(『Saison d' Eriko セゾン・ド・エリコ Vol.19 中村江里子のデイリー・スタイル』より)

「創建時以来、「シャトーモンフォール」と呼ばれてきたわが家。狩猟の宿としてフランソワ1世も立ち寄ったのだとか。塔がある部分の建物は1523 年の創建です。その周囲に年代を追うごとに棟が増築されていまの状態になっています」
歴史とパッションが込められたキッチン
南仏の家の先々代の持ち主の方がとてもこだわりのある方でした。
キッチンの調理レンジはプロフェッショナル向けのメーカー「モルテニ」のもので、この場所に合わせて特注したものだったようです。ずいぶん前のもののはずですが、機能は抜群。尋ねたいことがあってメーカーに問い合わせをしたら、「あのお宅ですね」と、すぐにわかってくれました。
コンフィヌモンで最初にこの家に来たとき、暖房もなく寒い思いをしましたが、このレンジをつねに種火にして暖をとりました。冬になるといまでも、テラスに代わってこのキッチンに集まって子どもたちは宿題をしたり、夫と私はここで仕事をしたりしています。
◆キッチンまわりのインテリア

クリニャンクールの蚤の市で見つけた浮彫りの絵皿。キッチンにまつわるオブジェがアクセントに

「上の壁の猟銃は、地下のカーブを片付けていて発見。おそらくナポレオン時代のもので、もう機能することはないけれど、ここに飾ることにしました」
ダイニングで、おいしい食事とデザートを
気持ちのいい日は、庭のテラスでいただきますが、夏でも肌寒い雨の日などは、ダイニングキッチンが食事の場所になります。そんなときには体を温めてくれる料理をとの心遣いから、シェフのダニエラさんは、前菜としてバターナッツのポタージュを用意してくれていました。

ポタージュと、根菜のスライスをパイ生地のように見立てマッシュルームなどをトッピングした温野菜料理。メインは鶏の香草焼き。グリルしたミニトマトといっしょにいただきます
改装前は青い壁でした
調理レンジ側の壁のタイルと同じものを作ってもらい、白く塗り直した横の壁にそれを貼りました。窓枠を赤にしたことで、キッチンのこのコーナーの雰囲気が明るくなりました。

<撮影/武田正彦 コーディネート・文/鈴木春恵>
中村江里子(なかむら・えりこ)
1969年東京生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、フリーのアナウンサーとなる。2001年にシャルル・エドワード バルト氏と結婚し、生活の拠点をパリに移す。現在は20歳、17歳、14歳の3人の子どもの母親でもある。パリと東京を往復しながらテレビや雑誌、執筆などで幅広く活躍中。自身のライフスタイルを紹介したパーソナルマガジン『セゾン・ド・エリコ』、書籍『パリのおうち時間』(扶桑社)も好評。
Instagram:@eriko.nakamuraofficial
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