(『天然生活』2022年1月号掲載)
暮らしのなかから美しいものが生まれる
京都市内から車で2時間ほど、山間の小さな集落。美しい棚田が続き、足もとには野花。「冬場は1mほど雪が積もりますね」と、迎えてくれた居相大輝さん、愛さん。
自分たちで古い家を直し、畑仕事しながら、服をつくります。ここに暮らして8年、糸草(しぐさ)ちゃん、白揺(はゆ)ちゃんが生まれて、いまでは家族4人になりました。
以前、花屋で働いていた愛さんは、刈り取った草を編んだり、布の切れ端で修繕したり。
ほうきも、ランプシェードも手づくり。みんなのおやつも畑で育てたかぼちゃやさつまいもで。
「何でも買う前に自分でつくれるかどうか考えるようになりました。もともと自然のなかで暮らしたかったので楽しくて」と、愛さん。
朝と夕方の散歩は、愛犬やヤギと一緒に家族みんなで。
「毎日歩いていても発見がある」と、大輝さん。やりたいことが尽きない、小さくとも豊かな暮らしです。
現在、大輝さんは実家の近く、京都・福知山市に新たな拠点をつくっています。
敷地から切り出した200本の木を製材し、本格的にスタート。
もともとあった小屋をアトリエに改修して、ここで仕事をしながら、大工さんとともに一から家をつくっていくそうです。
新たに養蚕もやってみたくて、廃業する方にお願いして道具を譲ってもらいました。
「家づくりにしてもそうですが、仕組みがわかっていれば次へ引き継ぐこともできるから、経験しておきたくて。染めができる池もあるし、土も肥えた土地。これからの暮らしも楽しみです」
工夫
仕事始めと終わりに掃除をする
大輝さんの仕事場があるのは、小さなはなれの2階。
心を落ち着かせて物事と向き合うために、作業の始まりと終わりに掃除を。
「身のまわりの景色は心身に影響するから、自分自身を整えるために場を整えます。作業を終えたら、片づける。次の日、すぐ動き出せるように」
愛さんが、集落で刈り取った稲わらでつくるほうきが相棒。さっと手に取れるように、家のあちこちに置いてあります。
<撮影/辻本しんこ 取材・文/宮下亜紀>
居相大輝、愛(いあい・たいき、あい)
「iai」主宰。山村で暮らしながら衣服を生み出す。すべて一点もの、めぐり合わせも楽しみ。展示会、オンラインストアにて販売。 http://iaihanaiten.com/ インスタグラム@_____i_a_i/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです