(『天然生活』2024年7月号掲載)
家計簿をつけることで、お金の不安が軽減

固定費の見直しで移り住んだ郊外のマンション。広々、緑たっぷりの暮らしに進化して、とても快適に
柿崎こうこさんが、「お金」についてじっくり考えたのは50歳のとき。
41歳での離婚を経て、「少し先の未来」に思いをはせたときに、お金の不安が頭をもたげました。
そこで、苦手意識もあったお金のことときちんと向き合おうと決めてシビアに見直したのです。
「先送りにしてきた老後の貯蓄を増やすために、まずは家計簿をつけ始めました」
数カ月つけて見えてきた1カ月の生活費。
「この金額があれば暮らしていける」という具体的な数字が見えたら、お金の不安が軽減されたと振り返ります。
都心から郊外に引っ越して、家賃を削減
そして、現状から貯蓄を増やすには、出費の多くを占める固定費を減らすのが第一と気づきました。
「都心の便利な場所に住み、24時間ごみが捨てられたり、宅配ボックスがあったり……。そういう便利さにはすべてコストがかかっています。
若いときはそこに納得してお金を払っていましたが、50代以降はそこまでは求めなくていいと思ったのです」
そして、いまは郊外の駅から徒歩15分、築30年のマンション暮らし。見込み通り、下がった家賃は貯蓄にまわせています。

引っ越しをしたおかげでコスト減にもなったし、念願の猫との暮らしも手に入れられた
日ごろの節約が、余裕につながる
「ものとかサービスとか、そこまで必要じゃなくて、頻繁に使わないものにお金を使うのはもったいないと思うタイプなんです。だから、買い物はすごく慎重」
最近だと、炊飯用の土鍋を買うのに一年もかかったと笑います。
「使い勝手やサイズ感、メンテナンスなど、いろいろなことを想定してシミュレーションします。感覚で飛びついて、失敗したくないので」
お金を出し、暮らしの持ち物を増やすには、「熟考」したうえでの「納得」が必要なのです。
出費のむだを省いて生まれた「余剰」は「余裕」につながり、それが暮らしを彩ってくれます。
「旅や楽しいイベントのお誘いがあったら、躊躇なく乗っかりたい。お金の使い方もメリハリですね」

気に入ったものをずっと使い続けるのも節約のひとつ。漆継ぎなら接着剤感覚で直せて、接着剤より美しく素朴
〈撮影/星 亘 構成・文/鈴木麻子〉
柿崎こうこ(かきざき・こうこ)
イラストレーターとして雑誌や書籍、広告媒体などで幅広く活躍中。神奈川の築30年超の家で保護猫2匹と暮らす。実践でたどりついた心身の美容と健康について綴った『50歳からの私にちょうどいい美容と健康』(CCCメディアハウス)が発売になったばかり。インスタグラム@kakizaki_koko。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
* * *
天然生活2025年9月号では、「幸せな貯まる習慣、まわす暮らし」の特集をしています。暮らしを楽しみながら、使ったり、増やしたり。皆さんのお金との向き合い方をお聞きしました。ぜひあわせてお楽しみいただけましたら幸いです。