• 自分の「心地よさ」を知るために必要なこと。それは、ある「9つの感覚」を磨くことだと、インテリアスタイリストの石井佳苗さんは話します。今回は、その感覚のひとつ「Judge(察する)」についてお聞きしました。歳を重ねていくなかで、どんなところに住み、暮らし、何を思い、そして自分のなかに生まれた小さな変化を察することが大切なのです。石井さんがこれまで暮らしてきたインテリアの記録から、そのヒントをひも解きます。『Heima』(扶桑社)からの一部抜粋でお届けします。
    (『Heima 住まいの感覚を磨く9つのキーワード。』より)

    石井佳苗さんの住まいのヒストリー
    自分と向き合い、インテリアを変えていく

    住まいづくりは、自分を知ることから始まる

    20代から9回の引っ越しを繰り返してきました。その間に家族と住むこともあれば、一人のときも。2011年からは猫とも暮らし始めました。仕事への向き合い方や人間関係にも変化が訪れ、思えば、心境の変化のたびに住まいが変わっているように思います。

    家族の団欒が多いときは、広めにとったリビングでリラックスすることが多く、友人を招いたり、仕事の打ち合わせが頻繁にあるときは、ダイニングが中心の生活になったりします。東京に住まいを移してからのこの数年は、家の中心はここ、という感覚はなく、リビングとダイニングの境目がなくなってきました。

    画像: 2010年横須賀にて、古いテラスハウスをリノベーションして住んでいた頃

    2010年横須賀にて、古いテラスハウスをリノベーションして住んでいた頃

    レイアウトの概念に捉われない

    猫3匹と私の暮らしでは、リビングには、一人がけのラウンジチェアやソファがあればリラックスするには充分。二人がけや三人がけのソファは必要としません。広い部屋に住めるのであれば話は別ですが、大きなソファがないことで、レイアウトの既成概念にとらわれず、部屋の中がフレキシブルで家具の移動も楽に。模様替えも楽しむことができるのです。 

    また、いつの時代もリビングダイニングの一角にデスクを置き、仕事をする部屋を分けていません。それは、気持ちのよい空間にいてこそ、仕事へのインスピレーションがわくと思っているからです。これはインテリアの仕事をしているゆえの独特な考え方かもしれませんね。

    画像: 2015年逗子で暮らしていた頃。セルフリノベーションに挑戦した、ここ数年で一番広い家

    2015年逗子で暮らしていた頃。セルフリノベーションに挑戦した、ここ数年で一番広い家

    いまの自分には何か必要か察知する

    家の環境もとても重要です。たとえば、部屋の大きさや、光の入り方、欲しい機能を察知してインテリアを考えてみる。日当たりのよい一角はリビングではなくダイニングに。気持ちよく目覚めたいから東向きの場所を寝室にと考えてもよいのです。自分だけが持つ感覚を大切に、住まいの間取りを考えられたら、自由で伸びやかな暮らしができるはずです。

    年齢、環境が変われば、自分にとって「何が心地よいか」も変わります。それを察して、素直に、インテリアを少しでも寄り添わせていく。今ある家を変えられないとしても、インテリアは変えられます。それが心地よい住まいづくりの第一歩だと思います。

    画像: 2019年目黒。仕事もくつろぎもどちらも快適にと家具の配置を考えた

    2019年目黒。仕事もくつろぎもどちらも快適にと家具の配置を考えた

    〈撮影/宮濱祐美子(2010年)、衛藤キヨコ(2015年、2018年)、馬場わかな(2019年) 取材・文/竹田理紀〉

    本記事は『Heima 住まいの感覚を磨く9つのキーワード。』(扶桑社)からの抜粋です

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    『Heima 住まいの感覚を磨く9つのキーワード。』(石井佳苗・著/扶桑社)|amazon.co.jp

    『Heima 住まいの感覚を磨く9つのキーワード。』(石井佳苗・著/扶桑社)

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    1冊の本になった『Heima』総集編

    家具、香り、ラグ、照明、アート……。石井佳苗さんが伝えたいのは、暮らしを構成するひとつひとつを自分軸で選ぶために必要な9つの感覚を磨くこと。本書では、石井さんの自宅のインテリアを通し、そのヒントをわかりやすく、魅力的に紹介します。また、織田憲嗣さん、土器典美さん、津田晴美さん、謝小曼さんなど、日本、台湾、タイをめぐり、石井さんが憧れる16人の方たちの自宅も訪問。224P特大ボリュームの保存版でお届けします

    9つのキーワードとは

    Judge(察する)、Idea(遊ぶ)、Balance(ととのえる)、Gradate(うつろう)、Hold(捉える)、Enjoy(享受する)、Relax(ほどく)、Spring(ときめく)、Breathe(呼吸する)

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    石井佳苗(いしい・かなえ)
    インテリアスタイリスト。東京都生まれ。株式会社カッシーナ・イクスシーに10年間勤務の後インテリアスタイリストとして独立。インテリアのほか、衣食住のライフスタイル提案を中心に、暮らしまわりのスタリングを手がける。主に、雑誌、広告のインテリアスタイリング、住宅メーカーのモデルルームやカタログ、VMD講師等多岐にわたる。著書に『Heima 住まいの感覚を磨く9つのキーワード。』(扶桑社)、『Love Customizer 1』『LoveCustomizer 2』(ともにエクスナレッジ)など多数。2020年7月よりオンラインにてインテリア講座「Heima Home Design Lesson」を始め、国内外の受講者に向け、様々な角度から住まいづくりの楽しさを伝えている。著書『Heima 住まいの感覚を磨く9つのキーワード。』は、7刷重版となり(2025年6月現在)、ロングセラーに。
    インスタグラム:@kanaeishii_lc
    https://www.heimalesson.com/



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