(『天然生活』2022年9月号掲載)
使ったら定位置に戻してすっきりと美しく整える
石村由起子さんはおもてなし上手。広々とした庭がある奈良・高畑の住まいは街中からほど近く、友人が集まりやすいロケーション。「くるみの木」で扱うやきものやガラスの作家、仕事仲間、地元の友人、いろんな人がやって来ます。
「ここは夫との終のすみかのつもりで、建築家・中村好文さんにリノベーションしてもらった、コンパクトな平屋。これまで暮らしてきた自宅と行き来しながら、いまは二拠点で生活しています。小さなキッチンなのでお招きできる人数は限られますが、昨夜も奈良の友人と集まりました。人とのつながりは生きてきた証。だから、どんなに忙しくても大事にしたくて」
いつでもお客さまを迎えられるように石村さんは常に工夫。気になる台所道具があれば試し、しまう場所を変えて、使いやすいようにキッチンは刻々と進化しています。
ふきんはさっと手に取れるところにたっぷり10枚用意。旬の野菜や庭のハーブでつくる料理は大皿に盛るので準備も片づけも楽。器やカトラリーは用途で分けて、だれでもわかりやすく。
愛用するのは使いやすくて美しい「用の美」を感じるもの。
統一感があって、見せる収納も絵になります。
ほどほどに整える
ひと目でわかる定位置をつくる
定位置をつくっておけば、元に戻すだけですっきり。コンパクトな住まいを美しく整える秘訣です。
お茶のコーナーをつくる
日常にも、来客時にも欠かせないお茶時間。すぐ用意できるように、お気に入りのお茶やコーヒー、ポットはいつもカウンターにセット。
茶杯や茶托といった小さな茶器は、テーブルに運びやすいように、調理台の下の収納棚に。
よく使う調理道具はさっと手に取れる位置に
調理道具はガス台の周りに集約。
「鬼おろしやレモンしぼり器などピンポイントで使う道具も目につく場所にあると、料理のアイデアにつながります」
かごやガラス容器で美しく整理整頓
左)乱れ編みの美しいかごを脱衣用にし、洗面台を定位置に。綿棒はガラス容器に。右)洗濯機の上の棚には、竹や木のボックスにアイロンなどを。
取り皿はリビングの棚にひとまとめ
リビングの窓辺に棚をつくり、取り皿やお椀を収納。
大きさや素材でざっと分けてあるので、セッティングや片づけを気軽に手伝ってもらえる。
茶杯やグラス、茶通しなどはリビングに面した収納棚に。
作家のものから、古いガラスのカップまで、長年集めてきた愛用品。
<撮影/山川修一 取材・文/福山雅美 構成/鈴木理恵>
石村由起子(いしむら・ゆきこ)
1983年、カフェ&ショップ「くるみの木」を奈良にオープン。現在は「鹿の舟」、三重「VISON」に「くるみの木 暮らしの参考室」も。7月にオープンした三重・名張市のフルーツパーラー&ショップ「ideca」監修。ご縁を生かし、設計はやまほん設計室・山本忠臣さん、メニュー監修は福田里香さん。https://www.kuruminoki.co.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです