(『天然生活』2023年8月号掲載)
「こうすべき」という思い込みが小さなストレスに
毎日やるべき家事が多すぎて、常に時間に追われてしまう。
そんな悩みを抱えている人に「いつものルーティンの中から不必要なものをなくしてみませんか」とマキさんは提案します。
「案外、固定観念や思い込みだけで続けている家事も多いもの。私の場合、実家のトイレやキッチンにマットが敷かれていたので、なんとなくそうすべきものと思い込み、結婚後の自分の家にもしばらく敷いていました。でも私にとってはマットがあると洗濯も大変だし、床掃除もしづらいと気づいて。思い切って敷くのをやめてみたら洗濯の手間が減ったうえ、掃除しやすくなったことで前より清潔さを維持できるようになりました」
「自分の心地よさ」を軸に、家事を見直す
「こうすべき」からいったん離れて、抱えている家事を冷静に見直してみる。
その際に大切なのは、それぞれの家事の目的を明確にすることです。
「目的は、一人ひとりの暮らし方や好みによって違うはず。たとえば私なら、食事づくりは“家族が健康で快適に過ごせること”を目的にしています。凝った料理やバラエティに富んだ献立は必要ない。よい素材をシンプルに食べられたら十分です。洗濯も“気持ちよく服を着られること”を目的にしたので、きちんとたたむという工程は省くことに。そうやって一つひとつの家事を何のためにするかを考えていくと、手間も道具もかなり減らせるし、『私にはこの作業は必要ない』と潔く割り切れる気がします」
まわりと比べたり、世の中の情報に振り回されず、自分の心地よさを軸に考える。
家事が苦手だったマキさんが、そうした考えをもとに続けてきたのは、日々の小さなストレスを一つずつなくしていくことです。
調理中の労力をなくすため、台所道具を厳選してすべて手に取れる場所に置く。買い物へ行くストレスを減らすため、食材は宅配サービスに頼る。
何かに違和感を抱いたら、その都度改善策を考え、ときには試行錯誤しながら実行してきました。
「面倒だな、嫌だなとモヤモヤすることがあっても、がんばればなんとかこなしてしまえるから、ついそのままにしてしまいがちなんですよね。まずは、そうした小さなモヤモヤをストレスだと自覚する。そしてその改善策を考えていくことで、家事はかなり楽になると私自身が実感しています」
〈撮影/有賀 傑 取材・文/嶌 陽子〉
マキ(まき)
シンプルライフ研究家/時産アドバイザー。夫と2人の娘との4人家族。ブログ「エコナセイカツ」でシンプルに心地よく生きるための家事のコツや暮らしが楽になるヒントを発信。講演や住宅プロデュースなど幅広く活躍中。著書に『笑う家事には福来る』(主婦の友社)、『なくす家事』(KADOKAWA)など。エコナセイカツ
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです