（『天然生活』2022年1月号掲載）
工夫
手を動かして、草を暮らしに取り入れる
花屋で働いていた愛さんは植物が好きで、暮らしのなかに生かします。
身近にある草を編んで、ランプシェードも手づくり。ひとつひとつ形が違います。
棕櫚（しゅろ）を編んだ筒状のランプシェード。苧麻（ちょま）をひものように使って、巻き留める。材料は集落を散歩しながら、採集したもの
蓑みのやかさづくりに用いられてきた、“カンスゲ”を編んでランプシェードに。影まで美しい
「草刈りしても使われることなく土の肥やしになるだけなので、何かに使えたらいいなと、編み始めました。もっと強度のある草もあるけれど、土手にたくさん生えている、この土地のものを生活で生かせるとうれしいし、心の栄養にもなります」
工夫
子どもの成長に合わせて、部屋や道具をつくり替える
子どものものはすぐサイズが合わなくなるけれど、安易に買い替えるのではなく、つくり替えたり、工夫したり。
家を直すときに余った木材でつくった子どもの椅子は成長に合わせ高さを変えられるように簡単なつくりに。
子どもが破いてもすぐに貼り替えができる、障子は理にかなった建具
「ダイニングは床張りだったのですが、子どもが過ごしやすいように畳を敷きました。素足にやさしく、ぐずったときに寝かせられる。子育てするなかで、そのよさを実感しました」
工夫
仕事道具も最小限に
服づくりの道具は愛さんが編んだガマの敷物の上に並べて、手に取りやすく。特別なものではなく、必要最低限。
作業台の上の道具。稲わらの手ぼうき、苧麻や葛の糸、竹皮の箱などは手づくりで
集落で採取した苧麻や葛（くず）などを撚（よ）って糸やひもとして使ったり、竹皮で小物入れをつくったり、竹を割いてまち針代わりにしたり、手づくりした道具も使います。
まち針に代えて、細く割いた竹を使う。近くに竹林もあり、はがれ落ちた竹の皮も拾ってものづくりの素材にする
「手近にあるものを使っていれば、壊れてもまたすぐつくることができる。土に還せる身近なもので道具もまかなえたら」
＜撮影／辻本しんこ 取材・文／宮下亜紀＞
居相大輝、愛（いあい・たいき、あい）
「iai」主宰。山村で暮らしながら衣服を生み出す。すべて一点もの、めぐり合わせも楽しみ。展示会、オンラインストアにて販売。 http://iaihanaiten.com/ インスタグラム@_____i_a_i/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
