• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。梅雨と換毛期、しんどい時期に咲さんがしている工夫とは。

    梅雨入りしましたね。

    天気予報が外れるのが当たり前の季節に突入しましたね。

    晴れだと思っていたのに、午後からふいに空が曇り出し、やがて雨がパラパラ……。そんな日は、私はなぜか、朝、目が覚めた瞬間に「今日はくるな」と分かります。

    昔は全然平気だった雨の日。46歳になって、気圧の変化なのか湿気なのか、体の関節がどことなく痛むし、何より眠気がひどく、体を起こすのも億劫なのです。

    こういう日は無理をしないにこしたことはないのですが、猫が10匹もいるとそうも言っていられません。

    画像: 梅雨入りしましたね。

    換毛期の毛繕いが増えると、増えること

    この時期に悩まされるのが、抜け毛

    特に柔らかい毛質の子はちょっと撫でただけでも毛がごっそり抜け、家の中は毎日掃除してもふわふわ毛のかたまりが飛んでいます。

    薄いグレーのラグはまるで汚れたような黒に。枕で寝るのがお気に入りの子もいるので、軽い気持ちで顔をつけると、抜け毛がべったり。

    湿気が混ざると、猫の毛はなぜか重くなるようで床にへばりつき、掃除機で吸っても固まってしまうありさま……。

    私自身、最近はこの季節になると髪の毛が爆発したようにモサモサに。まだつやのある若い猫たちの毛並みを見て、「いいなあ」と羨ましく思ったりもするものです。

    とはいえ、彼らは彼らで大変なことが。

    グルーミングをすることで胃に毛がたまりやすくなり、吐く回数が一気に増えます。床のあちこちが毛玉でいっぱいになりますが、出せただけでも安心。「良かったね」と湿気で重い体を持ち上げて片づけるのです。

    画像1: 換毛期の毛繕いが増えると、増えること

    そんな私たちの「毛と湿気との闘い」

    気にかけているのは日々の小さな工夫です。

    (1)エアコンの除湿を一日中つける

    (2)風通しをよくするために、家具の配置を考える

    (3)部屋を涼しくしても、寒いのが苦手な子もいるので、ブランケットは片づけない

    (4)ブラッシングをし、無駄毛がたまらないようにする

    画像2: 換毛期の毛繕いが増えると、増えること

    老猫にも負担が増す夏。どうか健やかに

    湿気や抜け毛、体の不調の悩みはまだまだ尽きません。

    だけど、ふと思うのです。

    昨年、この時期を共に過ごした老猫トトは、その年の夏に永遠に瞳を閉じました。

    二度と、この季節を一緒に生きられない……。

    だから、昨年も、今年も、そして来年も「湿気が!」「抜け毛が!」「体が!」と騒ぎながら、一緒にいられる猫との日々を、ただただありがたく感じるのです。

    ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


    画像: 老猫にも負担が増す夏。どうか健やかに

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

    ブログ「ちいさなチカラ」



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