• 急激な物価高、上がらない給料……わが家の家計はこのままで大丈夫? などと不安になることも。お金を取り巻く環境が大きく変化しているいま、やるべきことを考えてみましょう、というのはファイナンシャルプランナーの西山美紀さん。今回は「新NISA」の基本と投資のコツを教えてもらいました。
    (『天然生活』2026年11月号掲載)

    投資の第一歩は新NISAの「つみたて投資枠」で「オルカン」を

    NISAがスタートしてから10年以上経ち、いまでは「投資」もずいぶん身近なものになってきました。投資をよりつづけやすくする方法のひとつが「ドルコスト平均法」です。これは、毎月決まった金額を、値動きにかかわらず、ひたすらコツコツ積み立てていくというもの。

    10年、20年という時間の長さを味方にしながら、株の値段が高いときは少なく、安いときは多く買うことで、高値づかみを抑えながら、購入価格を平準化する効果が期待できます。毎月いくら、と機械的に投資をするので、自分で買うタイミングを考える難しさもありません。

    「初心者には、このドルコスト平均法の考え方を取り入れて、新NISAの『つみたて投資枠』を始めるのがおすすめです。投資では通常、利益に対して約20%の税金がかかりますが、NISAではそれがかからず、利益をすべて手にできます」

    新NISAには「つみたて投資枠」(年間120万円まで)と「成長投資枠」(年間240万円まで。積み立て、一括どちらも可)があります。まずはつみたて投資枠で少額から始めてみましょう。ネット証券などでは月100円から始められるところもあります。慣れてきたら、徐々に積立額を増やしていくのもいいでしょう。

    投資Q&A

    「つみたて投資枠」って何?

    画像: 「つみたて投資枠」って何?

    投資で得た利益が非課税(=税金ゼロ)になる新NISAの投資枠で、証券会社や銀行にNISA口座を開設して利用する。2024年からは非課税期間が無期限となり、年間120万円まで投資が可能に。毎月100円などの少額から始められ、生涯で合計1800万円まで非課税で運用できる。

    どの証券会社で始めるといい?

    画像: どの証券会社で始めるといい?

    はじめて投資をするなら、「SBI証券」や「楽天証券」「マネックス証券」などのネット証券がおすすめです。商品ラインアップが豊富で、最低100円からの積み立てもOK。手数料が無料または比較的安い。対面が希望なら、手数料は高めだが実店舗のある証券会社や銀行を選択肢に。

    「オルカン」とは?

    画像: 「オルカン」とは?

    「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の愛称。日本を含む世界中の株式にまとめて分散投資できるのが特徴で、純資産総額は国内トップクラスの約13兆円。手数料の信託報酬も業界最低水準で、「迷ったらオルカン」といわれる人気商品。

    投資のコツ

    高すぎる利回りは要注意。金融庁の登録確認を

    画像: 高すぎる利回りは要注意。金融庁の登録確認を

    投資商品を選ぶ際の安全材料のひとつが利回りの数字。定期預金や国債の金利に比べて、「年利3%以上」など高い利回りをうたう商品は要注意。金融庁のホームページにある「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で会社名を検索してみて。そこに会社名があるかどうかが、信頼性を判断するひとつの目安になる。

    長期・積立・分散でリスクを抑える

    画像: 長期・積立・分散でリスクを抑える

    投資のリスクを抑える基本は、少額で「長期・積立・分散」です。一度に大きなお金をひとつの会社の株や投資信託などの金融商品に入れるのではなく、少しの金額でコツコツと積み立て、10年以上の長期にわたり、いろいろな株や金融商品に分散して投資。こうすることで、特定資産の値下がりによる影響を抑えられる。

    所得が高い人は「新NISA」+「iDeCo」も

    画像: 所得が高い人は「新NISA」+「iDeCo」も

    「iDeCo」は国の私的年金制度で、積み立てて運用したお金を原則60歳以降に受け取れる。全額所得控除で、所得税率が高いほど節税効果大。投資で得た利益も非課税、受け取り時も税制優遇がある。ただし、60歳以前は原則引き出せないため、まずは「新NISA」を始めて、それでも余裕があれば「iDeco」も始める優先順位で。

    お金と安心をコツコツ育てていきましょう

    家計を見直すさまざまな方法をご紹介してきましたが、すべてを一度にやろうとしなくても大丈夫です。まずは、ひとつでも試してみることが、なにより大切な一歩になります。

    お金と向き合ううえで大切にしたいのが、「必要なものにはきちんとお金を使ってもいいんだ」という気持ち。その代わり、すぐに使わない眠っているお金は、時間をかけることでリスクを抑えて、しっかり育てましょう。

    お金を増やすコツを覚えると、お金とのつきあい方も楽しくなってきます。そのためにも、まずは少額でいいのでリスクの低い投資からチャレンジしてみてください。投資をして興味をもつとお金の知識がどんどん増えてきます。

    ただし、投資ブームの雰囲気に流されて、よく知らない相手に大きな金額を預けるようなことはくれぐれもしないように。目的は将来の安心を手に入れること。信頼できる方法で少しずつコツコツとが基本です。

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    <監修/西山美紀 取材・文/工藤千秋 イラスト/イオクサツキ>

    西山美紀(にしやま・みき)
    ファイナンシャルプランナー。出版社勤務を経て2005年に独立し、FP資格を取得。暮らしに身近なお金のテーマを中心に、取材・執筆・監修・講演を行い、そのわかりやすさに定評がある。著書に『お金の増やし方』(主婦の友社)などのほか、『別冊天然生活 「お金」のきほん 整え方と増やし方』(扶桑社)の記事も監修。2児の母。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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