(『天然生活』2024年11月号掲載)
平山さんのあるものを生かす暮らし 01
両親が残したプレハブ小屋をリノベーションして住まいに
板金職人だった父親が作業小屋として使っていたプレハブ小屋を自分たちの手でリノベーション。
傷んだ個所の修繕、床板張り、壁塗りなどにコツコツと取り組み、1年半かけて完成させました。
「大工仕事の経験はゼロ。親の知り合いだった職人さんたちに大いに助けてもらったほか、友人知人にもSNSで呼びかけて、手伝いに来てもらいました。DIYに興味があるという人も多く、1年半の間にのべ100人以上が来てくれたのが本当にありがたかったです」

両親が暮らしていた家の敷地内にあったプレハブ小屋をリノベーションした住まい。「外壁の板は住み始めてから数年後に大工さんに張ってもらいました」

簡素な作業小屋が、温かみのある空間に生まれ変わった。棚や机も手づくり
平山さんのあるものを生かす暮らし 02
拾ってきたものや譲られたものをリメイク
新しい住まいでは、棚や机といった家具の大部分を自分たちで手づくりしました。建具に関しても一部は古いものを上手に活用して、わざわざ新しいものを買わず、お金と資源の節約に。
「トイレのドアは、知り合いが解体現場から持ってきて譲ってくださったもの。障子は私が見つけて拾ったものです」
障子は窓の大きさに合わせて丈を詰めたうえで、切った部分を和紙でくるむという工夫も。
「こうすれば見た目もきれいだし、断熱効果もあるんです」

窓に合わせて丈を詰め、和紙で包んだ障子

譲られたドアをトイレの扉に。洗面台の棚も端材と「無印良品」の鏡を使って手づくりしたもの
平山さんのあるものを生かす暮らし 03
和紙や漆喰などの自然素材を自分流に工夫しながら使う
リノベーションの際に決めていたのは自然素材を使うこと。ただし自分たちで作業することを考え、無理なく扱える素材や方法を探りました。
「剥き出しだった天井の断熱材は一度下ろしてから和紙で包み、再び取りつけました。壁はもみ殻入りの漆喰を塗ることに。丈夫なのと、自然な凹凸が出るので上手に塗れなくてもアラが目立ちにくいからです」
友人たちも一緒に行った壁塗りは、それぞれ塗り方に個性が出たそう。
「いまもどこをだれが塗ったかがわかります」

左官職人の指導のもと、もみ殻入りの漆喰を壁に塗った

機械漉きの和紙で断熱材をくるんだ天井。「いずれは手漉きの和紙で仕上げたいです」
〈撮影/飯貝拓司 取材・文/嶌 陽子〉
平山友子(ひらやま・ともこ)
東京生まれ。出版社、編集プロダクション勤務を経て、1991年からフリーランスのライター。主に木造住宅やそのつくり手、林業・製材の取材を行っている。特定非営利活動法人 小川町創り文化プロジェクト理事。主な著書に『古家リノベーション』(春陽堂書店)『くさる家に住む。』(共著・六耀社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです