夜中の猫の運動会で睡眠不足になっていませんか?
ドタバタ! ダダダダー!
猫と暮らしていると、一度は、夜の大運動会に頭を抱えたことがあるのではないでしょうか?
昼間は静かにしているのに、いざ、人間が寝ようとすると、走り回って、あやうく私たちのお腹の上にドシン!
この現象に困っておられる方は多いと聞きます。
では、なぜ、猫は夜に運動会をするのでしょうか?
そもそも猫は野生で生活していた頃は、夜行性の生き物。昼は眠りエネルギーを蓄え、夜に俊敏になり獲物をとらえていました。
だから、猫が夜に活動的になるのは自然なことなんですね。

我が家の猫たちも、家に来たばかりの頃は、やっぱり大運動会。
子猫ほどそれは激しかったのですが……、今では誰も夜にはしゃぎません。
私たちが寝る時間になれば、猫たちも一緒になって「そろそろ寝るかー」とそれぞれお気に入りの寝床やベッドに集まってきます。
はたして、どうして変わってくれたのでしょうか?
対策をすれば、朝まで一緒に安眠できる! そのポイントを解説
猫が夜、活動的になるのは、昼間の運動不足が原因のことが多いといいます。
特に、家族が昼は働きに出ていて留守だったりすると、猫はその間ずっと寝ていて、家族が帰ってくると「ようやく遊んでもらえる!」と活動期に入ってしまうんですね。
そのため、昼間、運動不足やストレスが溜まらないよう、日中の時間を楽しく遊んだり、わくわくしてもらうことが大切です。
たとえば日中留守が多い家でも運動不足を解消するなら、猫がひとりで遊べるおもちゃ(飲みこんでしまうような危ないものは厳禁ですが)を用意したり、キャットタワーがあるだけでも猫は運動やストレス発散になります。

他にも外が見える場所があれば、飛ぶ鳥を眺めたり、ひとりでも楽しむことができます。
少しずつ暗くして、一緒にトーンダウンする工夫
また、我が家の場合、夜になると、だんだんと照明を暗くし、人間もはしゃぎすぎないようにしています。
たとえば、テレビや音楽の音も小さくし、夫婦間の会話も静かに。
そして、眠る1時間ほど前には、その日最後のおやつをあげて、お腹をいっぱいにします。
おやつを食べると、最初は嬉しくて少しはしゃぎますが、それがかえって眠気を誘うようで、「さあ、寝ようか」と電気を消せば、誰も騒ぎません。
ベッドに来ない猫であれば、心地よい寝床を用意してあげるのも大事。
うちは、ふかふかのブランケットや、もみもみするのにいいふわふわのクッションを置いています。
猫たちはそれぞれに、お母さんの温もりに包まれるように安眠してくれるみたいですよ。

もともとは夜行性の猫たち。
運動会は自然なことですが、優しい彼らは、私たちも歩み寄ることで、同じ生活リズムになってくれます。
「暴れるから」と閉じ込めたりするのではなく、一緒に、穏やかに生活していきたいですね。

咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」