(『天然生活』2021年5月号掲載)
体すっきり「一汁二菜」
薬膳の考え方をベースに、食を通して心と体を健やかに保つ提案を続けている鈴木さん。春から夏の間は、秋冬よりも体重を軽くするとよいと語ります。
「冬にためた老廃物を出し、新しい細胞に生まれ変わるのが春。苦味や酸味のあるものを食べて排出を促しましょう。体を温める食材で、代謝を上げることも大切です」
鈴木さんの一汁二菜は、野菜の滋味と甘味が詰まった味噌汁、梅干しの酸味が効いたごはん、甘酸っぱい浅漬けなど食感も香りもバラエティ豊か。主菜が揚げものであることにも驚かされます。
「味はもちろんのこと、香り、歯触り、色彩を工夫して変化をつけることで、適量で満足のいく食事になるんです。揚げものの香ばしさや油分は満足感につながるので、上手に取り入れてください」
五感が喜ぶ、野菜中心の料理で、心も体も軽くなりそうです。
「手づくりがんもどき」のつくり方
豆腐と大和いもでつくるがんもどき。揚げたての香ばしさは格別です。
材料(3人分)
● 木綿豆腐 | 1丁(約300g) |
● 芽ひじき(乾燥) | 大さじ1 |
● にんじん | 30g |
● 干ししいたけ | 2枚 |
● 干ししいたけのもどし汁 | 大さじ4 |
● たけのこ(ゆでたもの) | 40g |
● 大和いも(すりおろす) | 35g |
● 塩 | 小さじ1/2 |
● しょうゆ | 小さじ1 |
● 片栗粉 | 少々 |
● 揚げ油 | 適量 |
● 大根おろし、しょうが(すりおろす)、塩蔵わかめ | 各適量 |
● きぬさや | 6本 |
● <ひたし地> | |
・ だし | 350mL |
・ しょうゆ | 大さじ2 |
・ みりん | 大さじ2 |
つくり方
1 豆腐は重しをしてしっかり水切りをしておく。芽ひじきは水でもどす。にんじんは短めのせん切りにする。干ししいたけは水でもどし、薄く切る(もどし汁は残しておく)。たけのこは7mmほどの角切りにする。わかめは水にひたして戻し、さっとゆでて食べやすい大きさに切る。きぬさやは筋を取って塩ゆでする。
2 ひたし地をつくる。小鍋に材料を入れてひと煮立ちさせる。
3 小さめの鍋に1の干ししいたけ、にんじん、しいたけのもどし汁、しょうゆを入れ弱~中火にかける。にんじんが煮えたら1の芽ひじき、たけのこを加えてさっと煮る。
4 1の豆腐をすり鉢に入れ、すりこ木でなめらかにする。大和いもを加えて全体がなめらかにまとまるまで、すり合わせる。塩、3の煮汁をきって具を加え、全体をざっくり混ぜる。
5 手に少量の油(分量外)をつけ、4を食べやすい大きさに丸める(1個につき50g程度が目安)。
6 鍋に揚げ油を入れて温める。5に片栗粉を薄くまぶし、低温で揚げる。ふっくらとふくらみ、外側がこんがりとしたら取り出す。
7 がんもどきを器に盛り、2を温めて注ぎ、大根おろし、しょうが、きぬさや、1のわかめを添える。
体すっきりポイント
豆腐は水分が多く、体を冷やす作用があるためしっかりと水切りを。わかめ、たけのこは毒素の排出を、大根おろしは消化を促します。
「かぶ、セロリ、レモンの甘酢漬け」のつくり方
献立に、フレッシュな味をひと皿。箸休めにもぴったりです。
材料(3~4人分)
● かぶ | 2個 |
● セロリ | 1本 |
● レモン | 1/4個 |
● 砂糖 | 小さじ2/3 |
● 塩、こしょう | 各適量 |
つくり方
1 かぶは薄切り、セロリは筋を取って斜め薄切りにする。レモンは皮をせん切りにし、汁をしぼる。
2 ボウルにかぶを入れ、塩小さじ1/2を加えてさっとなじませる。水けが出てきたら軽くしぼってボウルに戻す(あまりぎゅっとしぼると食感がなくなってしまうので軽めに)。
3 2に1のセロリ、レモンの皮、レモン汁を加えて混ぜ合わせる。砂糖を入れてなじませ、最後に塩で調味する。1時間ほどおき、こしょうをふる。
体すっきりポイント
かぶは胃腸を温め、消化を助け、むくみ防止の効果も。セロリとレモンのさわやかな香り成分がイライラを抑え、心を安定させます。
「新ごぼうのごま味噌汁」のつくり方
春が旬の新ごぼう。体を温める食材を組み合わせて満足感ある一品に。
材料(3人分)
● 新ごぼう | 1本 |
● 玉ねぎ | 1/2個 |
● にら | 2本 |
● 白ごま | 大さじ3 |
● 昆布だし | 700mL |
● 味噌 | 大さじ3 |
● 太白ごま油 | 小さじ1 |
● 七味とうがらし | 少々 |
つくり方
1 ごぼうはささがきに、玉ねぎは薄切りにする。にらは2cm長さに切る。白ごまは炒ってする。
2 鍋に太白ごま油を入れて、弱火にかける。温まったらごぼうを入れて軽く炒める。油が回ったら少量の水(分量外)を加え、ふたをして蒸し煮にする。
3 ごぼうに火が入ったら玉ねぎと昆布だしを加え、弱火で煮る。玉ねぎに火が入ったら火を止めて味噌を溶き入れる。
4 1のにらと白ごまを加えて弱火で温める。器に盛り、七味とうがらしをふる。
体すっきりポイント
新ごぼうは食物繊維が豊富でおなかもすっきり。腎機能も高めます。にらには血行促進と水分排出の効果があり、冷え性改善にも。
梅干しと香味野菜の混ぜごはん
彩り豊かな春の薬味ごはん。さわやかな酸味と香味が広がります。
材料(3~4人分)
● 米 | 2合 |
● 梅干し | 2個 |
● あれば赤じそ | 少々 |
● しょうが(せん切り) | 1片分 |
● 細ねぎ | 2本 |
● 三つ葉 | 1束 |
つくり方
1 細ねぎは小口切り、三つ葉は1cmほどの長さに切る。
2 炊飯器の内釜に洗った米としょうがを入れ、2合の目盛りまで水を注ぐ。梅干しと、あれば赤じそを上にのせて、ふつうに炊く。
3 炊き上がったら、梅干しをほぐすように全体を軽く混ぜる。1を加えて混ぜ合わせ、器に盛る。
体すっきりポイント
老廃物を出し、腸の働きを整える梅干し、体を温めるしょうがとねぎ、血流をよくする三つ葉の組み合わせで、体の中からきれいに。
<料理/鈴木 愛 撮影/山田耕司 スタイリング/曲田有子 取材・文/河合知子>
鈴木 愛(すずき・あい)
「冬草」主宰。安曇野の穂高養生園で料理人を務めるかたわら、東京で「ととのえる食事会」を不定期開催。著書に『なんとなく不調をととのえるスープ』(世界文化社)。https://www.facebook.com/fuyukusa.gohanya/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです