
目のかゆみや鼻水。春がユーウツです……
幼い頃から花粉症で、毎年、この季節が近づくと目のかゆみや鼻水に悩まされています。
とくに、朝起きると目の周りにたくさんの目ヤニがついていて、それを取るのにひと苦労しています。
薬やマスクで症状を抑えるよう心がけてはいるのですが、それだけでなく、体質改善できたらいいなと思います。気軽にはじめられることはありますか?
(かずお さん/40代・会社員)
A:まずは花粉を目や鼻に入れないこと。規則正しい生活や食べものも重要です
昔ながらの和食はアレルギーを起こしにくく、おすすめです
花粉症は4人に1人が発症する現代病
もうすぐ花粉の飛ぶ春がやってきますね。花粉症は目や鼻に入ってきたスギなどの花粉に対する免疫反応によってアレルギーを誘発する物質であるヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどがマスト細胞から放出され、目のかゆみや鼻水などが出る病気です。
もともとは30代、40代に多かった花粉症ですが、近年では花粉の飛散量の増加とともに、10代でも発症する低年齢化も見られており、約4人に1人が花粉症を発症する時代になっています。
スギ花粉が原因のことが最も多いのですが、スギだけでなくヒノキ、シラカンバ、ブナ、ハンノキ、ケヤキ、コナラ、ブタクサ、ヨモギなど日本では60種類以上もの原因花粉があるといわれています。
まずは気軽にはじめられて最も効果的な対策としては花粉を鼻や目に入れないということです。マスク以外にも帽子の着用や花粉用のメガネもあります。
また花粉がつきにくく、また落としやすい表面がツルツルとした服を着るのも有用です。家に入る前には、一度服をはたき花粉を落としてから家に入るようにしてください。
それでもすでに手や鼻や喉、目についてしまった花粉を落とすために、手洗いや喉のうがい、鼻うがい、目を洗う習慣をつけましょう。
アレルギーを抑える食べものと、悪影響を与える食べもの
免疫反応によるアレルギーは体調にも左右されやすいといわれており、睡眠不足やストレスでも悪化することが知られているため、規則正しい生活や十分な睡眠をとることも重要です。
また他のアレルギーが花粉症を増悪させる場合もあり、インスタント食品やスナック菓子などもこれらアレルギー反応に悪影響を与えているという意見もあります。
食事はアレルギーを起こしにくい、昔ながらの和食がおすすめです。
花粉症の症状を和らげる食べものとしては、
●アレルギーを抑える作用がある発酵食品で味噌や納豆やヨーグルト、
●抗酸化作用があり、喉の痛みや鼻水を抑えるポリフェノールやタンニンを含むれんこん
●アレルギーを起こすロイコトリエンの放出を抑制する作用のある不飽和脂肪酸であるEPA、DHAを含むサバやイワシなどの青魚
などを積極的に摂るとよいでしょう。
おすすめの漢方と西洋のお薬
漢方薬では炎症を抑え鼻水を止める小青竜湯(しょうせいりゅうとう)や、冷えて鼻水が出る方には苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)、逆に鼻詰まりがあり、鼻の炎症がひどい場合には越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)なども使用されます。
西洋薬では抗アレルギー薬の飲み薬や点鼻、点眼もあります。
また舌下免疫療法といって、花粉症が発症していない時期に少量の花粉のエキスを内服することで、体を花粉に慣れさせ、花粉症のシーズンに花粉症を発症させない、あるいは発症しても軽くすませてしまうというような治療法もあります。
花粉症の症状を和らげるものとしてある種の乳酸菌や納豆菌があり、サプリメントとして市販されているものもあります。
私自身も40代を過ぎた頃から花粉症があり、花粉の季節はマスクとメガネをして手洗い、うがい、鼻うがい、目の洗浄をして、小青竜湯を飲んでいます。それでも辛い場合には寝る前に抗アレルギー薬を内服し寝るようにしています。
都市部に多い花粉症患者
花粉症というと花粉だけが悪者のように聞こえますが、杉の木の多い田舎よりも実は東京都が最も患者さんが多くなっています。
その原因は排気ガスなどに含まれる炎症やアレルギーなどを起こす有害物質に花粉がくっついて体内に侵入するためで、純粋な花粉というよりは、我々文明が排出した有害物質によって花粉症が起こっているということでもあります。
また土では花粉は土に捉えられますが、都会のアスファルトでは一度落下した花粉がまた風で舞い花粉症を起こしてしまいます。
花粉だけではなく、自然を破壊した我々の生活自体も見直していかないといけないのかもしれませんね。
余談ですが、北の北海道や山の高地では花粉やアレルギー物質が少なく、花粉症がない地域もあります。うらやましい限りです。
今回のお話が、少しでも花粉症の症状が和らぐことにお役に立てれば幸いです。
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來村昌紀(らいむら・まさき)
頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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