• 2026年10月はすべての都道府県で最低賃金が引き上げられ、各地で順次適用が始まっています。ファイナンシャルプランナーの平賀初惠さんのもとに、「このまま働くと年収130万円を超えて扶養から外れそう。働き方を変えるべき?」という相談が。いわゆる「130万円の壁」です。平賀さんの回答を教えてもらいました。

    Q パートの時給が上がり「扶養」から外れそうです。働く時間を減らしたほうがいいのでしょうか?

    「10月から時給が上がることになりました。このまま働くと年収130万円を超えそうです。夫の扶養から外れるなら、勤務時間を減らしたほうがいいのでしょうか?」(30代・パート社員)

    A 「扶養を外れる=損」とは限りません。まずは、自分がどの社会保険に入る働き方なのか確認してみましょう

    画像: 平賀初惠さん

    平賀初惠さん

    時給が上がるのはうれしいことですが、「扶養から外れると損をするのでは」と考えると、素直には喜べない。そんな方もいるでしょう。

    ただ、社会保険は年収だけで決まるものではありません。勤務先の規模や働く時間によっては、年収130万円未満でも勤務先の社会保険に加入することがあります。目先の手取りだけでなく、保障や将来の年金、これからの働き方まで含めて考えてみましょう。

    「130万円の壁」とは

    今回の相談で気になるのが、社会保険の扶養にかかわる、いわゆる「130万円の壁」です。配偶者などの社会保険の扶養に入れるかどうかは、年間収入の見込みが130万円未満であることなどで判断されます。給与収入のみの場合は、労働条件通知書などの契約内容から、この収入見込みを確認します。※一時的な収入増などの場合には、年間収入が130万円以上になっても、扶養を継続できることがあります。

    画像: 「130万円の壁」とは

    年収130万円未満でも、扶養ではなく勤務先の社会保険に入る場合も

    ここで確認したいのが、勤務先の社会保険の加入対象になっているかどうかです。一定の要件に当てはまれば、年収130万円未満でも勤務先の健康保険・厚生年金に加入します。

    一方、勤務先の社会保険の対象にならず、年間収入の見込みが130万円以上となって扶養を外れる場合は、一般に国民健康保険・国民年金に自分で加入します。

    【2026年10月から社会保険の加入で確認したいこと】

    確認すること社会保険の加入要件
    勤務先の規模従業員51人以上
    週の勤務時間所定労働時間が20時間以上
    学生かどうか学生ではない
    賃金月額8.8万円以上という要件は撤廃

    ※「従業員数」は厚生年金の被保険者数を基準に数え、法人の場合は法人全体で判断します。2027年10月からは36人以上、2035年10月には撤廃される予定です。
    ※このほか、2カ月を超えて雇用される見込みがあることが必要です。
    ※「所定労働時間」とは、残業などを含む実際の勤務時間ではなく、就業規則や雇用契約書などで決められた通常の勤務時間のことです。
    ※パート・アルバイトでも、週の所定労働時間と1カ月の所定労働日数が、同じ職場の通常の労働者の4分の3以上の場合は、上記とは別の基準で社会保険の加入対象になります。

    勤務先の社会保険に入ると、何が変わる?

    勤務先の社会保険に加入すると、健康保険料や厚生年金保険料が給与から引かれます。

    一方、厚生年金に加入すれば、加入期間や給与に応じた厚生年金が将来の年金に上乗せされます。

    また、勤務先の健康保険では、病気やけがで仕事を休み、給与を受けられない場合などに「傷病手当金」を受け取れることもあります。

    手取りだけでなく、将来の年金や、もしものときの保障も含めて考えることが大切です。

    「扶養内に収める?」より「これからどう働きたい?」

    今回相談してくれた方は、まだ小さなお子さんがいます。いまはパート勤務ですが、子どもが成長したら、いずれはフルタイムで働きたいという希望もありました。

    そこで私は、「扶養内に収めるために勤務時間を減らす」と決めるのではなく、社会保険に加入して働くことも選択肢のひとつとして考えてみては、とお話ししました。

    もちろん、子どもが小さい、介護があるなど、いまは勤務時間を抑えたい方もいるでしょう。大切なのは、「扶養内と扶養外、どちらが得?」だけで決めないことです。

    ここがポイント!

    「扶養内に収めるにはどう働けばいい?」だけではなく、3年後、5年後、自分はどんなふうに働いていたいのか。自分や家族のこれからの暮らしも含めて、働き方を考えてみてはいかがでしょうか。

    ※記事中の情報は2026年10月時点のものです



    平賀初惠(ひらが・はつえ)
    ファイナンシャルプランナー2級技能士、企業年金総合プランナー、証券外務員2種、シニアリスクコンサルタント。企業型確定拠出年金(DC)導入支援、個人型確定拠出年金(iDeCo)・NISA口座開設支援、セミナー講師、社員研修、投資教育などを行う。
    https://www.hiragafp.com/



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