(『天然生活』2024年12月号掲載)
負担を感じさせない方法で、自然ときれいをキープ
アパレルブランドのバイヤーとして30年暮らしたパリから帰国し、2年ほど前にフランス人の夫・ロランさんとともに京都へ移住した宇佐見さん。古物好きが高じて、骨董市などで蒐集した苧麻(チョマ)の絣の着物を、1点ものの洋服に仕立て直すブランドを始めました。
銀閣寺にほど近い一軒家には、パリからコンテナで持ち帰ったアンティークの家具や雑貨、ファブリックが美しくしつらえられています。
袋小路で人目が気にならない立地のため、ダイニングとリビングの窓にはあえてカーテンを付けず、レールも取り外したそう。窓ふきもスムーズになり、光や風、緑がさらに心地よく感じられます。
リビング側の庭にはパラソルとベンチを置き、日差しを浴びて過ごすのが好きなロランさんの特等席に。クッションや敷物を屋外に持ち出すことで、自然と湿気やほこり対策にもつながります。
道具は手に取りやすい場所に置き、暮らしのなかで無理なくできることを。宇佐見さんの暮らしには、掃除に時間をかけられないからこその工夫がありました。
宇佐美さんの負担をかけない掃除のコツ2選
負担をかけない掃除のコツ1
カーテンは付けずに、お手入れの手間を省く
朝の木もれ日が心地いいダイニング。掃き出し窓の外は小さな庭のため、あえてカーテンを付けずレールも取り外したそう。洗濯やメンテナンスの手間なく、夫が担当する窓ふきもスムーズ。
「直射日光がさほど入らず、人通りのない立地なので必要なかったんです」
庭の金木犀が咲く時季は、窓を開け放って香りを楽しむことも。

小千谷縮の着物を仕立て直したワンピースは、張りがあり、軽い掃除で汗をかいても肌にまとわりつかない
負担をかけない掃除のコツ2
クッションやブランケットは、太陽の下へときどき移動させる
庭でお茶や食事をする日は、リビングの椅子が定位置のクッションや、フランス軍のマットレスカバーを庭に移動させます。ほこりを払ったり、天日干しにもなるので一石二鳥。

クッションやカバーなどのファブリック類も、アンティークのものが多い
「夫は屋外で過ごすのが好きで、朝のコーヒーをいつのまにか庭で飲んでいることも。気候のいい時季は友人たちを招いてBBQを楽しんでいます」

リビングに面した庭は、静かで心休まる空間。ふだんは室内で使っているカバーやクッションを日差しに当てることで、カビやダニ、消臭対策にもなる
宇佐見さんちの掃除スケジュール
夫婦ともに決まった休日がないので、掃除も曜日は決めず、暮らしのペースに合わせてが基本。玄関、1階と2階の床、キッチンまわりは毎日掃除し、後々の負担がないよう心がけます。
来客前は、ふだん目が届かない椅子の下など、隅々までチェック。カトラリーを磨き、花を飾って、空気感を一新します。
[気づいたら1日何度でも]
1階のリビング&ダイニング、2階のアトリエの床掃除
[毎日]
コンロの油汚れやシンクの水アカの掃除
[気がついたときに]
鏡やデコイなどコレクションの水ぶき
[使うついでに]
食器やカトラリーの手入れ
洗面所など水まわりの掃除

あまり気負わず、自然体でゆるやかに
〈撮影/竹田俊吾 取材・文/野崎 泉〉
宇佐見紀子(うさみ・のりこ)
バイヤーとして約30年パリで暮らし、2017年に帰国、2022年より京都在住。同年に100年の時を経た日本の苧麻の着物をほどき、フランスの100年前のシルエットの服に仕立て直すブランド「紀[KI]-SIÈCLE」を立ち上げる。京町家を再生したギャラリー&ショップ「A LITTLE PLACE」も運営。
インスタグラム@ki_siecle_
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




