• 大人世代が抱える「こころとからだ」のお悩みや疑問について、頭痛・漢方専門「らいむらクリニック」の來村昌紀先生が、やさしく回答。今回は、喉のつまりが気になるという、なんなさんのお悩みにアドバイスをお送りします。

    : 喉に違和感が。「異常なし」との診断ですが、原因と対策はありますか?

    画像1: 喉のつまりや圧迫感。原因と対策は? おすすめの習慣・漢方・食べもの|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    忙しくなってから症状が出てきて……。

    喉のつまりが気になります。喉に圧迫感があり、ずっとつまっているような感じがあります。耳鼻咽喉科や消化器内科に行ってみたのですが、異常なしと診断されてしまいました。

    職位が変わり、多忙になった頃から違和感があり、いまだに治る気配がなく……。どうしたらいいか毎日悩んでいます。思い当たる原因と対策があれば教えていただきたいです。

    (なんな さん/40代・会社員)

    :喉の病気は2タイプ。自律神経の乱れやストレスからくるものがあります

    画像2: 喉のつまりや圧迫感。原因と対策は? おすすめの習慣・漢方・食べもの|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    ストレスや緊張に対処すれば、喉の不調も治るかもしれません

    喉の病気には「真性」と「症候性」があります

    今回は喉の圧迫感とつまっているような感じのご相談ですね。

    これは西洋医学的には「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」という病名になり、咽頭喉頭(=のどのこと)に圧迫感やつまりなどを含めた異常な感じがある症状を訴える症候群です。

    タイプはふたつ。「真性」と「症候性」があります。

    「症候性」は明らかな原因があるもので、例えばアレルギーがあったり、炎症があったり、癌や良性の腫瘍があったり、ほかにも胃酸が逆流する「咽喉頭逆流症」などが原因の場合があります。

    なんなさんの場合には、耳鼻咽喉科や消化器内科での診察で幸いに異常がなかったことから「症候性」ではなくて、「真性」の咽喉頭異常感症であると思われます。

    「真性」では原因の特定はできないのですが、不安や緊張などストレスからくる自律神経の乱れが関係しているのではといわれています。

    自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位になると、食道付近の筋肉が過剰に収縮して食道の内腔が細く締め付けられてしまうためです。

    よく「ストレスや緊張で食事も喉を通らない」という表現を聞いたことがあると思いますが、そのことです。

    別名「神経性食道狭窄症(しんけいせいしょくどうきょうさくしょう)」と呼ばれる場合もあります。

    なんなさんも職位が変わり、多忙になった頃から違和感を感じていることより、責任感による緊張やストレス、仕事の疲れが、この症状を誘発しているのかもしれませんね。

    ストレスや緊張に対処すれば、喉の治りにつながる

    治療法としては、うまくストレスや緊張に対処できればよいと思うのですが、まずは規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠をとって自律神経のバランスを整えることが大切です。

    また、それを心がけているうちに今の仕事にもなれ、段々とストレスを感じなくなれば自然と治ってくる可能性も高いと思います。

    またこのような人は昔からいて、漢方では「梅の種が喉につまっているような感じ」という意味で梅核気(ばいかくき)、あるいは「あぶった肉が喉につまっているような感じ」という意味で咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)と呼ばれていました。

    最近では「ヒステリーの球が喉につまっている」という意味でヒステリー球と呼ばれることもあり、ストレスを和らげ、気の巡りをよくする半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)や、半夏厚朴湯に炎症を抑える小柴胡湯(しょうさいことう)を足した柴朴湯(さいぼくとう)などの漢方が用いられることもあります。

    自律神経の乱れを整えるには、以前のお悩み相談の記事も参照して欲しいのですが、少しゆっくりして好きなことをする自分の時間が取れるといいですね。

    喉のつまりを緩和する食べもの

    食べものとしては、これは生薬にも使われることが多いのですが、よい香りのする柑橘系の果物を摂るのもおすすめです。

    これはさわやかな香りがアロマテラピー効果があり、漢方では気の巡りがよくなり、お腹の動きもよくなるため、喉の通りがよくなると考えます。

    またお腹を温め、お腹の血流をよくしたり、お腹を動かす作用のある山椒などもいいと思います。うなぎを食べる時にかける山椒です。

    喉の通りをよくするには、お腹を整えることも大切

    「南風を入れんと欲すれば、北窓を開けよ」という言い伝えがあります。

    これは南の暖かい風を部屋に入れようと思ったら、日の当たらない側の北の窓も開けて風通しをよくしなさいという意味なのですが、私たちは食べものを口から食べて、それが喉を通り、お腹で消化され、便として排出されますので、喉の通りをよくしようと思ったら、お腹の動きを整えて便秘をしないことも大切です。

    これから暑くなってきますが、あまり冷たいものや生の野菜や果物の取りすぎでお腹を冷やさないようにして、お腹を温め、運動してお腹の動きをよくすることを心がけてみてください。

    今回の記事が、なんなさんをはじめ、喉のつまりや違和感で困っている方の少しでもお役に立てれば幸いです。

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    〈イラスト/コグレチエコ〉

    画像: 喉の通りをよくするには、お腹を整えることも大切

    來村昌紀(らいむら・まさき)

    頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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