
夫 昌治さん
1975年生まれ
神奈川県出身。若原アトリエを経て、2021年に永峰昌治建築設計事務所を設立。実家のリノベーションで公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の住まいのリフォームコンクール【住宅リフォーム部門】「優秀賞」を受賞
妻 紀子さん
1972年生まれ
神奈川県出身。会社員。神奈川県内の企業に通勤していたがコロナ禍により在宅勤務がメインになり、通勤時間が大幅に短縮。座りっぱなしを防ぐために電動昇降式デスクを購入し、寝室を兼ねる仕事場で快適に在宅勤務をしている
母 秋子さん
1943年生まれ
兵庫県出身。保育士として働き、結婚後、神奈川へ。夫の海外赴任のため サンフランシスコとフィリピンのマニラで暮らした経験あり。ピアノや手芸が得意で、絵手紙教室やヨガ教室などの習い事に積極的に通うなど、アクティブな一面も
家ではたらく
兼用することで限られた空間を有効活用
▼前回までのお話はこちらから▼
ひとり暮らしの母との“同居”を決意。実家をリノベし、1階と2階を完全分離させた「二世帯住宅」を訪問
「住宅を設計する際、いちばん大事だと思っているのが食卓。狭い家であれば特に、光が入ったり遠くまで景色が見渡せたりする場所に食卓を設置することを心掛けています」と昌治さん。
視線が抜ける南側に天井までの大きな窓を設け、お気に入りの丸テーブルを置いて、約6畳の居間兼ダイニングとしました。
ソファの代わりに大きめの椅子を置き、人が集まってもゆったり過ごせる空間を実現しています。

外階段を上がり、「ただいま~」と引き戸を開けると、昌治さんの仕事場兼玄関がある。床はタイル貼りで、壁には棚とデスクを造り付けた。玄関と兼用することで、ゆったりとしたスペースに
設計士である昌治さんの仕事場は玄関と、打ち合わせスペースはダイニングと共用としました。ダイニングと緩やかにつながるキッチンは、打ち合わせ時にはお茶を出す給湯室になります。
夫妻はともに在宅での仕事が中心なので、それぞれの仕事場も必要です。「45㎡と限られたスペースに詰め込まなければいけないので、共用できるものは共用することにしました」と昌治さん。

建具で仕切らず、玄関からフラットにつながるダイニングを見たところ。仕事の打ち合わせスペースにもなるダイニングは、玄関と一体の空間として利用されている
一方、ダイニングと壁で仕切られた寝室には、コロナ禍以降、在宅勤務が中心になった紀子さんの電動昇降式デスクを設置。

日中は在宅勤務をする妻の仕事場も兼ねた寝室。左手の引き戸の向こうにはコンパクトな洗面・浴室がある。寝室から水回りへの動線が短く、身支度もスムーズ
「扉を閉めればオンライン会議のときもお互いに気になりません。夫が打ち合わせをしているときは、なるべく静かにしていようと気をつけるくらいかな」と紀子さん。
仕事に集中できる空間が実現しました。また、寝室の隣にはコンパクトな浴室と洗面室を設置。
「一緒だとお互いに気を使うので、最小限のサイズでも1階とは別々にしようと決めていました」(昌治さん)
日々のこと、庭のこと
自然素材や庭を楽しむ暮らしを実現
2階の間取りについては、ふたりで相談して決めたという永峰さん夫妻。
「玄関に仕事場をつくる案も、『そういえば昔の商店って、店番をしながら隣の部屋で子どもたちが麦茶を飲んだりしていたよね』と話しているうちに、それなら玄関先で仕事をしてもいいのかな、と考えたのです」と昌治さん。
今回、2階は屋根や窓を中心に断熱改修を行い、快適さをアップ。玄関の引き戸には網戸を設置しており、気候がいい時季は開け放っておくと、ダイニングにも風が抜けて快適だそうです。
「本当は、1階のような広い空間がよかったのですが、クランクしている壁によって、お互いの気配が感じられるデザインをとても気に入っています。家事動線はよくないかもしれませんが、それも楽しんでいます」と紀子さん。
玄関とダイニング、キッチンは壁によって緩やかに仕切られながらもつながっているため、コンパクトな空間ながら奥行きが感じられます。

キッチンからダイニング側を見たところ。緩やかにつながりつつ適度に壁で仕切っていることで、空間に奥行きが感じられる。藁入りの漆喰で仕上げた壁や天井が、光をやわらかに受け止めている

ダイニングのテーブルは、天板を薄くし、脚と天板の間に隙間を設けるなど、細部にまでこだわったデザインが特徴
天井と壁の仕上げに使用した、藁入りの漆喰も紀子さんのお気に入り。テーブルや椅子などの家具もこだわって選ぶことで、自然素材に包まれた上質な空間に仕上がっています。
今回のリノベでは、外階段へつながるアプローチを庭につくったのに合わせて、1階にウッドデッキも設置。
庭仕事が好きな秋子さんは庭への行き来がこれまでより楽になり、子世帯とのコミュニケーションの場にもなっているようです。

庭の樹木は、アプローチと外階段を新たに設置するために一部を移動したが、ほとんどが既存のまま。庭仕事が好きな母が育てているバラなどの草木も、たくさん植えられている

昨年11月に亡くなった父の仏壇も、同じ木工作家にオーダー。1階の母の寝室に置かれている
※ 本記事は『relife+ vol.52』(扶桑社)からの抜粋です。
<撮影/松井 進 取材・文/松浦美紀 取材協力/永峰昌治建築設計事務所>
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