発酵トマトのこと
近年、発酵食品が話題ですが、先人たちは野菜がもともと持っている乳酸菌を生かし、日々の料理に使っていました。そのひとつがトマトと塩でつくる「発酵トマト」。
トマトを常温で発酵させると傷んでしまうのではと心配になるかもしれませんが、“塩”を入れることで野菜から水分が出て、塩水に野菜が浸かるように。腐敗菌は塩分を嫌い、乳酸菌は塩分に強い菌なので、腐敗菌をよせつけない環境をつくります。
また、乳酸菌は酸素がなくても生きることができるので、新たな腐敗菌が入らないようジッパー付き保存袋などに入れて空気に触れさせないようにしながら、発酵を進めることができます。
発酵トマトのできあがりはうま味の強いおいしいトマトソースのよう。少し加えるだけで深みのある味に仕上がります。さらに発酵トマトは腸の働きを活性化させ、免疫力の向上をサポートしてくれる健康維持の強い味方です。
発酵トマトのつくり方
へたをつけたまま使うとトマトの青々しい風味が。赤とうがらしと米酢を少し加えて発酵を促します。
材料(つくりやすい分量)
● ミニトマト | 500g |
● 塩 | 10g |
● 赤とうがらし | 1cm |
● 米酢 | 大さじ2 |
つくり方
1 ミニトマトは水で洗い、ペーパータオルでよく水けを切っておく。水分が出やすくなるように包丁の先を使い、切り込みを入れる。へたはそのままつけておく。
2 清潔なびんなどの保存容器に1を入れ、途中で塩を数回に分けて加え、赤とうがらしを入れる。
3 ミニトマトがすべて入ったら、最後に残りの塩と米酢を入れふたをする。
4 水分が上まで上がってくるまで常温で数日(夏なら丸1〜3日)置いておく。水分が出て、ぶくぶくと気泡が出てきたら発酵が進んだ合図。ふたをして冷蔵庫で1週間ほど保存できる。1日1回ふたを開け上下が替わるように混ぜる。
発酵トマトかけ冷奴のつくり方
豆腐全体に塩をかけて余分な水分を切っておくと、味も食感もしまります。
材料(2人分)
● 発酵トマト(果肉のみ) | 1/2カップ |
● 木綿豆腐 | 1丁(300g) |
● 塩 | 小さじ1 |
● 青じそ | 1/2束 |
● しょうゆ | 大さじ1 |
つくり方
1 豆腐は全体に塩をふり水けを切る。
2 青じそは軸を取り、重ねて巻き、せん切りにする。水にさらし、ペーパータオルで水けを切る。
3 発酵トマトはへたを取る。
4 それぞれの器に豆腐半丁を盛り付け、2、3を順にのせる。好みでしょうゆ少々をかけてもよい。
ミニトマトのこと
小さいサイズで使いやすいミニトマト。栄養価が高く、とくに赤色のミニトマトは通常のトマトよりβ-カロテンが多く含まれています。
へたが濃い緑色でピンとしていて、実が濃い赤色で、皮にしわがなくハリがあるのが新鮮なミニトマト。これから旬を迎えるミニトマトでさまざまな料理を楽しみましょう。
〈料理/松田美智子 撮影/山田 耕司 取材・文/村上有希〉
松田美智子(まつだ・みちこ)
日本料理をベースにした家庭料理の教室を1993年より主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった保存食づくりを基本に、いまの時代に無理なく楽しめる季節の仕事を提案。著書に『65歳からの食事革命 』(文化出版局) amazonで見る など。
インスタグラム:松田美智子@michiko_matsuda/自在道具@jizai_dougu
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