(『天然生活』2024年7月号掲載)
元気なうちはずっと働いていたいから、早めに次の道へ

3年前に購入した自宅の改修も現在進行形で自ら行う。DIYの面白さにハマったのが大家業のきっかけ
「お金の見直し」について問い合わせたところ、「見直しというよりは、もって生まれた節約魂っていうところかな?」とざっくばらんに話してくれた片岡延江さん。
「お得」が大好きで、節約して浮いたお金を、さらなる飛躍のために活用していると見受けました。
約10年前に出版社を早期退職して、現在は二足ならぬ三足ものわらじを履いています。
ひとつ目は編集者。ふたつ目は「大家さん」業。3つ目は保育士です。
「退職したのは50歳のとき。このまま定年まで勤めた後、60歳で何か新しいことを始めるのは大変かな、って思ったんです。
元気なうちはずっと働いていたいし、だったら、早めに次に進もうと……」
古い家を購入して、DIYでコツコツ再生。工夫がお金に
そうして「大家さん」業を始めたというのが興味深い。
「『家を買って大家さんしてる』と話すと、『すごいね』っていわれます。
でも、私が買うのは値段も手頃な古い昭和な家、それをDIYでコツコツ再生していくことに醍醐味が。
職人さんたちとの出会いや、自分の経験値が溜まっていくのも楽しいです」
たくさん儲けようとは思っていないけれど、工夫がお金につながっていくのはやっぱりうれしいのです。

第二種電気工事士の資格ももつ片岡さん。自宅のスイッチ交換も気軽にこなす
保育士は、子育てが終わり「何かやらなきゃ」と、挑戦を思いつきました。
目指したのは「80歳まで働けるおばあちゃん保育士」。
資格試験は2回落ちて57歳で合格し、いまは週に2回、働いています。
「行動力」でたどり着く、お得で充実した暮らし
「思う」のはだれでもできること。それを実行に移すかどうか……。
片岡さんは思ったことはその場で調べたり、すぐ行動に移したりするのだそうです。
「散歩していると、庭の木にみかんがなっているけど、そのままにしているお宅ってあるでしょ?
家の方に声をかけて、採らせていただいちゃうんです。ジャムにしてお渡ししたらとても喜ばれました」
動いた人しか手にできない「お得」ってあるんです。

保育士、宅地建物取引士と、50歳を過ぎて立て続けに資格を取得した片岡さん。「勉強をすると集中して時間を使うので、むだな出費がなくなります」
〈撮影/近藤沙菜 構成・文/鈴木麻子〉
片岡延江(かたおか・のぶえ)
雑誌『Hanako』や『Hanakoママ』の編集長を経て、50歳で退職しフリーランスに。趣味のDIYを活かして、自らリノベーションした中古住宅で「大家」業を営む。57歳で保育士資格を取得し、女性誌の編集の仕事をしつつ、保育士としての活動も。4人の子の母。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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天然生活2025年9月号では、「幸せな貯まる習慣、まわす暮らし」の特集をしています。暮らしを楽しみながら、使ったり、増やしたり。皆さんのお金との向き合い方をお聞きしました。ぜひあわせてお楽しみいただけましたら幸いです。