• 何かを強く求める気持ち。それはときに執着となり、自分自身を苦しめることも。その人本来の輝きは、願いも思い込みもすべて手放した瞬間にこそ、見えるものなのです。今回はモデルのSHIHOさんに、手放す心地よさを教えてもらいました。
    (『天然生活』2025年11月号掲載)

    フォーカスは、いつも私に

    画像1: フォーカスは、いつも私に

    手放すことでしか得られない、心地よい感覚があります。

    さまざまな執着……たとえば、相手のためにと思っていた行動、ときに「自分らしさ」だと思っていたこだわり。そのすべてを手放せたとき、自分がいかに多くのものに縛られていたかを、SHIHOさんは実感しました。

    「いまでも、『あ、私、まだ手放せていないな』と思うこともあります。ただ、そこに気づけることが大切な要素でプロセスだと思うのです。歳を重ねるにつれて、自分がどんどん軽くなっている感覚があります」

    画像2: フォーカスは、いつも私に

    “手放す”心地よさを知ったきっかけ。それは、若いころの失恋でした。

    「『私のあれがいけなかったんだ』とか。考えてもどうしようもないことを、いろいろ抱え込んでしまって。相手の気持ちなんていくら推しはかったって本当のところはわからないのに、そこに縛られて身動きが取れなくなっていたんですね。当時の私は執着して、考え込むことをやめられなかった。そんな時期にちょうど、体験することになったヨガの合宿。それは私の人生の転機になりました。合宿後、自分をおとしめることよりも高めていく決意をしたことで、ごく自然に、『彼をあきらめよう』と思えて。手放した分、何かがやってくるとは限らないけれど、その数日後に夫との出会いが訪れたと思うと、タイミングって面白いですよね」

    画像3: フォーカスは、いつも私に

    手放すことは、「あきらめること」だともSHIHOさんはいいます。

    「あきらめるという言葉はネガティブにとらえられがちですが、私はそれだけとも思っていなくて。なんていうのかな、もっと明るく、『う〜ん、もうどうなってもいいや〜』って笑いながら両手を上げてしまう感じ。人は、いろいろなことを考えすぎていて、それこそまだ起こってもいないことを心配して、あれこれ抱え込んでしまうでしょう? 『どうなってもいいや』っていうのは、自分の力の及ばないところには、気持ちも時間も割かないということ。常に、自分にだけフォーカスを合わせる。それさえできていれば、たいていのことはこだわる必要のない些細なことだと気づけるんです。私の経験上、苦しくなっていたのは、他人の行動や感情に気持ちが向かってしまっているとき。他人の在り方を変えたいと思って、辛くなることが多かったように思うんです。いま思えば、だれかのことを自分が変えられるなんて、思うことが間違っているのに」

    画像4: フォーカスは、いつも私に

    私が私をハッピーにする。私がなりたい自分になる。わがままにも見えるかもしれないけれどそんな自己責任のある考え方が心を軽くし、さらには周りの人々にも、ポジティブな空気が伝播していくそう。

    思えば、人間同士の揉めごとの多くが『どうして、○○してくれないの?(私はあなたのためにこんなに心を砕いているのに)』という苛立ち。たとえ同じ行動をとるにしても、相手の変化を期待せず、「私がやりたいから、やる」とフォーカスを自分に変えるだけで、他人に対する期待も、それが叶えられなかったときの失望も手放せます。

    これまで無言のうちに相手に与えていたプレッシャーがなくなることで、相手の気持ちも軽やかになり、人間関係も実に心地よく回り出すのです。

    画像5: フォーカスは、いつも私に

    ヨガ、瞑想、さらには禅。さまざまな執着を手放し、自身と向き合うことを知ってから、その感覚に魅入られ、感性を研ぎ澄ませるSHIHOさん。

    「極論をいえば、息をして、ここにいられるだけでいい。生まれてきたことが奇跡のようなもので、神様に選ばれて生かされているのだから。そして、生きられる時間は限られていて、ネガティブなことはもとより、美しい音色も、それを美しいと思う感情も、すべては一時的なこと。そう考えると、もう私たちは何も抱え込む必要はないし、一瞬を生きて、あとはもう過去。感情に引きずられることなく、感謝して手放しながら、生きていく。生かされている人すべてが、輝きをすでに持っていて、もしそれを感じられないとすれば、考えすぎることや持ちすぎることで何かが曇ってしまうのかもしれないですよね。自分の中にあるものに覆うものが何もなくなったとき、人は内側からの輝きを取り戻せると私は感じています」



    <取材・文/福山雅美>

    SHIHO(しほ)
    1976年生まれ。滋賀県出身。17歳よりモデルとして活動をスタート。同性の圧倒的な人気を得てトップモデルとなる。2009年に格闘家の秋山成勲氏と結婚。2011年に長女を出産。飾らない自然体の生き方が、常に女性たちに支持され、ファッション雑誌、テレビ、ラジオ、広告など多岐にわたっ
    て活躍を続ける。最近では日本のみならず、アジア圏でも活躍。インスタグラム@shiho_style

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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