(『天然生活』2022年2月号掲載)
おいしくなるには、理由がある。道理を知って使いこなして
「お米は、道理を知ればだれでもおいしく炊くことができます。おいしく炊くための料理の科学を知るといいのよ」と語るのは、料理家の松田美智子さん。
まず、土鍋のふたは重くあるべし。炊飯時に圧をかけるためには、少なくとも1kgはあると完璧です。
「そこで土鍋を替えなさいというわけではないんです。軽いのなら、水を入れたやかんでものせて重さを出せばいい。空気穴が大きく圧が抜けると感じたなら、菜箸を差して調整すればいい。大切なのは、いつでも創意工夫なんですね」
さらに、収穫から日がたって風味が落ちたお米をおいしくいただく方法をひとつ。それは、米2合に対してグレープシードオイルなど、香りの強くない油大さじ1を加えて炊くこと。
「ごく薄い油の膜に守られ、うま味が逃げなくなります。冷めても固くなりにくいので、おむすびやお弁当におすすめですよ」
松田美智子さん愛用の「お米がおいしくなる道具」
香味飯鍋
熱効率のために鍋底を上げ、空気穴の位置までこだわり抜いた飯鍋。
使い手である私の声と、つくり手である職人の技術とを結集した結果。通常の煮込み料理にも。
鉄の小さなごはん鍋
鉄製でムラなく熱が入り、1~1.5合の少量でもふんわりおいしく炊き上がる。
炊き上がりまで5分ほど。IHも使え、熱源を選びません。
米とぎにも使えるザルとボウル
米とぎに適しているとされるまたたびざるの特徴を、プラスチックに置き換えて。
縦にスリットを入れることで、効率よく水がきれます。
さわら自在のお櫃(ひつ)
木曽産の極上さわらを素材をとしたおひつ。
底の内側に丸みをもたせ、“米粒が取りにくい”という悩みを解消。衛生的に使えます。
長手飯べら
深めにつくった香味飯鍋でも使いやすいよう、柄を長めに仕上げたさわらのしゃもじ。
熱々のごはんも難なく切るように混ぜられます。
自在ライスボックス(マス付き)5kg用
防虫・防湿効果の高い桐は、虫やカビの発生を防ぐ。
かっちりとした形で美しく、上にものを置けるのも、台所の限られた空間では魅力です。
〈撮影/萬田康文 取材・文/福山雅美〉
松田美智子(まつだ・みちこ)
家庭料理教室を主宰。道具の目利きにも定評があり、「料理は科学」をモットーに、自らもその開発に携わる。近著『おすし』(文化出版局)、『季節の仕事』(扶桑社)も好評。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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