• 豊かな人生とはどんなものでしょうか? 歳を重ねて生き生きと自分らしく、充実感に満たされた日々を送る方々の暮らしぶりに、そのヒントが隠されていそうです。今回は90代のユーチューバー、多良美智子さんが、楽しみの中心にあるという「お稽古事」と続けるうえで大切にしている人づきあいについて教えてくださいました。
    (『別冊天然生活 歳を重ねて楽しむ暮らしvol.5』より)

    いつもご機嫌でいたいから、我慢はしない

    画像: 般若心経を読み上げたら墨をすり、薄めの紙をお手本に重ね、紙の上から筆で2時間かけてなぞっていく

    般若心経を読み上げたら墨をすり、薄めの紙をお手本に重ね、紙の上から筆で2時間かけてなぞっていく

    緑豊かな団地でひとり暮らしを謳歌する多良美智子さん。90代のいま、楽しみの中心にあるのは、地域の教室やコミュニティーへ出かけ、歌や絵手紙、リメイクなどの習い事に参加することです。

    「1回500円や月1000円と、手頃な値段がありがたいですね。週に数回、毎日のように通える場所があるから、ひとり暮らしでも全然さびしくありません」

    画像: 姪っ子との旅先で見つけた硯。「使うたびに歩いた景色や楽しかった時間が蘇ります」

    姪っ子との旅先で見つけた硯。「使うたびに歩いた景色や楽しかった時間が蘇ります」

    習い事を続けるうえで大切にしているのが、自分の機嫌を自分でとること。そのためにも人づきあいは広く、浅くを心がけています。

    「昔から深いおつきあいは苦手で。その場でおしゃべりが弾んで楽しく過ごせれば十分です。家に遊びに行くような深い関係ではなく、少し距離を置くほうが自分には心地いいんですよね」

    画像: 親しい人に送っている手づくりの絵手紙カレンダー。「つくるのが大変になってきたので、息子に手伝ってもらっています」

    親しい人に送っている手づくりの絵手紙カレンダー。「つくるのが大変になってきたので、息子に手伝ってもらっています」

    好きで始めたことでも、雰囲気が合わなければすぱっとやめます。

    「先生に相談してクラスを替えるか次を探し、それでも違うと感じたら無理はしません。いつもご機嫌でいたいから、我慢はしないの」

    ご縁で暮らしが広がり、他愛ない会話が元気の源に

    画像: 「編み物は小学生のころから好きで始めました。40代でニット教室に数年通い、ますます好きになりました」

    「編み物は小学生のころから好きで始めました。40代でニット教室に数年通い、ますます好きになりました」

    こうした軽やかな姿勢で学びの場に身を置いていると、時に思いがけない縁が運ばれてくることも。

    「いい先生にめぐり合うんですよ。息子のPTAの役員で、手芸『モラ』の先生と出会いました。習い事を通して仲良くなるなかで、最後は、先生の素敵な自宅を息子が購入するご縁も頂き、ひとつの習い事から、家族の暮らしまでが思わぬ方向に広がりました」

    画像: 残っていた毛糸でつくっているスヌード

    残っていた毛糸でつくっているスヌード 

    以前は技術の上達にやりがいを感じていましたが、いま一番の喜びは仲間とのおしゃべりです。

    「足がふらふらすると相談すれば、軽いステッキの存在を教えてくれたり。他愛ない会話で笑い合う時間は元気の源。私が笑うことで、目の前のお友達も笑顔になってくれる。それが少しでもその方の役に立っていたらうれしいです」

    本記事は『別冊天然生活 歳を重ねて楽しむ暮らしvol.5』(扶桑社)からの抜粋です

    <撮影/林紘輝 取材・文/小松﨑裕夏>

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    『別冊天然生活 歳を重ねて楽しむ暮らしvol.5』(扶桑社ムック)

    『別冊天然生活 歳を重ねて楽しむ暮らしvol.5』(扶桑社ムック)|amazon.co.jp

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    自分をまんなかに置いて、これからをもっと自分らしく。暮らしを整えることから、体や心のケア、人生を楽しむための時間まで。歳を重ねたからこそ見つかる、心地よく豊かに暮らすためのヒントを集めました

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    本書では、空間や暮らしのリズム、体を整えることから、おしゃれや肌・目と耳のケア、食事、夫婦の時間、学びや夢中になれることまで、これからの人生を豊かにするさまざまなヒントを紹介します。

    【巻頭 [晩年のインタビューから]】
    料理家・枝元なほみさんの「支え合う幸せ、助ける料理」。人と支え合いながら暮らすこと、料理を通して誰かを助けることについて伺います。
    【第一章 幸せを生む暮らしの整え方】
    空間、暮らしのリズム、体を整えることから、毎日を心地よくする方法を紹介。ぬ衣さん、引田かおりさん、德田民子さん、伊藤千桃さん、中島デコさん、萩尾エリ子さんらの暮らしから、日々を楽しむための工夫を探ります。
    【第二章 いつまでも若々しく健やかに】
    橋本靖代さん、德田民子さん、ぬ衣さんによる「好きな、白の着こなし」、山本浩未さんが伝える若々しい肌のつくり方、今泉久美さんの体を強く美しくする朝ごはん、目と耳のいやし方など、毎日を健やかに楽しむための情報を紹介します。
    【第三章 豊かな人生に必要なもの】
    ミシンなど夢中になれること、夫婦で過ごす時間、90代からのお稽古事など、人生を豊かにしてくれる「楽しみ」に注目。それぞれのペースで、自分らしく日々を楽しむ人たちの暮らしを紹介します。
    【コラム】
    文筆家・大平一枝さんの「私の背中を押してくれる言葉」のコラムも収録。

    これからの暮らしに、ひとつの正解はありません。自分の心や体に耳を傾け、そのときどきの自分に合うものを選びながら、無理なく心地よく暮らす。歳を重ねたからこそ味わえる小さな幸せを見つけ、これからの人生を楽しむための一冊です。



    多良美智子(たら・みちこ) 
    1934年長崎県生まれ。27歳で結婚後、1967年より神奈川県の団地に暮らす。11年前に夫を見送ってからはひとり暮らしに。高校生の孫とともに、YouTubeで「Earthおばあちゃんねる」を配信中。著書に『88歳ひとり暮らしの 元気をつくる台所』『90年、無理をしない生き方』(ともにすばる舎)などがある。
    Earthおばあちゃんねる



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