三戸なつめさんのぬいぐるみ愛
「5歳で出会った“くう”はインスピレーションの源」
ぬいぐるみとの古い記憶は、5歳の頃。ロンドンの百貨店のおもちゃ売り場で、夢のようにたくさん積まれていたテディベアだった。
「その中からお気に入りの子をひとつ選んで店員さんにお願いしたら、その方がくまの尻尾を持ったんです。“かわいそうだからそんな持ち方しないで”と心の中で叫んでいました」
そのテディベアは、“くう”と名付けられて今も隣にいる。今や三戸さんの生活に必要不可欠な存在に。

名前は、くう。「テディベアが好きです。でも、この子がいるから、お迎えするのはちょっと躊躇してしまうんです」と三戸さん

ジュエリーブランド「KuON」でつくったオーダーメイドリングにも“くう”を発見。モチーフになった部分を開けると“KUU”と直筆の文字が密かに刻まれている
好きなものだと自然とアイデアが湧く。それが“ぬいぐるみ”づくりに
今年に入ってからは、「新しいぬいぐるみとの関わりも増えて」と話す三戸さん。それは以前より気になっていた、ぬいぐるみをつくること。
「始める前まで腰が重かったのに、始めてみたらどんどんつくりたくなって! 私のつくり方は、型紙を取らずに布に直接描いて裁断する方法で、材料の一部は、着なくなった自分の服。赤のチェック柄は、昔着ていたシャツなんです」
腕や耳などのパーツ分けをあえてせずに、ファブリックの柄を生かしたデザインが新鮮でキュート。最初はくまの予定で制作していたら、2つある耳より3つの方がかわいいかも! ということに気づいて生まれたのが“三つツノかいじゅう”。何ができるかわからない、そんな制作の過程も楽しんでいるそう。

手づくりのぬいぐるみたち。一番右の子は、成り行きでつくったツノが気に入って“三つツノかいじゅう”と名付けられた
「くまなのかウサギなのか……自分の中ではあるんですが、見た人には“なんだろう?”って気になってもらえたらうれしいんです」
つくったぬいぐるみたちを、年に一回開催のフリマイベントで並べたところ、開始早々完売! ファンの方々に喜んでもらえた感激もあって、これからも作り続けていきたいと話す。そして、ぬいぐるみにまつわる創作は、絵本制作やリングのデザインなど多岐にわたっているのだそう。
「自分がクリエイティブなことをする時は、自分が好きなものだと自然とアイデアが湧くんです。それがぬいぐるみ。ピュアな気持ちを思い出させてくれる“くう”に、常にインスピレーションをもらっています」

よく遊ぶ友人宅から譲り受けたミッキー&ミニー

東武動物公園で「最初に目がバチっと合った」ホワイトタイガー。軽井沢の蕎麦屋で見つけた編みぐるみは、「店に入ってからお蕎麦を食べ終わるまで、終始気になって」お迎えしたもの

(左から)UFOキャッチャーで取った〈ぶりぶりざえもん〉。児童書を読んでいた〈パディントン〉は、映画の声優も務める。仕事が決まった時は感慨深かったそう。任天堂のゲーム「スプラトゥーン」より〈コジャケ〉
本記事は『nui nui nui! 大人だってぬいぐるみが好き! Vol.2』(世界文化社)からの抜粋です
ぬいぐるみの魅力をあらゆる角度から深堀り!
ブームが続く「ぬいぐるみ」そして「ぬい活」にフォーカスし、その魅力や新しい楽しみ方をご紹介します。Born In Japanぬいや人気作家のあの子、旅先で見つけたご当地ぬいに美術館・博物館のユニークなぬい、各国のヴィンテージ販促ぬいなどの紹介や、最新のぬい活事情、メンテナンス術、ぬいとのコーデ提案まで、あらゆる角度から”ぬい”の世界を大解剖します! 2025年1月に発売した第1弾発売直後からの反響を受け、満を持してvol.2が発売。
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三戸なつめ(みと・なつめ)
2015年にアーティストとしてメジャーデビュー。2018年より本格的に俳優としても活動を始め、NHK連続テレビ小説『おちょやん』などに出演。最近では映画『パディントン』シリーズに日本語吹き替えキャストとして参加。その他モデル、タレント、俳優として幅広いジャンルで活躍中。