四季の移ろいを感じる里山で暮らす、主婦のぬ衣さん。模様替えをしたり、ものを手放して新しく取り入れたり。「実は飽きっぽい」と笑うぬ衣さんの、暮らしのアップデート術を聞きました。家の中の滞りをなくし、自然とめぐりがよくなる暮らしをしてみませんか。
(『天然生活』2024年6月号掲載)
気持ちが上がらないときは、好きが詰まったアトリエへ。
手を動かすうちに気分も晴れる
3LDKの自宅の1部屋がぬ衣さんのアトリエ。リビングからドア1枚の距離ですが、ここは住まいとは趣が少し異なる特別な場所で、たくさんの好きなものを集めたアンティークショップのような空間です。
現在は一般公開はしておらず、あくまでも自分の楽しみとしてディスプレーしているそう。
「面白いな、素敵だなと思うものを飾ったり眺めたりするのが好き。だからちょこちょこ模様替えをして景色を変えるのが楽しいんです。これはあそこに置こうかな、こっちもいいかもと手を動かしていると、時間を忘れて夢中になってしまうくらい」
実は飽きっぽくて、ものに執着がないのよね、と笑うぬ衣さん。特別な思い入れのあるもの以外は、ためらいなく手放したり譲ったり。新しく出合った好きなものを積極的に取り入れて、暮らしをアップデートすることも欠かしません。
「たとえば自由に枝葉を伸ばした植物のように、あるいは長い年月をかけて変化した木材や金属のように、世界にひとつしかないものの姿形にひかれます。それが私の『宝物』ですね」
自分にとっての本当に大事なもの。それがわかっているからこそ、ぬ衣さんの暮らしはこんなにも心地よいのかもしれません。
ぬ衣さんの、気分を上げる暮らしの楽しみ
気分を上げる暮らしの楽しみ01
新しい変化を呼び込む「ちょこちょこ模様替え」

さりげなく壁に飾った古びた銅板は、工場の跡地で拾った「宝物」のひとつ
たとえば、ガラスびんにアルミのポットのふたをかぶせてみる。ところどころ錆びた金属板を白い壁にかけてみる。
時代や国、素材、質感の異なるもの同士を自由に組み合わせては置く場所を替えて楽しむ、そんな小さな「ちょこちょこ模様替え」が大好きなぬ衣さん。
見える景色が変わることで、心の中に新しい風が吹き込みます。
ある日の模様替え


真鍮の小さな盃が3つ。最初は窓辺のテーブルに並べられていたものが、キッチンカウンターに置かれたプレートの上へ。どちらも素敵。
気分を上げる暮らしの楽しみ02
趣味を彩るアイテムはアトリエ1カ所に集中
現在の自宅を建てるときにつくったアトリエスペース。住まいとは違い、こちらはもののための空間。

ものは好きだけれど執着はしない。増えすぎたら処分したり人にあげたり
フランスで蚤の市をまわって買ってきた器やカトラリー、散歩していた砂浜に埋もれていた古い木製のスツール、娘が生まれたときに仕立てた真っ白なベビードレスなど、大切に手元に置いてきたアイテムの居場所になっています。

「あれはこっちに置いたほうが素敵かも」と思いつくと、何かをしている途中でもすぐにアトリエへ
〈撮影/砂原 文 取材・文/片田理恵〉
ぬ衣(ぬい)
専業主婦として家庭を支え、家事と子育て中心の生活を送る。夫の退職を機に里山へ移住し、現在は自然に囲まれた土地で夫婦ふたり暮らし。ファッション、インテリア、建築、古道具をこよなく愛する。お気に入りの家具や器、雑貨、自作のバッグなどを並べたアトリエ「Cava」で、友人たちと過ごす時間を楽しむ日々。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです